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アンダースローに転向

 ……するかどうかはわからないが、練習を続けていたら、生まれて初めてアンダースローの球がまっすぐストライクゾーンまで届くようになってしまった。自分でもびっくりしている。
 これまでは、下手投げにするととんでもない高さまで噴き上がってしまったり、逆にゴロのような低めに行ってしまったり、右打者の外角方向に大きく外れてしまったりとコントロールがバラつき過ぎて、とても使いものにならなかった。ところが今日、オーバースローの練習中、心がけひとつで下半身が劇的に安定することがわかり、これは横振りにも応用が利くのではないかと推論を立てたところ、サイドスローに留まらずアンダースローにまで効果が波及してしまったという次第だ。

「心がけひとつ」は、昨日投稿されたばかりの古田敦也さんのYouTubeチャンネルにあった。

 小学生の自分がこれを見ることができていたら、どんなによかったか。
 有益なYouTube動画を見るたびに、そう思う。

 和田さん・五十嵐さんの唱える「行く意識と戻る意識」も、非常に興味深かった。そういえばアンダースローの渡辺俊介さんも著書『野球アンダースロー』で「止まる意識」を重点的に書かれていた。

 ただ、私が古田さんの動画で最も「試してみたい」と思ったのが、13:39からのチャプター「二人が羨む 速球派投手に共通する『股関節の使い方』だった。

 古田さんの「女の子座り」という表現が、とてもしっくり来た。
 骨盤の後傾、軸脚の股関節の引き込み動作については、以前noteにも書いたように、私は元中日の吉見投手とヤクルトの小川投手を参考にしている。

 これにいわゆる「ヒップファースト」を組み合わせて投げていたのだが、アウトステップの改善には役立ったものの、まだまだ「立って、立つ」の感覚を得るには至っていなかった。右脚が自然と蹴り上げられてしまうし、踏み込み脚も小さくジャンプするようになることがあった。
 そこで、ヒップファーストからのオフバランスはいったん捨て置いて、古田さん曰くの「女の子座り」の動作を加えてみてはどうかと考えた。これも股関節の引き込み状態を維持したうえで「オフバランス」を導けそうな動作だと思ったからだ。

「女の子座り」の動作については、ヤクルト石川投手のこの写真が最もイメージに近かった。

 そうそう、たしかに彼はこんな脚の使いかたをしている。
 スパイクの裏を一瞬、ホームプレート方向に見せるようなイメージだ。
 私の場合はつま先を挙上させているから、踵をホーム側に見せることになる。

 あとは、すっかり身体に染みついた上半身に負担の少ない動作を再現して、腕が勝手に振られるだけ。

 始動からリリース直前までは体幹を司る腹筋と下半身にだけパワーと意識を乗せておいて、リリースの瞬間にだけ腕の力を爆発させるような印象だ。

 果たして、試してみたところ自分の身体には非常に相性がよかった。
 投げ終わってからも最後まで「立ち感」が消えずに残るし、とくに右打者の外角方向への球が奥行き深く押し込める。いわゆる真っスラ、カット気味に投げてみるといっそう伸びが得られそうだ。
「女の子座り」投法は、ヒップファーストで導出していたオフバランスを、尻をあまり突き出さずに踵で代用するようなイメージかもしれない。
「これはお尻だ」と思って膝を曲げて踵をホーム方向に出し、股関節を引き込んだまま意図的にオフバランスを作る。股関節の引き込みを、もう一段階粘って継続させるような感覚だ。すると右脚は勝手に傾いていって、ホーム方向への併進エネルギーが生まれる。
 腕を振り切ったあとは、勝手に石川投手のような楽な立ちかたになっていて、親指が下を向いて自然な位置で止まる。腕にまったく力感はないし痛みもない。それでいて自分の球とは思えない真っ直ぐが意図したところに飛んでいく。びっくりしてしまった。

 吉見さん+小川投手+石川投手のキメラ投法。

 この安定感なら、もしかするとサイドスローやアンダースローにも応用が利くかもしれないと思った結果が、冒頭の通りだ。
 オーバースローもサイドスローもアンダースローも、身体の構造上の理屈は同じと読んだことがあるが、私の身体の場合は、この下半身の動きが最も汎用性が高いのかもしれない。

 ちなみに。
 私が巨人のメルセデス投手のスロー映像を参考に投げていた「チェンジアップ」だが、もしかするとスパイクカーブ/ナックルカーブに近いのかもしれないということも、最近YouTubeを観ながら思った。


  


 

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