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ホコ天

訪問ありがとうございます、ハルヤギです。

今回は他愛もないことを書きたいと思います。

歩行者天国、いわゆる「ホコ天

初めて聞いた、聞いたことはある、なんとなく覚えてる、とても楽しかった、実は迷惑だった。

様々な印象があるかと思います。

僕にとっての歩行者天国は、子どもなりに日頃のウップン晴らしができる大きなチャンスでもありました。

といっても"原宿"のホコ天に行ったことはありません、「竹の子族」などは私の兄の世代のお話です。

僕の思い出は、実家のある商店街の大きな交差点付近で行なわれていた、知る人ぞ知るマイナーなホコ天です。

僕は小学生、小さな町にはまだ活気が残っていました。

実家のすぐ前にドンと構える農協では、成人式や寄席、ダンスや日用品の売り出しなど、当時は様々なイベントを行っていました。
町の象徴です。

そんな田舎の中心部で年に一度行われるホコ天は、普段とはまるで違った賑わいを見せてくれます。

子どもだった僕にとって一番嬉しかったのは、普段車の往来している道路のど真ん中に白墨(はくぼく※チョークのこと)で堂々といたずら書きをしてもよかったことです。

普段そんなことをしたら大目玉を食らうはずですが、その日ばかりは辺り一面にいたずら書きが書かれているのです。

方々から集まった子供たちが所せましと表現する絵や言葉、それらを見ているだけでテンションが急上昇しました。

僕も負けじと書きなぐります、「誰にも文句は言わせない!ここは俺の場所だ」といった心境でありました。

ところが、調子よく書いていると、毎年の事ですが白墨不足問題が生じます。

皆さんご存知のように黒板に書く分にはあまり減りません。

しかしコンクリートや特にアスファルトに書く場合、恐ろしく減りが早いのです。

今日のようにダイソーも無く、白墨は文房具屋で"ちゃんとした値段"で買うほか無いため、一箱が精一杯です。

ホコ天が始まる少し前から、家の玄関にある使いかけのものなど、コツコツため込むようにしていました。

いけないことですが、教室からも何本か拝借しました。

それでも20本は集まりません、まして赤・青・黄色はとても貴重です、一番最後に使いました。

心残りがあるとすれば、もっともっとたくさん書きたかったということ、そしてイベントの翌日、徐々に消えていく仲間たちの作品を見ながら、「あぁ、もったいないなぁ」僕もあんなに上手く書けたらなぁと感じるやるせなさです。

僕にとってのホコ天は、大義のあるいたずらであり、懐かしい想い出のひとつとなりました。

時は流れ、原宿のホコ天もなくなり、僕のホコ天も、商店街自体も、今では町の象徴であった農協の建物も無くなり、雑草の生えた駐車場となっています。

せめて思いっきりでかい絵を描ける楽しさを子どもたちに経験させたい僕は、自分の家にある広い駐車場を解放し、娘と娘の友達にもチョークを用意し、好きなだけ"お絵描き"をさせています。

さすがに道路は危ないので許可しませんが、敷地内だったらいくらでも書いていいよと。

そんな姿を見ながら僕はただただ昔の町並みを思い出すのです。

ありがとうございました。

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