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よく知っていて
よく知らない道

靴底に石が当たる

転校する前ここには何もなかった


踏み固められた土が僕たちの通学路
田んぼの間を
落ちないように綱渡りするように歩く
横切るカエルにあいさつをして
体操着袋をパタパタと揺らす


給食を残さず食べたら
どのくらい先生より大きくなるのだろう
テストで100点をとったら
どのくらい大きなはなまるがつくのだろう

あの大きな山を越えたら
どんな世界が見えるのだろう



よく知っていて
よく知らない道

あの日歩いた道は
アスファルトに変わった

無愛想なおじさんがいる駄菓子屋も
母と手を繋いで通ったスーパーも
雨宿りした大きな木も
記憶だけがそこにあった

給食を残さず食べて
先生よりも大きくなった
テストで100点はとれなくても
大きなはなまるを取る方法を知った

あの大きな山を越えて
世界を知った

遠くに黄色いランドセルが見える
金具に反射したソレが
僕を焦がした



僕の小さな昔話


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小さい時に通った道を改めて通ると
道幅が狭く感じたり
高いものが低く感じたり
自分が大きくなったんだなあ、と感じました

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