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【白目相談室】子どもの爪かみをやめさせる方法

臨床心理士/公認心理師として精神科で勤務しながら、夜な夜なSNS 界隈で漫画家活動やLIVE配信などをしております。白目みさえと申します。活動内容などはこちらでご覧くださいませ。

実はよく聞かれます。

■爪かみをやめ(させ)たいのですが…


というご相談

大人になってもやめられないという人もいれば、お子さんがずっと噛んでいるのが気になっているというお母様からの相談も。

色々対策はありますが、まず皆さんには「爪かみ」について正しく知っておいて欲しいと思います。

■なぜ爪をかむのか?

=「愛情不足」ではない

まず抑えておきたいのはこちら。

小さい時におっぱいが十分にもらえなかったので口寂しい
小さい時にかまってくれる人がいなかったので自分の爪を噛むことで世界に入り込んでいた
などなど

たしかに愛情不足と呼ばれる状況に置かれると「爪かみ」をするイメージがあると思います。

ただそうだとすると。


爪かみをしない子=愛情は不足していない


となりますよね。

でも本当にそうでしょうか?

爪かみをするからといって愛情不足を感じない人もいるでしょうし。
逆に爪かみをしないからと言って愛情がたっぷりだとは感じられない人もいる。

たしかに目安のひとつにはなるかもしれません。


でも「爪かみ」=「愛情不足」ではありません。

長年続いている場合は「癖」です。

万が一きっかけが「愛情不足」で周りに大人がいない環境で寂しかったから始まったとしても、長年続いている場合はもう「癖」です。

5歳の時に始まった爪かみが20歳まで続いていた場合。
5歳の時はたしかにお兄ちゃんが入院してひとりにされがちだったという状況だったとしましょう。
でも20歳になっても続いていたからといってずっと愛情不足を引きずっているわけではありません。
5歳の時の愛情不足が埋められていないわけではありません。

単に「癖」として残ってしまっているだけです。


爪が長いのがイヤ

指先の神経が敏感な子に多いです。
小さい時から手先が器用だったりビーズや折り紙、ピアノなどが得意だったり。
そういう子は「爪」が邪魔です。
特にそういう作業が好きなら尚更。

そのため、「長くなってくると落ち着かない」という理由で爪かみをしていたり深爪をしたりすることがあります。

ただ成長して「爪の先」でも物を扱えるようになってくると、今度は爪を伸ばして「爪の先」でも巧みにあれこれできるようになることもあります。
指先が器用だからこそネイルを楽しんだりすることも。

そういう子の場合は「ネイル」を始めることで爪かみをやめることもあります。


爪を切るのが面倒臭い

何気に結構多い理由がこれです。

爪を切らなきゃいけない…なんだか伸びていて気持ち悪い…。

でも爪切りを持ってくるのが面倒臭い…。


噛んどこ!


みたいな流れ。

男女問わず結構います。

また爪切りで切ると角がとんがったり、切りすぎたりしてしまうことがあるじゃないですか。

でも噛めばそれはありません。自分の好みの形にきれいに仕上げることができます。

むしろ割と神経質そうな人ほどきれいに仕上がるという理由で自分で噛んで仕上げていたり。

逆に道具を使うのが苦手な手先が不器用な人も噛んで済ませてしまうことがあります。

「爪切り取るだけやん!」って思うかもしれませんが、それを「だけ」と取るか「面倒」だと取るかは人それぞれ。

なんでなん?と聞かれれば「それはわかってるけど、それも面倒だから」と思っている人は結構います。


集中のための癖になっている

先ほども「癖」と言いましたが、集中するときに爪をかむ人は多いです。

口元に何かあると安心できる、集中できるという人は結構多いです。

ガムを噛んだり、タバコを吸ったり。

爪なら絶対そこにあるので、集中するためには手っ取り早いですね。

集中するときに「別の何かをする」というのはそこまで珍しいことではありません。

音楽を聴きながら勉強をする人
ペン回しをしながら勉強をする人
動画を見ながらペンを解体する人
話を聞きながら貧乏ゆすりをする人

頭の中で集中するために、別の刺激で何かを緩和しているだけなので、愛情不足云々とかではありませんよね。

これは「何もなくても集中できる人」がいれば「集中するためには何か工夫が必要な人」がいるので、人それぞれ方法が違います。

その中のたまたま「爪かみ」だったというだけになりますね。


■発達障害の子にも多いのは事実

発達障害の子、敏感な子、こだわりのある子、自分の世界に閉じこもりやすい子…はこの傾向が強いと言えるかもしれません。

こういう子たちは、かつて「育てにくい子」とされていました。

育てにくさゆえに放っておかれたり、周りに叱られてさらに自分の世界に閉じこもろうとして「爪かみ」をしていた可能性があります。


詳しい背景は割愛しますが、爪をかむというのは彼らなりの自分を防衛する方法でもあります。

それでなんとか自分を保っている場合もありますので、必ずしも「やめさせる」ことが本人のためにならない場合もあります。

もちろん「他の方法でもなんとかなる」のであればいいのですが、他の方法も提供せずにただ「叱ってやめさせる」というのは、本人にとってかなり負担になる可能性もあります。


それこそ愛情不足だからこそ「爪かみ」が出たのではなく、「爪かみ」を無理矢理やめさせたことで「愛情不足」が別の形で出てくることもあるでしょう。


■なぜやめ(させ)なければと思うのか

「愛情不足」を見せられているみたい

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