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10代の過ちを受け入れ、浄化する

若い人向けの本だと思っていた「19歳までに手に入れる 7つの武器」

この本のタイトルを見た方は、おおむね、「ティーンエイジャー向けに伝えたいことを書いた本なんだな」と思ったことだろう。

事実、私もそう思っていた。
実際に若い世代に語り掛けるような口調で書かれている。

樺沢先生の本は何冊も読んでいるので、正直なところ、内容の一部はすでにほかの著作で学んでいたことでもある。そして、そのことは、未成年のうちから身に付けてほしいと思うことでもあった。
そこで、最初は、本を読みながら、10歳の息子に内容を伝えていた。

「脳の中身は6割は脂肪だから、ダイエットしちゃダメなんだよ」
「朝食を抜いたらいけないんだって」
「スマホを横目に3時間勉強した人と、スマホ見ずに30分集中して勉強した人のテストの成績は、ほぼ同じだったんだって。だから勉強するときはスマホはしまっておこうね。」
…などなど。
まだ小学4年生の純粋な脳みそには響くものがあったようで、学校の宿題の日記にスマホの害について書き、「集中して勉強したい」と記していた。

しめしめ、つかみはオッケー、と思っていた。

最終章を読んで、樺沢先生の言葉がブーメランのように自分に返ってきた

しかし、最後の章である「無限の可能性 ~やりたいことを仕事にできるか」を読んでいて、私の「息子に教えよう」という企みは、自分ができていないことを息子にさせたいという、ただの「押しつけ」だったと気付かされた。

 もし現時点でまだ動画を上げていないのなら、ただ、なんとなーく「ユーチューバーになりたいなぁ」と思っているだけで、猛烈に心を突き動かすほどの願望になっていない証拠です。
 それは、あなたの「夢」でも「目標」でもない。ただの「思いつき」か「妄想」です。
 やりたければ、さっさとやればいいのです。なのに、なぜやらないのですか?

「19歳までに手に入れる 7つの武器」樺沢紫苑より

これを読んで、私は、脳天をかち割られたような衝撃を感じた。

私は産前産後にメンタルの調子を崩しながらも周囲の支援を得て働き続けている経験から、会社員として働く傍らで、SNSでメンタルの調子を保つための情報を発信している。
将来的にはコミュニティ運営をしたいと思っている。
とはいえ、セミナーの継続開催や、ショート動画の作成まではできていない。

小さく始めれば、リスクはないはず。
実際、セミナーは一度開催したことがある。
知り合いに声をかけまくって6名の参加者があった。
開催後のアンケートで内容も好評だった。

なのに、次が行動できない。

私は、何年も「思いつき」か「妄想」をしているだけなのだ。

自分が行動できていないのに、息子に教えようなんて、おこがましい。

「10代の私」はどう生きていたのか

さらに読み進めていくと、樺沢先生、栗本薫さん、TAKUROさんの10代のころのお話が出てくる。
10代のうちに「夢中」になれることを見つけて、ずっと続けてこられた、という話だ。

私は自分の「10代のころ」に思いを馳せていた。

中学生のころ、私はマンガが好きだった。友達は多くなかったけど、マンガやゲーム好きで気が合う友達がいた。3人で1年以上、交換イラスト日記をしていた。
その頃、勉強や部活、エレクトーンの習い事もしていて、忙しかったはずなのだが、確かに「夢中」になれるものがあったのだ。

ところが、中学3年生の秋に父に転勤の辞令が出た。中学卒業後に父の赴任先に家族で引っ越し、中学の友達と離れ離れになった。

高校がステキなところであったらよかったのだが、残念ながらそうではなかった。「自主性を重んじる」と言っていたものの、内情は狭い視野しか持たない大人たちに支配された学校だった。正直、先生たちは生徒の学業の成果しか見ていないと感じていた。

心から「楽しい」と思えるものがないから、「勉強の成績を上げて、大人たちの承認を得ること」「いい大学に入りたい」だけが目標になった。気づかないうちに「好奇心」を封印した。
私は高校時代、マンガ好きであるという自己開示をしなかった。だから、クラスメイトとは表面的な付き合いとなり、「つながり」ができなかった。コミュニケーションの練習が不足していた。
さらに勉強だけしていて失敗体験が圧倒的に不足しており、「レジリエンス」のトレーニングもできていない。
本は参考書しか読まないから、読解力がつかず、国語の成績はいくら勉強しても思うように上がらない。小論文も書けない。

振り返ってみると、7つの武器を鍛える練習が、全くと言っていいほどできていなかった。

私は、暗に自分の置かれた環境を言い訳にして、自ら行動しないことを選択していた。そして、それを今でも引きずっている、とも気づいた。

言っておくが、後悔しているとか、昔に戻りたいわけではない。
当時、私が生き抜くうえで最善と思った選択をし、実行しただけのことである。

「10代の私」がとった選択を振り返り、浄化する

私は「19歳までに手に入れる 7つの武器」に出会ったことで、40代前半にしてやっと、当時の自身の選択およびその結果を分析・評価でき、自身の失敗を振り返られるようになったのだ。
そして、高校生の時に感じていた、自らがおかれた環境への違和感を素直に認めていいのだ、と思えた。他人に迷惑をかけなければ、怒ってもいいし、反抗してもいいのだから。

その意味では、この本に出会えたことに、ものすごく感謝している。
過去の受容と振り返りができたのだから。

これから「生きる力」を強化し、冒険に出るために

若き日の過ちを振り返れたから、もう同じようなことは繰り返したくない。繰り返さないために、これからできることをできる範囲で行動するだけだ。
セミナーを計画して、実行する。定期的にXのスペースをやるよう、日時や内容を決めて、実行する。それだけだ。

そして、もしかしたら、私のやりたいことは変わっていくかもしれない。
だとしても、「7つの武器」を手に入れた今の私なら、「失敗」ではなく「いい経験」として受け入れ、前に進めるだろう。









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