誰も知らないインターネット上最大の会社
「ほとんどの人が利用するメジャーなサイトは多かれ少なかれうちの顧客です。もちろん、あのグーグルやヤフーも。」
そう語るのは、トム・レイトン。マサチューセッツ工科大学数学教授。
彼が1998年に立ち上げた会社が、「アカマイ・テクノロジーズ」。
聞いたこともない会社である。
アカマイ社の仕事は、一言でいえば、インターネット上での通信のサポート。
世界のインターネット上情報量の15%~30%は、アカマイ社を通して流れているそうだ。さらに、Facebook、Twitter、Youtube等の登場により、大規模なデータ配信の需要を受け、勢力を伸ばし続けている、影の大企業なのである。
ウェブサイトの持ち主は、アカマイ社にお金を払い、速く確実で安全なサービスを利用者に提供できるようにする。アカマイ社は、非常に速いスピードで、途中でデータが落ちたり盗まれたりすることなく、確実に望みの内容を配信する。
ウェブサイトの内容は、あらかじめアカマイ社の世界中のサーバーに入れておき、誰かがそのサイトにアクセスしてきたら、世界中にあるアカマイ社のサーバーの中で、各ユーザーに最も近いサーバーから、迅速に配信される仕組みになっている。
そんな、影の大企業、誰も知らないといっても過言ではないアカマイ社だが、その名が世に知られるきっかけとなった出来事がある。
それは、設立後の1999年、人気映画「スターウォーズ」の予告編をアカマイ社経由で配信してほしい、という依頼がきたときのこと。
当時、予告編の配信は、アップル社がQuickTimeサイトで独占配信契約をしていたのだが、アカマイはその事実を知らず、別の会社から依頼を受けた。
予告編の配信開始は夜9時。
アップル社のQuickTimeサイトは、一分もしないうちに突如ダウン。他の海賊版のサイトもダウン。そんなさなか、たった一つだけ稼働しているサイトがあった。アカマイ社を利用した会社のウェブサイトだけは、予告編を配信し続けることが出来たのである。
このとき、あのスティーブ・ジョブズからも電話がかかってきたらしく、それ以来アップル社とは良いパートナーとなっているようだ。
実際、iTunesで配信しているものは、すべてアカマイ社が提供している。
そんなことは知らず、今日も何十億人もの人々がアカマイを利用する。
なんだか、知らない会社なのに、すごい。
まさに、縁の下の力持ち。