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【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』

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【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』のまとめです。完結済み。 アサとユキはともに高校一年生。もうじき、幼馴染の二人にとって、高校生になって初めての夏休みがやってくる。アサにはユキ…
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#女子高生

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第8話

 いつのまにか、夜、星を見上げてホットミルクを飲むことが習慣となっていた。夏だったら、半…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第12話

「どういうことか、説明してほしい」  甘口のカレーをせっせと口に運びながら、野菜を一人ひ…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第13話

 日焼けする、とひるんだのはほんの一瞬で、次の瞬間には海がキラキラと光る様子に目が奪わ…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第14話

 港に下りると、船の上よりも何となく塩の香りを強く感じた。海にまっすぐ伸びたコンクリの岬…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第15話

 広い玄関に入って息を深く吸うと、湿った木に匂いがした。いい加減ヒールが高いサンダルは疲…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第16話

 横に広いの階段がぎっぎっと軋んている音が聞こえて、振り向いた。ユキの綺麗な黒い髪がちら…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第17話

 商店街の終わりが見えてきた。  古臭い灰色のレンガが並んだ地面の両脇を、小さな店がいくつもひしめきあっている。藍色ののれんをぶら下げた魚屋。真っ赤に熟れたトマトがいくつも並んでいる八百屋。緑の大きな屋根には、白い字で店名が書かれている。その隣は果物屋で、その隣が豆腐屋だ。夕方に近くなってきたこの時間は、だんだんと人が増えてくる。通りにぼちぼちいる買い物カゴをぶら下げたおばさんたちは、アサやユキ、諒を見るだけで親しげに呼びかけてくれる。  島に唯一ある洋服屋や八百屋が立ち並ぶ

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第18話

「だからね、一緒にかけっこしようって言ってんの!」 「だから、何で僕がそんなこと、あなた…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第19話

 おいしいはずの夕食もどうしても箸が重たく感じて進まない。何を食べても味がほとんどしない…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第20話

 天気は快晴だった。そして、多分明日も快晴だ。  軽い準備運動をしながら、さっきまで目が…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第21話

 風が吹き始めた。  ポニーテールにしている長い髪が顔の方まで降りかかる。うっとうしくて…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第22話

 部屋からは、カリカリとノートの上でシャーペンが走る音が響く。ごくたまに問題集をめくる音…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第23話

 島に一つだけある神社は、そろそろ始まるお祭りの準備で忙しい。境内はひんやりとした空気に…

小山内 裕
2年前

【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第24話

「あーっ無理! もう無理!」 「あーあ。だからお昼食べ過ぎるなって言ったじゃない」 「そんな今さら言ってもさあ……あーっちょっと本当に無理! 良子おばさんっ」  ユキから冷ややかな視線を投げかけられながら、必死で近くの柱にしがみついた。手でどこか握ってないと、この苦しさにとてもじゃないけれど耐えられない。良子さんはものすごい力で帯を締め付けている。お昼に食べた、たらこのおにぎりでしっかり膨らんだアサのお腹をこれでもかというぐらい締め付け、圧迫する。今は苦しいだけだけれど、その