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詩、「浮遊する」

飛び降りたいんだ
このビルから ひとおもいに

飛び散りたいんだ 
血や肉や臓物をあらわに 真に 裸になって

その姿には 知らない誰かが情けをかける
情けの涙で 木が芽吹く ということがあるらしい

木の下には花が咲いて まっすぐ育つ 陽の方に
それは形を変えたぼくの魂 さいごのことば!

でも 魂は枯れる 弱くなって空になる 陽は差す
からからになった空の殻 吹き抜けるビル風に
風化する、やっと 身も 心も 風を抱きよせる

忘れないと誓うけど 必ず忘れてしまうということ
生命体 それは死にまつわるもの
人々はおおむね 人々の死に無関心ということ

飛び降りたいんだ
この帝国から ひとおもいに

裸になるためではなく 木を育てるためでもなく
ぼくは歌をうたい、ぼくに惚れた君にキスがしたい

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