泣き叫ぶまで、10秒前
娘が乳児だった頃の話。
娘はおとなしい子でした。そして鈍感でマイペース。
運動会では、ヨーイドン🔫の合図で、他のお友達が走ってから安心してスタートするタイプ。
リレーでは、一番最後を走っていると「こりゃイカン!」とトラックの真ん中をショートカットしてゴールへ!
そんないつも冷静で滅多なことでは動じない娘ですが、ごくたまに、瞬間湯沸かし的に泣き叫びを発動させることがありました。
それも事が起きてから、数秒後に。
そんな娘の、泣き叫ぶまで10秒前のエピソード。
■ビデオデッキで
パタパタとビデオデッキのビデオテープを入れる入り口が面白くて遊んでいた娘。
楽しそうなので安心していると突然の叫び声!
急いで行ってみるとパタパタと遊んでいた手がビデオデッキのパタパタに挟まれて取れなくなっていました。
リアルローマの休日(真実の口)
助けを求める娘の顔がかわいくて、しばらく堪能してしまいました。
■ファックスで
今はSNSの時代。
ファックスが家にあるご家庭はもう少ないことでしょう。
でもちょっと昔のその昔。一家に一台、ファックスがあった頃がありました。
そしてうちにもありました。(まだありますけど)
遠くに住むおじいちゃんやおばあちゃんとはいつもは電話で話していた娘ですが、絵が描けるようになった事もあり「ファックスでおじいちゃんとおばあちゃんに絵をプレゼントしよう」ということになり、娘はせっせと描き始めました。
見ていて「あぁ色は塗っても意味ないんだよねー」と思いながらも出来上がりを待ちました。
「じゃ、行くよ!」とファックススタート。
「ピーー、プー、、ジ、ジ、ジジジ…スーーーー、ピーー。」
ハラリ・・・・・
送信を終えた紙が床に落ちました
………
10秒後、娘の叫び声が!
急いで行ってみると、自分が描いた絵を持って「おじいちゃんとおばあちゃんのところに届かなかったーー」と泣きわめく娘がいました。
2歳そこらの娘には、「データ通信」の内容を教えるのは難しすぎました。
■血がが…
言葉を覚え始めた娘。単語だけだった言葉がだんだん2語文になるころ、ひとつだけ余計な接続語がくっついたままの単語が。
それは、一文字の言葉。
蚊、目、そして血。
「ママ、蚊がに刺されたの」
「ママ、目ががかゆい」
そう言って、一文字の言葉は、その後に続く接続後の「が」と一緒に娘の中に居座ったようでした。
ある日、娘と道を歩いていて、信号が赤に変わろう点滅を始めたので少し小走りに急いだ時、必死に付いてきた娘は思わず「スッテーン!」と大胆に転んでしまいました。
交差点の真ん中であった事もあり、そのまま娘を抱き抱え信号を渡りました。
痛かっただろうに、と娘を見ると意外にもキョトンと笑っていました。
転んだところを見ようと娘をおろして見てみると、けっこうな擦り傷で血が出ていました。
足の様子を見ていた私の頭上で、それまでニコニコしてた娘が自分の足の様子を見て、その状況の情報が脳に到達した10秒後、大爆音で泣き出しました。
「血がが、血ががーーーーーーーー」
通りがかりのおじさんが思わずティッシュを下さるほど、なかなかの注目をあびました。通行人の皆さんはきっと、転んだ娘を不憫に思って見ていたことと思いますが、私は娘が叫んでいた単語に、一人静かに笑ったのでした。
そんな娘ももう大学生。
もうさすがに泣き叫ぶことはありませんが、大学入試の合格発表の日。合格を知らせる画面を2人で見て、私は速攻で涙が出てきたのですが、娘はそこから数秒してから涙を流していました。
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