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画家、ニシムラマホさんと芸術爆発的な仲間たち

ニシムラマホさんの2023年の個展を紹介した記事「画家、ニシムラマホさんの個展が今回も凄かった (2023.12.8)」のおまけです。初日のライブパフォーマンスの様子をお届けします。


踊るマホさんと音響の世界

ニシムラマホさんの2023年の個展では、初日のオープニングパーティーでライブパフォーマンスが行われました。動画を撮影させていただいたので、このときの様子をお届けしたいと思います。

マホさんのVRによるライブドローイングに、ギターとボーカルのsewohayamiさん(@sewohayamimi)、ギターのKANAMORINさん(@kanamorin)という構成です。VRの技術はkinomalaboさん(Webサイト)が担当されています。

マホさんは過去の個展で、VRの作品展示を行ったことがあります。これは何もない真っ白な壁の部屋にVRヘッドセットだけが用意されていて、それを装着すると、周りに三次元上に描かれたマホさんの絵画が出現するというものです。今回は実際にマホさんが目の前でVRを使用したライブドローイングを行い、それがモニターに表示されるという形になっています。

VRのアートというのは三次元上に描かれるのが特徴ですが、デジタルゆえにその場でキャンバスとなる空間の拡大縮小ができるという点があって、これはリアルタイムで目にするとかなり新鮮な体験です。ヘッドセットと両手のデバイスを使用して空間上に線を描いているマホさんの姿も面白くて、「妖精の踊りかな?」という印象を受けます。(マホさんの正体が妖精だったとしても、今更驚きませんが…。)

続いて、ミュージシャンのsewohayamiさん、KANAMORINさんのおふたりと、VRのkinomalaboさんについても少し触れてみます。

この場には面白い人しかいなかった

冒頭の動画でボーカルのsewohayamiさんが歌っているのは「I wish I were a bird」という曲で、この曲は作詞をマホさんが行っています。sewohayamiさんは、この動画に映っている部分ではこのように歌詞のある楽曲を歌っていますが、20分ほど続いた今回のパフォーマンスの前半では、歌詞のない即興的で柔らかいボーカルを披露してくれていて、これも大変美しかったです。

パフォーマンス後にお話しさせていただくと、sewohayamiさんは偶然にも私が演奏者として活動しているアイルランド音楽の分野にも接点があり、ときどき裏方的な仕事で関わられているそうです。今回初めてお会いしましたが、アーティストさんや飲食店の店長さんなどに共通の知り合いが複数いることわかり、よく言われる「世間は意外と狭い」というのを感じて面白く思いました。また、音楽活動以外にも、香水やフレグランスといった香りに関する分野において、販売やワークショップも行われているそうです。

エレキギターのKANAMORINさんは、エフェクターを駆使してギターらしからぬ音響空間を作り上げるアーティストさんです。自分がその場で出した数秒間の音をループさせる、ルーパーと呼ばれるエフェクターがあって、エレキギターひとりで多重録音のような複雑な音の世界を生み出しています。普通にイメージされるギターらしい音だけでなく、風の音や水の音などを連想させる特殊な奏法を混ぜ込んでいて、アンビエントと呼ばれるジャンルに寄せたサウンドを聴かせてくれます。

私はKANAMORINさんとも初対面だったのですが、音色にジャズギターのPat MethenyやアンビエントのBrian Enoの影響を感じるという話をしたら、やはりそのような分野の音楽が好きだということです。私自身もいろいろと音楽を聴いたりやったりする人なので、音楽と楽器の話で大変盛り上がりました。ちなみにKANAMORINさんは生け花の先生をされているそうで、お話していてとても楽しい方でした。

VRはkinomalaboさんによるもので、最近のマホさんのVRを使用した作品で技術面を担当されているそうです。こちらの真野明日人さんは仏像の彫刻師(仏師)だということで、伝統を持つアートの領域と、日々進歩するテクノロジーの領域でシームレスに活動されているという点は興味深く感じます。

人生がまるごとひとつの表現になる

ここに述べた3人の方の経歴を改めて考えてみると、すごく面白いなと思います。シンガーソングライターと香水等の販売、インプロビゼーションを行えるギタリストで生け花の先生、VR技術を扱う仏師……。それぞれ発揮する能力が全然違うであろう活動が、もしかしたらご本人の中ではひとつの共通の意味を持つものとして統合された形で、その人の中に存在しているんですよね。

この記事は元々、見出しにある「画家、ニシムラマホさんの個展が今回も凄かった (2023.12.8)」の一部として書いていたのですが、分量が多くなったため、ここに別の記事として分けたものです。元の記事で私が最後に述べたのは、自分の世界を持って、自分の力で何かを表現するということについてでした。

自分で何かをするということを考えたとき、ニシムラマホさんとその周りにいる人たちの存在は、何か重要な気づきを与えてくれるように思います。それは教科書的に知識として参考になるという意味ではなく、私たちに何か日常生活で見落とされているものを感じさせ、自分の人生で本当にやりたいことついて、静かに見つめ直すきっかけを与えてくれるものなのです。

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