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白の俳句道場風【第十回】

今日の俳句は、ひとわけいぶきちゃんの白杯提出句。

いぶきちゃんの俳句はこちら!

秋だけどハイビスカスが満開だ
秋なんて名前だけだよ沖縄じゃ
中秋の月見さざなみおどり魚

沖縄ならではの三句だねえ。

いぶきちゃんも記事で言っているが、沖縄ならではの風土を逆手に取った川柳のようにも読めるよね。これはむしろ確信犯でしょう😏

秋だけどハイビスカスが満開だ

実際そうなんだから仕方がない。仕方がないからこれで良いのだが、いざ俳句を詠もうと思ったとき、より俳句らしくするテクを伝授しよう。

句を読んでみると、

秋(という季節)だけど(沖縄はまだ夏のように暑いので、秋ではなく夏の終わりに咲く花である)ハイビスカスが満開だ。

という文を、五七五に音数を削ってまとめている。この、沖縄は暑い→ハイビスカスが満開だという関係を因果関係というのだが、実は俳句は因果関係をいうことを嫌うらしいのだ。言い換えると、通常書く文章を散文というのだが、俳句は散文的に詠むのを嫌うともいえる。

まとめると

因果関係を避ける
散文的にならない

これが俳句のポイントである。その上で季語問題をどうするかだが

秋深し季節外れのハイビスカス

当季でない季語をあえて詠むなら、それを明言するしかないかなあ。師匠の皆さんどう思います?

秋なんて名前だけだよ沖縄じゃ

二句目。倒置法を使ってあとに沖縄を持ってくることで、秋が名前だけだという種明かしをしているという語順の工夫がいいね。

また下五「沖縄では」となるところを口語のくだけた表現「沖縄じゃ」とすることで五音におさめている。この辺から定型を守ろうとするいぶきちゃんの真摯な姿勢がうかがえてよいね😏

さて、この句は「秋」が季語だが、句を読むと秋は「名前だけである」と季感を否定していることから、無季と読める。また、沖縄という土地柄をおかしむ姿勢がうかがえるので、これも川柳に近い俳句と言えるだろう。

これを俳句に仕上げていくためには、主役になる季語の検討が必要かもね。動植物などはどうしても夏の季語ばかりになりそうなので、忌日とか行事などの季語にしてみると面白いかもしれない

沖縄や何処も彼処も生身魂いきみたま

生身魂(いきみたま) 初秋
【解説】
お盆には、先祖の御霊を迎えるとともに、一家の長老を生きた御霊として祀る。今も蓮の葉にもち米飯を包み、刺し鯖を添えて贈ったり、物などを献じる。【きごさいより】

中秋の月見さざなみおどり魚

三句目。

これは沖縄でも変わることのない季語を見つけたね😊

月見とあれば視点は空に。さざなみ、魚とくれば視点は海に。空に月、海に魚と事物を対比させ、視点を上から下へ誘導をすることで、大きな世界を十七音に閉じ込めているところが素敵!

レベルアップポイントその1

「中秋の月見」という部分だが、実は月見には「中秋の名月を見る」という意味が込められている。

月見(つきみ) 仲秋
【子季語】観月/月祭る/月を待つ/月の宴/月の座/月見酒/月の宿/月の友月見茶屋/月見舟
【解説】仲秋の名月をながめ賞すること。薄を活け、三方に団子や季節のものを供える。月見の宴が催され、主人が客をもてなす。酒食のほか詩歌や謡で興趣を添える。また、松島、姨捨、石山寺など月の名所へ多くの人が足を運ぶ。【きごさいより】

だから「中秋の」という上五には、他の情報を入れることができる。後の説明を読むと

夫(つま)に添う とか、ドライブの とか入れられるかも知れないね。

レベルアップポイントその2

おどり魚という下五。

そういう種類の魚がいるのかなーと思ったが、

🌕✨月光に照らされて
さざなみの中、
魚🐟達は踊っているんでしょう〜
と、思いながらの一句。
(^。^)🎵

という言葉を読むと、「おどり(を踊っているように泳いでいる)魚」という例えなのかな🤔

とすると、ここはおどり魚というひとまとまりの名詞ではなく「踊る魚」とか、「魚踊る」とかのように名詞+動詞で表現した方がいいかも。ちょっと白魚の踊り食いが頭をよぎるんだよな笑

以上二点を踏まえると

ドライブの月見さざなみ魚踊る

これでひとまず言葉はそろったので、あとは「月見のドライブ」がいいかなーとかいうふうに語順を変えてみたり、もっといい言葉はないかと探してみたりして推敲は続いていくのであった。

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