最初で最後の手紙…Ep8(S様)
初めて見る
真冬の夜明けの日本海は
絶壁に打ち付ける波そのもの
それはそれは
荒波で
それはこちらの懐に
入り込み
ひきずり降ろそうとするかのように
もしくは
大波の先の雫を集めて
纏わりつくように
襲い来るので
私は思わず
身をすくめて
あなたの背の後ろに
隠れました
後ろから見上げた
あなたの目は
その荒波を見つめていた
初めて見る何かに
そこに
意味を見いだそうとしているかのよう…
そして
いつもよりもっと
無口でした
今日までの日々
少しずつ
あなたのことばが