短歌7首 「塔」2019年12月号 掲載歌
そこに木があるから静かだったこと 集計を終え外を見遣れば
振り向くとき人は不安な顔をする 靴をきちんと履いているのに
ダルムとは猿の脳味噌だと信じた数分のありわれの一生(ひとよ)に
片手を上げて別れるくらいがちょうどいい 互いの書いた詩を読んだ日は
戦果という言葉があること 夕方の八百屋で何も買うものがない
花束を抱くのは赤子を抱くのにも似ていてあおぞらよりも怖いよ
よく見れば表情があると言いながら石を拾った場所へと戻す
/白水ま衣 「塔」2019年12月号より
なみの亜子選歌欄
新樹集掲載
※括弧の中はルビ
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