心の導くままに

しばらく冬眠していた心を起こすように、心の導くままに動いている。

先週お茶を飲みに行ってほっとした気持ちを忘れない内に、茶道具を買おうと思った。
調べるとネットでたくさん売っているけれど、手に触れて物を買いたい気持ちが高まっている。
お店の人に相談しながら買いたい。実物の手触りを感じたい。そんな気持ちは今までなかった。店員さんの接客も苦手だし、ワンクリックで買えてしまうほうが気楽だった。

ところで、先月法事で喪服を買い、久しぶりにちゃんとした格好をしたら、気持ちがシャキッと気持ちよかった。
スーツやオフィスっぽい服があまり好きでなく、カジュアルで楽な服ばかり着てたけど、最近着たい服もなくなってた。喪服を着てはじめて、きちんとした服を着るのっていいなと思った。はじめて、スーツを着てみたいと思った。ここ半年ほど、目も乾くし面倒なので、ずっとメガネをかけていたけれど、久しぶりにコンタクトレンズを入れ、お化粧もして、スーツを試着しに行った。

スーツ選びは難しい。たくさん置いてあるが、違いがわからない。今までだとその時点でゲンナリしてたが、買いたい気持ちがあると違う。店員さんにあれこれ質問し、どんどん試着していくうちに、何が着たいか自然とわかっていく。楽しい。
鏡の中に映る自分に驚く。久しぶりにコンタクトレンズをつけて見る自分は、いつもよりクリアに見える。なんと...年取ったなぁ...というのがはじめの印象。頬がこけて、しみそばかすが増えて疲れている。髪の毛のツヤも減り、おろすとなんだかざんばらという感じ...。
それでも、キュッと髪をまとめて、スーツを着ると、シャキッと見える。なんだか気持ちいい。
すぐに着る予定があるわけでもなく、欲しかったアイテムは置いてなく、決めきらなかったのですぐには買わなかったけど、テンションがあがった。やっぱりスーツを買いたい。

その勢いで茶道具を買いに行く。ショーウィンドウが美しい小さなお店。引き戸を開けて店に入る。他にお客さんはおらず、奥からご主人が出てくる。ぐるっと店内を回り、稽古道具が見当たらないので、店主に聞く。すると店の奥から出してきてくれた。
これからお稽古を始める予定と伝えると、すごく親切に一つ一つ説明してくれる。お菓子を切る道具のケースなど、絹で織られた布の柄がとても美しい。昔から、和の世界が好きだったなぁと思い出す。
穏やかに、お茶について笑顔で楽しそうに話すご主人の話を聞いていると心が落ち着く。ほっとする世界が、心地よいやり取りがここにあると感じる。心がジジババなのだよなぁとしみじみ思う。

買いたいものがあるだけで、ほんの少し買い物に外に出かけるだけで、こんなにもたくさんの未知の世界がある。

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