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ちむどんどん

物干し台


昭和30年代。どこの家も屋根の上に物干し台があった。
我が家にもあったし、御所坊には大きな物干し場があった。
物干し場は子供達にとって特別な空間だった。

物干し台に上ると、あちこちの家に物干し台が設けられていたのが見えた。
我が家には家の部分とは別に、鉄筋工ンクリート製の貯水槽が設けられていた。だからそこの屋上の部分を含めれば、我が家の屋上部分はどこの家の物干し場より大きかった。
そして格好の遊び場だった。

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我家の水槽タンクの上での記念写真


思えば、我が家の物干し場は手すりもない危険な場所だった。
今もあったら、孫たちには立ち入り禁止にすると思う。

さらに御所坊には、もっと広い物干し場があった。
お客様の浴衣などを洗濯する洗濯場があり、屋上は洗った浴衣を干す場所だった。
干してある浴衣の中を走り回って、かくれんぼをしたり、ローラースケートの練習場所であった。

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御所坊の物干し場

今は、浴衣などの洗濯はリネンサプライに出している。
洗濯場は、生簀を設置して魚の下処理場になってしまった。

そして浴衣を干していた屋上を、バブル期に夕食後のデザートを出す夜店市に変えてしまった。(今はない)

夏休みは家族連れが多く、芸妓さんの需要は少ない。そこで年配の芸妓さんに三味線で歌を歌ってもらい、夕食の後半「デザートは懐古夜店市でご提供します。」と言って屋上にご案内する事で、夕食後の後片付けと布団敷きの作業を合理的にしていたのだった。

始めるときはダメ企画かなと思っていた。猛暑と呼ばれるぐらい暑い年だった。しかし日没後、屋上に涼しい風が吹き、天然のクーラーで気持ちが良かった。これが受けてお客様には大変好評だった。

阪神淡路大震災が起こって、このアイデアを活用して、有馬川で芸妓さんのビアガーデンとして「有馬涼風川座敷」を開催した。
でも2年ぐらい並行して開催していた記憶がある。

風呂BAR

台湾の友達から写真が送られてきた。
衝撃的だった!
ヨーロッパのとある入浴施設の写真。


入浴時間は湯船の脇にあるビールサーバーからビールが飲み放題だという。
飲み放題はともかくとして、男女が一緒に温泉を楽しみながら酒を飲めるようにできないかと考えた。
そして何処だったらできるかという事をいつも考えていた。


保健所がうるさい。

温泉を使うにしろ、浴場をつくるには保健所の許可が必要だ。
色々ややこしい。

浴場をつくる際、どこかから見えるとダメ!
浴場からの景色を活かそうとすると、外からどう見えないかが重要。
山の上の施設だと問題ないのかもしれないけど、望遠鏡で見たら見えると思うが、街中にあるうち所みたいな所は何処か引っかかる。

502号室、お客様が開けるのは自由。

街中のうち所みたいな所は、なかなか露天風呂はできない。
偲豊庵に露天風呂を併設したが、これも結構うるさかった。

頭上部分に簾がいるかなと思ったら、ここはいらなかった。

温泉プール

プールは水着で入る。
だから男女一緒はOK!
外から見えても良い。
プールサイドに飲み物の提供もしているし、食べ物もあり。

プールの基準はあるのか!?
泳げなくても良いのか?
浅くても良いのか?
小さくても良いのか?

バスタブとプールとはどう違うのか?
子供用の空気で膨らますプールと一緒やないか?

温泉を使用する以上、温浴施設としての温泉管理が求められる。
水着も湯あみ着も同じ扱いになる。

事業再構築補助金

事業再構築補助金を申請して採択された。
・高架水槽を撤去して温泉タンクを設置する。
・6室の部屋を使用して、2室のスイートルームを造る。
・屋上に温泉プールをつくる。

という内容だった。

しかし・・・
機材や人件費の高騰で屋上プールの予算が無くなってしまった。

新たに高付加価値化の補助金に採択されたので、温泉プールに再度チャレンジすることにした。

しかし・・・どこか面白くない。チムドンドンしないのだ。

ルーフトップバー

バンコクにシロッコ・スカイバーがある。
何度か行ったことがあり、お気に入りだ。

エレベーターを降りると階段状に下るように、一番上は演奏が行われている。その横の階段を下るとレストランエリア。
その先につく出たように円形のバーカウンターがある。

バーカウンターから振り返るとドーム型の屋内レストランが見える。

京都や神戸にも

ルーフトップバーは京都や神戸のポートピアホテルにもできた。

ポートピアホテル
京都

どちらも絶景だ!
でも、うち所には、このような景色はない。

それよりも汚い屋根や不細工な建物が見える。大違いだ。
どう隠して、どうゆう照明をしてごまかすか!?
そう考えていた。

物干しBARという発想

頭のどこかにひっかかっている空間がある。
それが過日、泊まった湯河原の上野屋の足湯

人間の目って、写真と違って嫌のモノは消してくれる。
上野屋さんの足湯は、決して非のない絶景ではない。
しかし人間の目が消してくれるのだ。

京都のルーフトップバーはシロッコを真似たと言っていた。
確かにレイアウトは同じようだ。でも小学校の屋上を利用している為に床がフラットだ。だからシロッコのようなバー自体の広がりがない。また実際、僕が利用した場所からは景色は見えない。

やっぱり原点の物干し場に戻ろうと考えた。

考える前に浮かんだというのが正解で、浮かんでからどうすればよいか考えた。
口で言っても設計士や工事関係者に伝わっていない気がした。
そこで、紙を切って作ってみた。

動画にして設計士に送ったら「〇〇の所も使えますね!」
そやそや、そこもあった!

よっしゃ! チムドンドンしてきた(笑)

プレシャーが設計士に届いたのか、さっそく模型の画像が送られてきた。


ええやん!
物干し竿の部分が2mだとすると、高さ関係はこのようになる。
「おもしろいやん!」
とすぐに返事を返した。

さあどうなってくるだろうか?

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