鍵をかけた自分

家の鍵をかけた自分を褒めてあげたい、
と思うことが時々ある。

どこかに出かける時。

家を出て、階段をおりて、車に乗ろうとする。

あれ、鍵かけた?

家の扉の前まで戻り、確認する。
ちゃんとかかってる。
いつの間に鍵したんだろう。
でも、ちゃんと鍵をかけた自分偉いな。

今の自分よりも、
過去の自分のほうが凄い奴のように思える瞬間。
頼りになるなぁ。

家を出る時って何も考えてないからか、
あまりに自然に鍵をかけていて、その工程が記憶にない。

ありがとう、もう一人の僕。
と、武藤遊戯のように心の中で語り掛ける。

返事はもちろんないのだけれど。

もう一人の僕は、
残り少なくなった消耗品も買ってくれていたりもする。

たまに、今の僕がまったく同じものを買ったりする。

あ、せっかくなのに、ごめんなさい。

でも、こんな僕でも、
未来の僕の役には立っているのかな。

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