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有馬温泉で蒸し湯をつくったわけ

殺菌剤を使用しない風呂はつくれないか!?

2023年九州でレジオネラ菌対策の報告に不正があったと炎上し、結果ご主人が自殺した事件が起きた。
その前に有馬のかんぽの宿で、温泉ではなく沸かし湯の風呂でレジオネラ菌による死者が出た。

対策としては、大量に殺菌剤を入れた風呂をつくるしかないのか?
有馬の良い温泉を提供することはできないのか?
というジレンマに落ち込んだ。

そこで神戸市の保健所に聞いてみた。

条例上、基本は毎日換水し、それが難しい場合は
①ろ過機を設置し循環させる
②有利残留塩素またはモノクロラミンを適切な濃度に保ち、3年間記録を保存する
のどちらかを満たすことで週1回の換水も可、となっております。
(条例第4条第1項第15号、規則第5条)
また、浴槽水は有効な消毒が必要ですが、循環させず適切な管理を行えている場合は
消毒がなくても差し支えありません。(第4条第1項第16号)
(※条例第4条第1項は一般公衆浴場の項目ですが、同条第3項で15号、16号はその他公衆浴場にも準用されます)


以上のことから、毎日換水し、循環系統がなく、適切な管理を行っていれば、
条例上は必ずしも消毒は必要ないということになります。
適切な管理というのは、清掃・消毒を徹底することも必要ですが、実際に
レジオネラの検査をして継続的に検出しないことが重要と考えられます。
逆にレジオネラが検出されるのであれば消毒は必要ということになります。

という

温泉浴槽

御所坊関係の温泉浴槽は、基本的に循環回路を設けていない。
高温の温泉をタンクに貯めて、浴槽の温度が下がれば自動的に湯を注ぐことで一定の温度を保っている。

しかし源泉をかけ流しすることで温度を保っているという事は、循環回路を使用して殺菌する事より難しいし、薬剤の使用量も増える。

現在、一晩中温泉を使用できるようにしているが、夜中に毎日温泉を換水すれば殺菌は不要という事になる。

ただ、温泉は高温なので、水を加えて温度を冷ます必要がある。
つまり源泉と水を混ぜて適温で供給できるシステムを構築する必要がある。
しかし難しくはない。

家庭の浴槽は洗いやすく角はない構造なので、温泉浴槽の角などを丸くしてできる限り洗浄しやすい構造にすればよい。

それもそう難しいことはない。

湯屋 松風の改修した浴槽

白湯は?

かんぽの宿で発生したのは沸かし湯による浴槽。
おそらく循環回路内で発生したバイオフィルムが原因だろう。普段なかなか洗浄できない。

保健所は残留塩素濃度と薬剤としてモノクロラミンを進めているが、最終的には次亜塩素だ。かつて次亜塩素は発がん性のあるトリハロメタンが発生するという話はどうなったんだろう?

白湯の浴槽を有馬の高温の温泉を使って蒸し風呂にしたらどうだろうか?
と保健所に聞いてみた。

温泉の温度が60℃以上あるので殺菌の必要はないという返事だった。

しかし、硫化水素と炭酸ガスは有毒だから、安全を証明しろという。

そこでスタイロフォームで仮設の蒸し風呂をつくり、保健所立会いの下。有毒ガスの検査をした。結果は問題なし。有毒ガスは検出されなかった。

そこで温泉の浴槽の出入り口をカットして、蒸し風呂をつくることにした。

既存の浴槽に20cmぐらい高温の温泉を流せるようにして、椅子の下の方に温度計をセットした。

一定の温度以下になると、熱い温泉を注いで湯気を出すという仕組み。

薬剤を使用しないメリット

次亜塩素やモノクラミンは酸化剤。御所坊が使用している二酸化塩素も酸化剤。タイルの目地や金属部品を痛める。
もし薬剤を使わないとするならば、メンテナンスも容易になる。
だからモザイクタイルのアートも採用した。

そして水を沸かした浴槽ではなく、熱い温泉を注ぐだけなので、ほとんどボイラーを使用する必要はなくなる。
いわゆるカーボンフリー

発がん性のある殺菌剤も使わないし、身体に優しい・・・

人や環境にやさしいSDGsだ!

や! どや!


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