生者のための鎮魂歌「ブラームス ドイツレクイエム」
先日も記事に書きましたが、世界平和のための合唱を今年7月27日に横浜みなとみらいホール大ホールで行います。
単なるキャッチフレーズではなく、真面目な話で、なぜ合唱で世界平和に貢献できるのかは前の記事をお読みください。
今日はその曲目についての話です。
タイトルにも書いた通り、主となるのはブラームス ドイツ・レクイエムです。
オーケストラと合唱の共演で、7曲構成でトータル70分にも及ぶ大曲です。ブラームスがその地位を確立した作品でもあるそうです。
去年6月のパリ公演でも歌ったのですが、この時は共演したパリの市民合唱団からのお誘いを受けてのことでした。
そういう意味では、「たまたま」と考えることもできるでしょうが、個人的には必然だったと思っています。
なぜなら、ブラームス ドイツレクイエムは、死者の鎮魂を神に祈るための教会での典礼音楽ではないからです。
むしろ生きている人間に向けて、人間の本当の生き方を教えてくれる曲なのです。
神道では鎮魂と書いて、たましずめと読みます。そして、講義の魂鎮めは、狭義の魂鎮めと魂振りから成ります。
狭義の魂鎮めとは、肉体から遊離しがちな魂を肉体にしっかりと結びつけ根付かせることを言います。
魂が肉体から遊離した状態とは上の空で今ここにいない状態です。例えば、歩きながらスマホに夢中の人とか、考え事しながら何を食べてるかわからない状態でご飯を食べているような人です。
そして、魂振りとは、振動による刺激を与えて、魂を活性化させることを言います。
ドイツ語で書かれた歌詞の和訳を読んでわかったのは、ブラームスのドイツレクイエムこそ、まさに神道の魂鎮め(広義)であるということです。
仕事、お金、やるべきこと、日々追われている「大事」なことが、ただ過ぎ去る幻のようなものであることに気づき、本当の自分を生きようというメッセージなのです。
それがただ言葉だけでなく、オーケストラと合唱のハーモニーにいざなわれ、カミ(特定の宗教ではなく自然背後にある生命の源)とのつながりを感じられる一大叙事詩と言えます。
音という波動の直接体験でそれを可能にしたブラームス、素晴らしいです。
本当に感動で涙が出てきます。聴きながら何度涙したことか。クラシックで泣くほど心が動いたのは、初めての体験でした。
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