ごめん、ごめんね 付き合わせちゃってごめんね 気を遣わせちゃってごめんね ため息つかせちゃってごめんね 空気壊しちゃってごめんね なかなか居なくならなくてごめんね ごめん、ごめんね お前ら全員のこと嫌いでごめんね
コンタクトで矯正された視界越しに冬の星を見て何がしたかったのか忘れてることに気がついたので 戻ってきました 都落ちと言ってもいいかもしれません
壁ばかりが白いのだ 誰かの影が色濃く映る 夜が来れば朝を嫌い 朝が来れば夜を恐れ 温もりを求むために冬を愛し 水の冷たさを知るたびに夏に惚れる 路上で私が潰れてる 受け取ってと投げられて どの手も介さず地に落ちた 誰のものにもなれはしない 潰れた体を引きずって 醜い体内を晒し生きて行く 目指すは後ろ指の示す方角へ そして 壁ばかりが白いのだ
桜よ 咲くな 風鈴よ 鳴るな 赤とんぼよ 飛ぶな 粉雪よ 舞うな 何が四季折々だ 僕はまだ泣けてない 地球には付き合いきれない 引き回されて 桜よ 散るな 花火よ 上がるな 木枯らしよ 吹くな 暖炉よ 灯るな 君よ 去るな 時よ止まれ 僕のために 置いて行かないで この季節に
私は 悩んでます 傷ついてます 泣いてます 頑張ってます 主人公になってんなぁ 僕は 虐げられました 辱められました 貶められました 理解されませんでした 無観客の舞台の真ん中で 私は 僕は 主人公だったんです
散らかった部屋の四隅 後ろを見ても隣を見ても 時間 時間 時間ばかり 持て余してるのに足りなくて せっかくのおすそ分け無駄にして 時間 時間 時間ばかり 奪っても 足りない 時間ばかり 余ってる 使えない 時間ばかり
先生よ アンタの言う通りでした 自分は今でも授業に集中できずに 落書きばかりしています 脳の錆を磨こうとしてくれたこと ずっと感謝しています 先生よ アンタのために毎朝吐いてた 教室まで無駄に傷ついた体を引きずり 誰にも見つからないように 放っておくフリしてくれたこと 今でも感謝しています 先生よ 自分はきっとこれからも 人生に集中できないまんまで ちぐはぐな心身を引きずって 机も黒板も無い教室に通うんだろう そこに教壇一つ置いて アンタを立たせていたいのに 顔も名前も思
週末に箱詰めランデヴー ショッキングピンクは予約済み 舐めとった正気と体液の中に 普遍的なおふくろの味を探す君 激しいような凪いでいるような 身分不相応な青春の荒波を 駅のゴミ箱に投げ捨てて舌打ち 持て余す野心と可能性 何も手にできなかっただけのくせに 奪われたような顔で泣き顔の輪に紛れる きっといつか後悔するだろう 明日にでも後悔できるだろう
夏だった 祭囃子が遠かった 提灯が藍色の空に映えた 汗ばむ浴衣とすれ違った 綿あめが髪にこびりついた 人いきれ発の臭気が頬を撫ぜて 迷子の泣き声が耳に溜まって 袋詰め金魚と目が合って そして最後にラムネだった 瓶だ、アレは瓶だ 雑な水色が苛立ちを誘い 炭酸と共に衝動が湧き アスファルトを頼った ガラスが散って 醜く割れて 我に返って 顎が浮いた 転げ出た ビー玉が 拾い上げた 私はビー玉が欲しかったのだと 奥歯を閉めたまま呟いた 指が切れた 血を舐めた 夏だった
カビまみれの突き出し看板 ひび割れ入った縦巻きトリコロール 雨宿りだけのアーケード 神聖化されてくシャッター街 始まっただけ 終わるだけ 空を舞う三円で買ったビニール袋 秋に取り残された松ぼっくり 駅のホームで奇声あげる彼の 輝くランドセル背負った少年時代 始まっただけ 終わるだけ 臨終迎えた七〇二号室 産声響いた一〇五号室 もはや日課のジェノサイド 思い出せないビッグバン 始まっただけ 終わるだけ
叶わぬ恋になると知りながら あなたの足跡をたどりました 振り返ってくれるのを待ちながら 音を立てないように歩きました 叶わぬ恋になると知りながら 固く閉じた蓋をひねりました 中身がなんなのかを考えもせず 手ばかりを赤く染めました 叶わぬ恋になると知りながら 真実だけを信じました 貰った嘘に満足することが 身の丈だと気づきませんでした 焼け朽ちるのみと知りながら 夜の炎に飛び込みました 跡形も残さないでほしいのです 虫けら一匹 煙になって昇るのです
大人になったら 車に乗って遊園地にたくさん行こう アイスもチョコも好きなだけ食べて 夕方五時のチャイムが鳴っても帰らずに 自分だけの広い部屋で拾った猫を飼おう 大人になったら きっと自由に ああ 自由に 免許は持ってるけど車が買えない お菓子よりタバコと酒が欲しい 夕方五時のチャイムが鳴っても帰れずに 自分一人の狭いアパートはペット不可で 大人になったら もっと大人になったら
Twitterで拙い詩や短歌を投稿しています。noteにも参加してみようと思いました。