なくなったマフィンと人に「与える」ということの意味
私が母親のために買ってきたマフィンを、父親が食べてしまった。
25歳の私は、こみあげてくる衝動と激情に震えながらその場を後にし、一人隠れて泣いた。
このエッセイは、「食べ物の恨みは怖い」とか、幼いときに冗談交じりに家族の間で言い合っていた内容の話ではない。私がまだ実家暮らしで、両親と仲が良く、大切に思いあっているから起きてしまった、自分の中での小さな感情の崩壊を描いたものである。
社会人1年目を終え、「自立」の文字が今まで以上にちらつく今日この頃、今まで自分が経験したこと