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電話は時代を語る・・・声を残すこと

またまた
スマホなどがない時代・・・

電話をかけて
呼び出し音を
10回・・・20回・・・
鳴らしても

相手が出なければ
切るしかない
もう一度かけて
同じように・・・待つ
それでも出なければ
5分後にかけ直す
それでも出なければ
「どこかにでかけているのか?」
「まさか、倒れているのでは?」
「電話に出たくないとか?」

・・・思惑だけを残して
またかけてみる
もしくは
明日まで待つ
誰がかけたかわからないから
折り返されることはない

もどかしいやり取りの日々を過ごしていると
ある頃から
「留守番電話」という機能が
付いた

人ではない声が
しゃべる
「ただいま留守にしております
ピーッと言う発信音のあとに
お名前と電話番号を
お知らせください
こちらから
おかけ直しいたします」
「ピーッ」

「はい、どうぞ・・・」と言われても
話したい相手ではない電子音の声の促しに
素直に
「はい、○○です・・・」と
答えられず
すぐに電話を切ってしまっていた

伝えたい内容をメモして
もう一度緊張しながら
ちょっと
声を作り
トーンを上げて
その内容を話し出す

「留守番電話」というこの仕組みが
きらいだった
電話で話す・・・と言う行為は
一対一の関係だ
そこに何か異物が入っているような感覚
邪魔されているとも言えるような・・・
誰かに指図されているような

しかし
人は
慣れる
その便利さに気付く

連絡しようがなくて
待ち合わせは
すれ違いも多かった時代

お互いが
留守番電話に録音し
外から聞くことが出来ることは
とても画期的だった

一手間も二手間もかかり
遠回りもした
それでも
大切な人が残した声は
削除しないで
何度も聞いたりした

あの大きな電話機は
どうしただろう
たぶん
色はメイビーだったと
覚えている