取れなかった席と、持ってこられなかったファッション誌。
時刻は、15:00。
今日は13:00から大学のガイダンスだった。
なんだか読めばわかるような話を何度かされて、ほむほむって思ってたら終わっていた。
次の約束の時間は、16:45だった。
ガイダンスが13:00〜16:00からと書いてあって、全然終わらなかったりしたら待たせちゃって申し訳ないから、と私が考えあぐねた結果のこの時間。
だったのに、なんとガイダンスは1時間ちょっとで終了するという事態。
完全に読みを誤った。
それから1人先に待ち合わせ場所に向かった。
駅前のスタバで時間をつぶそうかな〜、なんて思いながら。
ここまでが、15:00までの経緯。
スタバにつくと、人、人、人。
あー、いつだってスタバは人気だ。
正確なことを言うと、スタバが入った蔦屋書店なので、書店を見ながらお店をぐるぐる。
空いた席を見つけるも、なんとなくタイミングを逃して、2周くらいしたあたりでやっと席を見つけた。
こう言う時の私の間の悪さと、度胸のなさといったら。まったくだ。
やっと一息ついて、本を読んでいたら、前からマダムが「ここ空いてます?」と声をかけてきた。
とっさに言葉が出なかった私は、「あ、はい、」と言って、手をどうぞと言う形にして出した。
するとマダムは飲み物を買って戻ってきた。何かのケーキも一緒だった。
それからファッション誌も。
わたしにはないものを持っている人だと感覚的に思った。
ちゃんとやっていいこととやってはいけないことに区別をつけて、やっていいことの中で自分を主張できる人。
そんなイメージ。
だって、わたしは、席を探すのに2周もして、空いてるか空いてないかと座っている人の顔色を伺って、それでやっと席を見つけたけれど、読みたかったファッション誌は席から遠かったから持ってこられなくて、それで自分の持ってた本を読んでいたのだから。
そのマダムはさらに、2人組の男子高校生に席まで譲ってあげていた。
1人席なら空いていても、並びで2人席は空いていなかったのだ。
電車の中でなら少し見かける光景でもあるが、スタバでも…
なんだかもう感服という感じだった。
わたしには到底なれそうにもないけれど、あの人にとっては普通のことだったのだと思う。
そのまま憧れの対象として記憶の中に置いておきたいような人だった。
ほとんど会話もしてないのに、人に対してこんなにも尊敬ができるということをはじめて知った。
顔も名前も知らない見ず知らずの他人に。
なんだか言葉にしたいような、したくないような時間だった。
時計を見ると、16:30になっていた。
少しぬるくなった柚子シトラスティーを飲み干して、席を立った。
これが1週間前の話。
あっという間に4月も2週目。
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