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【うつ病と紡ぐ日々】調子の悪い日との付き合い方

最近調子が悪い。
まあこんな日もあるよね、と思えるようになったのはいつからだったか。

少し前のnoteでも言ったが、私はうつ病だ。
最初に診断されてから、かれこれ7年くらいのお付き合いになる。


実際に自分がなってみて初めて、なるほどこれは厄介だなと思った。
自分の身体のはずなのに全然思い通りにならないし、日本海の荒波のように荒れ狂う調子の波に振り回されるばかりで、最初の頃は本当に頭を抱えた。

その時にたまたまネットで話題になったのがこの動画。

診断されてからそれなりにネットやら本やらでうつ病のことを調べたりしていたのだけれど、教科書的な定型文ばかりでなんだかしっくりこないというか「ふーん、で?」という感じだったのが、この動画を見て「これ!まさにこれだ!」とストンと腑に落ちた。

そして思った。
この黒い犬とは長いお付き合いになるだろうな、と。

うつ病に「完治」という言葉は当てはまらない、と個人的には思っている。
薬を飲んだり、環境を整えたり、ストレスと上手く付き合う方法を模索しながら出来るだけ穏やかに過ごせるようにしていくしかない。

7年間ずっと不調だったかと言えばNOだ。
もちろん定期的に通院して眠剤などは処方してもらっているが、寛解して再就職もしたし、他の同僚と遜色なく働けるようにもなった。

その職場でパワハラ上司に出会ったせいで再発してしまったのだけれど。


とにかく、そんなこんなで寛解と再発を繰り返し、気づけばもう何年もこの「黒い犬」と一緒に生きている。

黒い犬は気まぐれだ。昨日まで手のひらサイズで可愛く丸まっていたかと思えば、ストレスフルな日が続くとたちまち巨大化して私をまるごと飲み込んでしまう。飼い慣らすなんてとんでもない。

再発とまではいかなくても、調子が悪くなり黒い犬が悪さをすることは日常茶飯事だ。

最近は特に音に過敏になる日が増えている。
大きい音がダメとか、音楽が聴けないとか、そういうレベルではない。
とにかく音という音がストレスとしてぐさぐさと私に刺さるのだ。

例えば洗い物をする時のお皿がカチャカチャと鳴る音、電子レンジの「温まりました」のアラーム、果てはトイレの流す音まで。
ありとあらゆる生活音に敏感に反応してしまって、疲れ果ててしまう。
心配して声をかけてくれる母親の声すらストレスに感じてしまい、どんどんイライラが募ってしまう。

最初の頃はそんな自分をコントロール出来ないことがもどかしかった。どうしてこの犬は大人しくしてくれないんだ、なんでそんな何でもかんでも過剰に反応するんだ、と何とかしようと必死だった。


でも、そんなことを何度も繰り返して、こうすると楽だとか、気づいたら治まってるなとか、そういう経験を積み重ねた今では「あーまたか」という感じで受け入れることができるようになった。原因が何か、なんて考えるだけ無駄なので荒ぶるワンコを落ち着かせることが最優先だ。

「あ、音がダメな日だな」と思ったら、テレビを消して、スマホの音も消して、出来るだけ音を立てずに過ごし、母親には「今日ダメな日だから来ないでね」と前もって連絡しておく。母親と一緒にいる時に急になることもあるが、その時は「かくかくしかじか、今日はもう解散しよう」と伝えるようにしている。

そしてお気に入りのソファに寝そべって波が落ち着くのを待つ。

なるほど。今日は音が嫌な日なんだね、よーし分かった音消すわ。
出来るだけ静かにするから一緒に寝ようよ。ステイステイ。
と、私の中でグルルと唸っている犬に言い聞かせる。

あとは、様子を見ながら「ちょっと静かなBGMくらいなら大丈夫かな」とか「今は少しマシだからそぉーっと洗い物してしまおう」といった具合に、ちょっとずつ無音から日常に戻していく。無理に元通りにしようとすれば逆効果なのは経験上嫌と言うほどわかっているから。

音に敏感だった犬は、4日目にしてなんとか落ち着いてくれた。
といっても、またいつ耳をピンと立てて唸りだすか分からないのだけど。

まあその時はその時だ。
無理せず、のんびり、歩幅を合わせて長い人生を一緒に過ごすのだから。



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