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真冬の夜遅くに介護中の母と何故タクシーに?

医師の診察が終わり
寝問着しか着ていない母に
自分が着てきた冬物のロングコートを着せて
真冬の夜の厳しい寒さに
母が震えることのないように
しっかりコートのボタンもしめて
母と二人、タクシーに乗って家に帰る

会社のブラウスとスカートの制服に
カーディガンを羽織っただけの私は
タクシーの中でさえも
さすがに寒さが堪えるが
母からコートを脱がすわけにはいかない

昼間、母はお腹が痛くなり
そばいた父に
救急車を呼んでほしいと頼んだようだが

その頃の母は
しょっ中腹痛を訴えては
何もしなくても
いつのまにか痛みがおさまっていたので

父はどうせいつものことだと思い
母が腹痛で救急車と訴えても
心配もせず
半ばあきれていて何もしなかったようで

そこで母は自ら電話をして救急車をよび
審問着のまま
病院に運ばれていき
その際に父は母に付き添って
救急車に乗ることもしなかった

そして会社から自宅に戻った私は
父から事情を聞かされて
どこの病院に運ばれたのかを
電話で確認して
着替える間もなく
会社の制服の上にコートを羽織った
当時の冬場の通勤スタイルのまま
急いで母の搬送先の病院に電車で向かった

病院に着くと
母を搬送してくれた
救急車の隊員の方達がまだいたので
認知症のせいで救急車を呼んでしまったかもしれない
と伝えると
なんだよふざけるなといいた気な様子をしていて
本当に申し訳なく思ったが

自分が守らなくてはいけない存在になっていた
母に対しては
母が原因で自分がとばっちりを食うような状況になっても
怒りの気持ちは全くわかなくなっていた

母の介護が始まった当初の
衝撃的な出来事を体験して
日々少しずつ
介護中に起こる様々な出来事に対して
耐性ができてきた、この頃の私は

これくらいの事なら
心配はしながらも
おもしろい話のネタができたくらいの
不謹慎だが、なんとなくワクワクとした
ちょっと軽い気持ちで
深刻にならないでいることができた

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