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十六夜杯審査員賞【しろくまきりん賞】

改めまして、十六夜杯にご参加くださいました皆さま、
本当にありがとうございました。

たくさんの皆さまが盛り上げてくださいましたおかげで、
今回も無事にここまで来ることができました。

心から感謝を申し上げます。

では、最後のおつとめ。
審査員賞、しろくまきりん賞を発表いたします。



芸術の秋におさめる運命を
詠み人さくらさん

芸術の秋の運命に流れる音楽は、ベートーヴェンというよりショパンですかね?というとブーニンやドヴォルザークもいいですね、とお返事をいただきました。

本当ですね、とてもこの俳句に合う気がします。

納められた秋の芸樹は、白いキャンパスに描かれたユトリロなのか、脚力を無くした踊り子に恋をしたピエロを物語る喜劇なのか。

芸術という言葉から始まって、運命、という言葉で終わる。
序章があってクライマックスへ向かう流れをとても感じました。

素敵な時間を過ごせた俳句でした。

ありがとうございました。



秋の歌1/fゆらぎかな
雪ん子⛄️さん

俳句の良いところは、少ない言葉なのに、大きな気持ちになれるところ。

ゆらぎともに、団欒の音楽が聞こてくるような俳句に、小さな思い出が蘇りました。

一度だけ仕事で行ったことがあるヨーロッパで、ちょっと大変な日々を過ごしました。そんな中、招待されたお家でゆったりとしたおもてなしを受けたのです。でもそれは特別なものではなくて、ただ当たり前のように食卓のキャンドルに火を灯し、薪をくべて暖炉に火をつける。

食器の音、お料理の音、そして

ゆれる炎が、1日を疲れを溶かしてくれました。

何か忘れていたものを思い出したようで、
嬉しかったです。

ありがとうございました。



マリンバの演奏会や秋涼し
Sazanamiさん

マリンバって素敵ですね。
この俳句を見た瞬間にコロコロコロコロと流れるようなマリンバスティックの踊りが目に浮かび、素敵な秋を演出してくださいました。


マリンバスティックってまるで森にいる動物のよう。

リスやオコジョにテン。
みんなが持っているのは木の実なのかな、タンバリンかな?

そうして綺麗なマリンバの音色に合わせて、みんな楽しく演奏会をしている様子に、とてもほっこりとしました。


秋色に染まった森の中にいるような素敵な俳句をお届けくださって
ありがとうございました。



移りゆく想いも上弦の夢に乗せ
大橋ちよさん

その弦から放たれて弓はどこに向かうのでしょうか?

お月様を詠まれた俳句の中でとても宇宙を感じることのできた俳句です。
さすが、大橋ちよさんです。

その月から放たれた弓に誘われて、天空から舞い降りてくる彼女の手をとり、はるか遠く旅をするのでしょうか?

この続きがどうなるのか、小説を書かれるちよさんに宿題をもらったような俳句に少しだけ好奇心がうずいて、ドキドキとしました。

旅の行方をぜひまた、教えてください。

とても素敵な俳句をありがとうございました。



 右折待つフロントガラス小望月
井戸乃くらぼー(村蛙・さつき絢芽)さん

カチカチカチカチ、、、

小さな切り取った日常を詠む、これが俳句の良いところなんだな、と思いました。

あなたが運転をする横で、私は、いつもその横顔に頬を赤らめていることを、知っていますか?

BLUE NOTEからの帰り、ちょっとふっくらとした月を、あなたはハンドルに手をかけて誰かを思うように眺めていた。

それはきっと、私の知らない人。

そんなことを想像してしまうほど、とても魅力的な俳句です。このような俳句を詠まれるなんて、とても素晴らしいと思います。

小望月を選ばれたところももちろん素敵ですが、個人的に右折、が好きです。
なぜ、と聞かれてもわかりませんが、左折よりもスーッと入ってきたのです。

なぜ、右折だったのか、ちょっと聞いてみたいです。

素敵な俳句を

ありがとうございました。



秋の雨上がり昨日とちがう今日
ふぅ。さん

今日に願いを込める。

今日から始まる新しい未来に、「きっと」という3文字に願いを込めて。

当たり前のこと、当たり前の日常だけど、きっとちがう今日を迎える。

いつもの指に、はめようとした指輪を、違う指にはめてみたりして。

だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、きっと素敵な日になるよ。
また新しい明日につながる、今日になるよ。

