業務部門のみんなに知っておいてほしいシステムの導入プロセス
大学の情報システム部門にいると様々なシステムの導入に携わります。しかし、我々は業務に精通しているわけではないので、業務部門の人たちと一緒にプロジェクトを進めていく必要があります。
今回は情報システム部門の人だけでなく、業務部門の人にこそ知っていただきたい内容となります。また、システム会社さんの方もユーザー側のポイントを押さえておくと後々炎上せずに円滑に進められると思いますのでぜひご覧ください。
※本記事はあくまでも一例です。完璧を求めるのではなく一歩を踏み出せる一助としてご覧ください。
運用開始までには「事前準備」「プロジェクト」「移行」と大きく3つの工程があげられます。この流れを理解し、5つの経営資源「人・モノ・金・時間・情報」を意識しながら進めていきましょう。
今回ご紹介するのはプロジェクトが開始されるまでの「事前準備」のプロセスです。やる事が多い様に見えますが日常的に業務を遂行していれば後は意識してアウトプットするだけです。
それでは、順番に見ていきましょう。
1.現状把握
システムを導入する時は、「今までの手作業をシステム化したい」や「システムが古くなったから更新したい」があります。いずれにしても、まずは今の業務がどうなっているのかを視覚化できるようにしましょう。
最初が肝心です。このアウトプットがベースとなるのでしっかりとアウトプットしておきましょう。
現状を把握する上で必要なのが業務フローです。以下の3つのポイントを意識して業務を洗い出して業務フローを作成してみてください。
①登場人物(人・もの・システム)
②アクション
③流れ・順番
※下図は寄付業務に関わる業務フローのサンプルです。業務フローの作り方はどこかでお話します
2.問題認識
次に問題となっている箇所を認識します。現状を把握した結果、ミスが多いのか、作業に時間がかかりすぎているのかなど、ここでは問題部分を洗い出しておきます。
なお、チームとしての共通認識とするためにも業務フローがあると認識の齟齬がなくなり問題が明確になります。
3.課題抽出
問題が見えてきたら解決すべき課題を抽出します。問題として「ミスが多い」とした場合、「どのようにミスを減らすか」が課題となります。
・問題:ミスが多い → 課題:ミスを減らす
・問題:作業に時間がかかる → 課題:作業時間を短縮する
問題と課題はきちんとすみ分けるようにしましょう。
4.目的・目標設定
現状や問題・課題も見えてきたらありたい姿を思い浮かべてみましょう。
何のために・誰のためにやるのか、どうありたいか
声に出してチームメンバーと決めてください。
旅行をする際の「旅のコンセプト、目的地を決める」と言った感じです。
その際、5W1Hで考えると話がまとまりやすくなります。
また、ここが曖昧のまま進むとスケジュールや費用にも大きく影響が出てきますので合意形成を取るようにしましょう。
5.要件抽出
目的地(目的・目標)が決まったら具体的に要望や条件を書き出していきます。業務部門の方は「どんな運用をしたいのか。どんな効果を期待しているのか」を明示しましょう。
ここではシステム的な表現は不要です。自分たちの言葉で書き出しましょう。
そして、ここで書き出した内容はRFP(Request for Proposal:提案依頼書)のベースとして利用します。
6.社内フロー/プロジェクト前フロー
この辺りから「鶏が先か、卵が先か」問題が発生してきます。
これらは、状況によって大きく異なるので「要件抽出」「概算費用」「予算確保(社内説明)」のバランスをとって進めていく必要があります。
予算ありきで現状把握の段階から社内プロジェクトが発足するケースもありますので、自社内のフローを理解して進めましょう。
なお、潤沢に予算があるとは限らないので、大抵は経営層の了解を得る(説得する)ことが必要になります。
現場からの熱い気持ちをラブレター(社内説明資料)にして経営層を口説いてください。そのためにもチームメンバーが一丸となり、またビジネスパートナーの力も借りて説得に臨みます。
7.システムの選定
経営層の説得もできて予算も確保できたらいよいよ製品の選定になります。自分たちが目指すべき目標に一番マッチしているシステムを選定します。
そのために候補となるシステムの提案を受け、比較し検討していきます。
なお、随意契約で導入ベンダが決まっている場合はこの工程が省略されます。その場合、要件の抽出工程も省略される可能性も高く業務革新が進まない恐れがあります。
まとめ
運用開始までには「事前準備」「プロジェクト」「移行」と大きく3つの工程があげられます。
今回ご紹介したのは、プロジェクトが開始されるまでの「事前準備」のプロセスです。
大切なのは5つの経営資源「人・モノ・金・時間・情報」を意識しながら進めていくことです。
現場で働く業務部門の人たちが問題意識を持ち、経営層を巻き込んで業務改革を推進できる力を身につけていただければと思います。
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