推理小説みたいな「フェルマーの最終定理」
いやー面白かった!
って高校数学1で7点とか取ってた私が偉そうに言うことじゃありませんが、たまたま手にとったこの本。
「かえる文庫」という地元の駅でテイクフリーで置いてある、カバーも取れたボロい本だったので、いわゆるあらすじなど前情報を全然知らずに読み始めたのですが・・・
最初史実だとは知らずに推理小説だと思ってたくらい、すいすい読み進められてしまう。
内容はそのまんま、数百年持ち越されている数学の難題「フェルマーの定理」をついに解き明かした数学者のドキュメント。
ただ、そこにたどり着くまでに、数世紀にわたって累々と数学者の屍があるというか、一人がなしえなかった証明を、次の人が挑戦し、途中の無数の小さな発見を引き継ぎ、そこに修正を加え、検証し、またミスを発見し、という連続なんですね。
こんなにも数学って大変なのか(素人の感想ですみません笑)って呆れながらも、最後には手に汗握りました。
最終的に証明されたフェルマーの最終定理の数式は数百ページにも及ぶし、それを説明するだけで何時間もかかり、それだってごく一部の数学者しか理解できないような高度なもの。
証明に至った本人のワイルズの執念とピュアな情熱もちろんものすごいのだけれど、歴史を超えてこの証明に挑戦した数学者たちが皆同じように情熱を持ち、この問題に挑んできたことが本当にすばらしいのだと、その敬意が十分に伝わる本でした。
これって、分野は違ってもきっとどんなものにも当てはまる。
最終的に光の当たる人の努力の奥に、たくさんの人がいる。
名前が残らなかった人の小さな功績の積み重ねの先に、たまたま光の当たる人がいる。
ピープルツリーの中に私たちは生きている。
ということを、しみじみ感じさせてくれる良書でした。
ただし、そこで語られている数式は、基本的なものであれ何一つ理解できず、雰囲気で分かった気になって読み飛ばしましたが。
私が読めたくらいだから、超文系脳でも、読めます(笑)
https://www.amazon.co.jp/フェルマーの最終定理-新潮文庫-サイモン-シン/dp/4102159711