「クラウドと携帯端末」が産みだす、新しい格差の温床

「クラウドと携帯端末」が産みだす、新しい格差の温床 | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/5229

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各種端末からのデータをクラウドに集め、解析し、仕事の現場の生産性をあげることができる時代がやってきた。

たとえばそれを不可逆的に進む高齢化に伴う介護人材需要/供給のギャップ(前者のテンポに後者の供給テンポが追いつかない)に活用すれば、労働者をhappyにしつつ生産性があがる。ところがフリーランスに対して適用、仕事のアウトソーシングとフリーランサーとのマッチングに使うと、ワークライフバランスの改善策として労働者をhappyにはしても、それだけとどまらない結果を生む可能性がある。

それだけにとどまらない可能性とは、国民国家が制度として準備した、労働法制や社会保障制度から疎外される労働者が生まれる可能性のことだ。

リモートワークスやIoTが組織経由、仕事の現場に導入されるか、孤立した個人に端的に適用されるかで、全く違う意味を持つ結果を惹起しうるのだ。「包摂」の価値観の外延拡張がポイントになってくる。新しい格差のメカニズムを作らないためには。

●「17時間減」、IoT導入で介護業務を効率化 http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/327441/033000183/

「IoTシステムの導入で安否確認や記録に費やしていた時間を短縮し、施設全体の1日当たりの総労働時間を17時間削減した」高齢者介護施設がある。

たとえば、「ナースコールは一日の間に平均90回あったのが、25回前後に落ち着きました。これは、今までは何かあってから駆けつけていたのが、システムの導入によって、呼ばれなくともこちらから駆けつけることができるようになったため」。

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●【後編】「ヒトとロボットが”共創”する未来」 https://www.ibm.com/think/jp-ja/watson/robot-x-watson-pepper3/

リモートワークの基本は”情報の文字化”にあるので、どうしてもインスピレーションにもとづくイノベーションが起こりにくい。

「今までにない製品を作って世に問うといったかたちのイノベーションの場合、ハードとソフトの人間が同じ場所で刺激し合うことは欠かせない」。

「これからの時代を生きる子どもたちにはAIを扱える能力と同じくらい、周囲を巻き込んで共に何かを成し遂げていくという人間力が問われるようになると思っています」。

●研究が示す「理想的なチーム」の条件 http://www.lifehacker.jp/2017/03/170322_great_team1.html

「チームの科学」からの報告。

規模=腹心の友レベル:5人/仲のよい友人レベル:12~15人/協力関係にある知人レベル:35人まで。

チーム力学の最大の動力源=ミラーニューロン/トランザクティブ・メモリー。

強力なコミュニケーション・パターン=1時間に十数回のコミュニケーション/均等の発言量/複数の外部情報源との接触。

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●「フリーランス」急増 そのわけは? https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_0405_2.html

いま問題になっている長時間労働が消えない根っこには、自前主義の発想がある。

ネットが仕事と時間(のあるヒト)とのマッチングをしてくれ、事業環境を活用すれば(=仕事と時間(労働者)のマッチング自前主義を捨てる)、企業はコアな仕事に自社労働者を集中させることで、「結果として事業が伸びたり、社員の満足度も上がる。売り上げを伸ばすにはこの方法が最もよかった」。さらに、「社員が業務を行うよりコストを抑えられるし、残業が減って離職率が下がったことで、社員の育成や採用にかかる目に見えないコストを下げる効果も」出てくる。

https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/still/0405_2_03_irai.jpg

しかし、「フリーランス」には、国民国家が制度として企業に課している、雇用契約がない。「最低賃金が適用されず、作業が長引くと、時間当たりの報酬が低くなってしまう」。「とても生活の糧にはならない。満足な収入を得られている人はごく一握りしかいない」とこぼすことにもなりかねない。

●ギグ・エコノミー、「新たな貧困の種」を生み出しつつあるその実態:調査結果 http://wired.jp/2017/04/04/gig-economy-jobs-benefits-dangers/

バンドの単発のライブを「ギグ」と呼ぶが、「ギグ・エコノミー」とはインターネットを通じて単発の仕事を請け負う非正規労働市場のこと。たとえば、ナイロビで翻訳をし、ヴェトナムで文字起こしをし、フィリピンでSEO対策用の文章を書く、など。

「東南アジアやサハラ以南のアフリカでは、ギグ・エコノミーが柔軟な働き方や収入の増加を可能にしている。一方で、長時間労働や差別、社会との接触の欠如、そして賃金低下などをもたらしている」。

国境を越えて仕事を得ることで、国民国家による労働者保護のシステムからも孤立することになるからだ。

(The Risks and Rewardsof Online Gig Work Atthe Global Margins https://www.oii.ox.ac.uk/wp-content/uploads/2017/03/gigwork.pdf)

※下図は2013年3月に、あるクラウドソーシングのプラットフォームで行われた取引を表にしたもの。円の大きさはクラウドソーシングによって発生したドル流入の大きさを、円の中央の色はその国のオンライン労働者たちの時給の中央値を表す。

https://www.oii.ox.ac.uk/wp-content/uploads/2017/03/i2.wp.comMVPN-310ccd5488d54d845ba0757f9d9339d9e2c376c7.jpg

●アメリカで機会格差の拡大が起きた理由 http://toyokeizai.net/articles/-/165547

「包摂」の価値観が重要だ。

「組織としての学校」よりも「場としての学校」のほうが機会格差を広げている。「つまり、学校の教育そのものの違いよりも、むしろ子どもたちが学校に持ち込むもの(たとえば親の関与や競争、あるいは暴力)の違いのほうが、格差拡大の大きな要因となっている」。

ただし、問題の解決は可能だ。「他人の子どもに対する投資への責任感。そして、そのような責任感の根底にあるのは、これらの子どももまたわれらの子どもなのだ、という根深い感覚」が、社会と国家にありさえすれば。

https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4422360019/sasazamani-22

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