【詩】死体練習
たまには死体になってみたい
と思ったあなたへ
まずは首をだらーんとさせてみましょう
すると肩が凝りはじめます
肩の力も抜いてみると
今度は腰が痛くなるので
そこで椅子からズルズル下りて
頭を地面につけてみれば
お尻がぐっと高く上がり
ナチュラルな死体ができあがります
無垢の木で建てられた円形舞台に
透明な黒子たちが音もなく現れ
あなたの体をどこかへ運び出す
死人のあなたの心はおだやか
無限につづく空間にいます
もうなにも恐れるものがない
というのは幸福なことですね
しばらくそうしていましょうか
幕の張られた舞台には
静かな川辺に浸された足首
木陰を眩しがる眼球
不自由で柔らかな肉体のおもいで
気が向いたらいつでも
ここに戻ってきてくださいね
私もいつか永遠の
無限につづく死人になって
あなたを待っているつもりですから
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