見出し画像

自衛隊体験記①

今回から複数回に分けて自衛隊にいたころの体験記を書いていこうと思います。

私は自衛隊で大きな挫折を味わった身なのであまり思い出したくない記憶なのですが、最近は精神的に余裕も生まれ、自衛隊にいたことによって何か得たものはあったかなぁ?と思い始めたので、嫌な過去を昇華するためにも書いていきます。

実は、体験記は別のサイトに書いたことがあるのですが、当時と違って文章力は多少上がってるだろうし、今ならもっと上手く自分の気持ちを書くことができるんじゃねと思い再度書くことにしました。

志高く入隊した青年が無様に転落していく様子を笑うのもよし、自衛隊はどういうところか知るのもよし。

ではやっていきましょう。
 
 

なんのために生きているのかわからない。そんな思いから入隊

私は、2017年4月、陸上自衛隊に入隊しました。
 
入隊した動機は、「なんのために生きているのかわからない」という思いがあったからです。
 
学生時代は勉強から逃げて大学受験もせず適当に専門学校に進学。

専門学校に進学したのも「家業の勉強のため」

しかし、専門学校でも勉強に興味が出るわけでもなくダラダラとモラトリアムを過ごすだけ。
 
 専門学校の3年間をなんとなくを過ごしていると、気がつけば就活生。

就活の時ふと、俺は家業を継ぐために進学した。そして今、社会福祉士となるべく福祉の仕事に就職をしようとしている、でも結局これは親のためじゃないか?俺は親のために生きているのか?

家業をやっていなかったら果たして福祉の仕事をしているだろうか?していないだろう。

俺の存在意義はなんだ?親の欲求を満たすことなのか?なんのために生きているんだ?

何かのためと自分の存在意義を見出し、このために生きているんだという信念がほしい、という思いが沸き上がってきました。

しかし、何がしたいのかなんて今更わかりません。ダラダラと何も考えずに学生生活を過ごしてきた私にとって、「自分は何がしたいのか」ということを考えるにはあまりにも遅すぎました。

就職という現実を目の当たりにして初めて考えました。それから福祉職以外にも営業職の説明会に行ったりしていましたが、「こんなことやりたくない」というのが正直な感想でした。
 
就活のストレスもあり、何がしたいのか自分でもわかんねぇよ!!俺はなんのために生きているのかすらわからん!!と半ば自暴自棄のような感じになっていきました

そんなある日、何気なく永遠の0をみていると、「神風特攻なんて何かのために身を捧げるなんてすげえよな」と思いました。

 そしてふと、自衛隊なんてどうだろうか・・・?自衛隊に入れば「なんのために生きているのかわからない」という生活からおさらばできるんじゃないか、と思い始めました。
 
自衛隊なら「国家防衛」というクッソわかりやすい存在意義と信念があるじゃないか!!!!!!!
 
そうと決まれば、行動は早い。早速私は自衛隊に願書をもらいにいったのでした。

目指すは第1空挺団

自衛隊に入ろうと思ったもう一つの理由として、軍隊や兵器が好きだったというのもあります。

それに加えて、当時は靖国史観の持ち主で日本が好きという愛国心も多いにありました。
靖国史観=大東亜戦争はアジアを欧米から解放する聖戦だった。みたいな価値観です。
 
戦史や戦争体験者が書かれた本をそれなりに読んでおり、靖国史観という偏った思想も持っていたため、

国のために身を捧げる、吶喊玉砕、最後の一兵になろうとも戦い続ける、そんな旧日本軍兵士の情景が都合よくありありと浮かびました。(実際はこんなに勇ましくなく、餓死やら病死やらで悲惨な最期を迎えたのがほとんどである)

「俺もこの人たちみたいになれるかな?何かのために身を捧げる人間になれるか」

自分の中で「国家防衛のために人生を捧げよう」という信念のようなものが湧いてきました。

これは「なんのために生きているのかわからない」と感じてきた私にとってまさに「生きる希望」のようなものでした。

ちなみに私が靖国史観を持っていたのは、父親の影響だと思います。

幼少期の頃から、父親から「日本が欧米を追い払ったから東南アジアは独立できた」「先人たちが戦ってくれたから今の日本がある」だの散々聞かされていました。

「戦争を乗り越え、高度経済を成し遂げた先人たちが痴呆だのバカにされ虐待を受けているのは耐えかねん!」とかいって脱サラし介護施設を立ち上げ経営するようなちょっと頭のおかしい父親でした。

そんな父親から自衛隊に行くときに言われたのは「クーデターだけは起こすなよ!!」でした。いや極右思想刷り込ませたあんたがいうか

(今は靖国史観も抜け、「太平洋戦争?三流国がよくアメリカと4年も、まぁ頑張ったんじゃない?」って感じです)

そんなこんなで「なんのために生きているのかわからん身だったし、日本は好きだし、旧日本軍のように国のために死をも臆せず戦う兵士になりたい」と思い始め、士気と練度の高い部隊で高度な訓練を受けたいと考えていました。

そこで目をつけたのが第1空挺団。
(空挺=敵の領域に飛行機からパラシュートで降下し奇襲する部隊。)
 
第1空挺団は陸上自衛隊のエリート部隊と言われており、体力的にも精神的にも優れた優秀な隊員でないと空挺にはいけません。

「空挺団 入るには」みたいなことをネットで調べると、前期教育で優秀な成績を修める必要があると書いてありました。
 
私は空挺隊員になることを決意し、そのために前期教育で成績優秀者となることを目標にしました。

絶対空挺隊員になって戦友たちと最前線で戦うんだ!!!!日本を仇なす国を退けるんだ!!!と意気込み、自衛隊に願書を送り8月に陸上自衛隊から無事内定をもらいました。

そして空挺隊員になるべくジムに通い始め、筋トレとランニング(1日10km)を8月〜入隊の4月まで続けました。(毎日10kmとかすげぇな。今じゃ絶対できません。当時は本当に空挺隊員になりたくて生半可な気持ちではなかったんだと思う)

 そして、桜舞う2017年4月。教育を受ける福岡駐屯地の門をくぐりました。

警衛自衛官に「おはようございます」といい、これからの生活に期待と不安を膨らませながら宿舎に歩いていきました。
 
これから自衛隊生活の中でもっとも辛いと言われている前期教育を過ごしていくこととなるのです。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?