力をもらえた俳句でした。
そして、言葉の使い方は大変勉強になりました。

ありがとうございました。



秋雲や大和飛鳥の長尾かな
緋夢灯ーhimutoーさん

綺麗な流れをみていると、その流れに合わせた曲が頭の中に流れてきます。
耳をすませて、目を閉じて。

真っ青な空に、その空と同じ色をした綺麗な鳥。

大空を舞う、その美しい鳥の行方を刷毛でスーッと伸ばしたような雲、竜のような雲が空を覆い尽くして。

どの世界へも自由自在に飛び回るように。

そうやって鳥と一緒に、雲と一緒に空を飛んでいるような、そんな俳句でした。

美しい背景に彩られた俳句だと思います。

ありがとうございました。



糸杉やてっぺん僕の星月夜
riraさん

ヴィンセントは寂しかったの。

そう、ただ、寂しかったのだと思います。
ゴーギャンに宛てた手紙はきっと愛に満ち溢れていたはずです。
美しいその線からは、永遠の生を揺るがないものとしていたのでしょうか。

このriraさんの俳句は、ゴッホへの愛がとても溢れていると思いました。

そのてっぺんに行ったら、夜空は全部僕たちのものだね。


お星様を一つ、プレゼントしてくれませんか?


素敵な俳句、ありがとうございました。



秋の雨傘持たぬきみ空みあげ
moeさん


私に向かってやってくる雨粒たちは、私の涙を消してくれるでしょうか?

雨の、音って、何?
雨の音?

どうして雨は、心を癒してくれるの?

白鍵の流れるように、指先が、

地面に落ちる雨粒に似ていてなぜか、

涙がひとつ。

雨音に心を奪われる、そんな時間をくれた優しい俳句です。

雨の日に、空を見上げて、雨粒たちを迎えてあげたいです。

ありがとうございました。



玉響のレゲエダンスの桐一葉
ゆずさん

桐の葉が一枚。
物語が、しずかに始まります。

地面に降り立った時、何かが始まるような。

枝から離れた桐の葉が、地面に落ちるほんの少しの間の、ハラハラとしたその姿をレゲエダンスと表現された。玉響という言葉を全く違うレゲエダンスという言葉で組み合わせているのに、なぜか心地よさを感じました。

ゆずさんのレベルの高さをとても感動しています。

並ぶ文字のビジュアルも私にはとても心地よかったです。

さすがです。

ありがとうございました。



ヒヨドリに残す無花果お静かに
夕凪 遙さん

「シー」

そう、昔はよく父も庭の木にりんごを刺していました。

常連の鳥さんたちは「待ってました」とばかりにやってきて、そして仲良く啄んで。

私は窓の隙間から鳥さんが逃げないように、そーっと見ているのです。

まさに、この俳句の通り。(無花果ではなかったけれど)

きっとそんな思い出、みなさんもありますか?

「ヒヨドリさん、きたきた」という感じなるのですよね。

可愛らしい俳句。

ありがとうございました。



悠々と回り道して秋の虹
めろさん

虹をずっと見ていたくなります。

雨上がりの虹。

「回り道していこう」そんな声に手を引かれて
消えるまで、

消えるまでずっと。

回り道したから見える虹がある。
見えた虹を回り道してずっと見守ることもある。

回り道をするから、わかることがある。
結果を見つけても、あえて回り道をして時間を過ごすことも大切である。

豊かな心に導いてくれた俳句です。

ありがとうございました。




素敵だった十六夜杯に。

心からお礼申し上げます。

そして、もちろん、ご参加くださったみなさまに
心から御礼お申し上げます。

ありがとうございました。


#十六夜杯

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