1on1を効果的に使い分ける

概要

Engineering Manager Advent Calendar 2021 のカレンダー2の 21日目の記事です。

教育系の会社でエンジニアリングマネージャー(EM)をしています しいたけ/@shitake4 です。
いちエンジニアからEMとして役割が変わったことで業務内容も大きく変わりました。 その中で特に1on1については悩みました。
1on1がいまいちうまくできているか気がしなかったり、そもそも効果があるのか分からないという課題にあたりました。

さまざまな試行錯誤の中、現在私はどのように1on1を捉え運用しているのかを書いていきます。

EMは1on1で取り組むトピックが多い

EMの役割の1つとして、自分のメンバーの能力や意欲を向上させること があります。達成するために、さまざまな手段がありますが、
その中に1on1があります。

1on1は メンバーの成長を促進すること のために、週1回30分〜1時間で相手が話したいトピックを自由に話してもらいます。
そのときマネージャーは傾聴することで話を引き出し目的を達成するというのが一般的になっています。

最初は、私も上記方針に合わせて1on1を実施してみました。
ところが実際に1on1を始めてみると「メンバーの成長を促進すること」という目的からはズレたトピックがあることに気付きました。

トピックの種類は

  • キャリア

  • 個人目標(MBO)

  • 仕事での困りごと

  • 上司に動いてほしいこと

  • 作業の共有

  • プライベート

  • 体調やメンタルの健康など

多岐に渡りました。
また1回30〜1時間の1on1の中で多くのトピックを扱うと深堀りできず消化不良になる問題が発生しました。
そのほかにもメンバーがたくさんの仕事の困りごとを抱えている場合には、1on1実施のときまで問題を抱えたままにしてしまっていたり、進捗相談の場になってしまったりということもありました。

トピックに分けて1on1をする

そこで私は話したいトピックごとに分けて、1on1することにしました 。
「キャリアをサポートする1on1」「仕事でのつまずきをサポートする1on1」「改善を促す1on1」の3つです。

トピックの分類

またトピック以外の会話は基本的にしないというルールも設定しました。

たとえば、キャリアをサポートする1on1を行っているときには、改善を促すフィードバックをしないということです。
トピック以外のことを行うことで、傾聴する姿勢でいたはずが自分がメインで話すことになっていたり、話題が分散しすぎて深堀りできなくなったりするからです。

キャリアをサポートする1on1で扱うトピックは、相手が目指したいと思っているキャリアイメージやそれを達成するためにはどんな経験や知識が必要なのかをヒアリングします。
壁打ち相手として話を聞きつつ具体化や解像度を上げるために質問を重ねます。
またそこから現状の仕事につながりそうな部分がある場合は、MBOなどの個人目標の話と絡めたりします。

仕事でのつまずきをサポートする1on1は、メンバーが対処できない仕事上の障害の解消や困りごとの相談に乗ります。
障害の解消では、チームを超えた交渉等マネージャーにしてほしいことについて聞きます。
また困りごとの解消ではモヤモヤしていたり言語化に困っていることのサポートを行ます。

改善を促す1on1は、業務上解消してほしい仕事の進め方や姿勢などについて率直に意見を伝えます。

各1on1の開催頻度は、キャリアをサポートする1on1は定期的に行い、仕事でのつまずきをサポートする1on1はメンバーから気になるトピックがあったタイミングで設定してもらいました。
改善を促す1on1は、マネージャーがフィードバックを必要と感じたタイミングですぐに設定しフィードバックをします。

トピックにより使うスキルは異なる

3つの1on1は目的が違うのでそこで発揮されるスキルも異なったものになります。

スキルによる違い

キャリアをサポートする場合は、相手の話を傾聴し、整理して目標に向かって動いてもらう必要があります。
相手に質問を重ねることで相手から考え方を引き出したり、気付きを与えたりするコーチングスキルが必要になります。

仕事でのつまずきをサポートする場合は、マネージャーの経験や知識、ポジションのパワーを活用してつまずきを解消しサポートしていくことになります。
そこで発揮されるのはティーチングスキルです。

改善を促す場合は、相手に課題を指摘し、それを認識してもらい行動を変えてもらう必要があります。ズバッと鋭いことを伝えるので、伝え方や内容によっては関係性が壊れてしまうような危険性もあるものです。
そこで必要なのはフィードバックスキルです。

まとめ

私は1on1をトピックに分けて行うことで話が分散しすぎることなく進めることができました。
またトピックごとに要求されるスキルを習得をすることで対応しやすくなりました。

  • 1on1の運用はトピックに分けて行う

  • トピックごとに必要なスキルは異なる(コーチング、ティーチング、フィードバック)

参考文献

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