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同人活動をしていた時の話(2000年頃)

私は2000年前後に同人活動(漫画描き)を5年ほどやっていたので、その時の話をしたいと思います。


1.同人活動のきっかけ

学生の時はずっと一般参加の買い専でしたが、就職してお金に余裕ができ、ハマっていたジャンルで描きたい話もあったので同人活動を始めました。
当時はイラストを気軽にUPできるSNSがなく、二次創作で漫画を描いて発表したければ「同人誌を出す」がメインでした。
(mixiは2004年、Twitterは2006年、Pixivは2007年サービス開始です。それよりも前の時代の話です)

2.同人誌の作成方法

自分が同人活動をしていた2000年前後が、ちょうどアナログ→デジタル移行の黎明期でした。
Adobeのサブスクも当然存在しなかったので(サブスク開始は2012年から)、Photoshop5.0(15万5千円)を買いました。
また、WindowsにはSCSIボード(スカジーボード)を入れる必要があり、入稿はMOディスクでした。(フロッピーディスクよりもちょっと分厚いやつです)
パソコン自体も30万円くらいしたので、初期投資には結構お金がかかりました。
同人活動5年間のうち前半は完全アナログ、後半はペン入れまでがアナログで、スキャンしてから色塗りやトーン作業をPhotoshopでやっていました。印刷用のトンボはIllustratorで作り、水彩はPainterClassicというレイヤーなしの水彩ソフトを使っていました。
そんな風に用途別にソフトが分かれていたので、今はクリスタで塗りも水彩も原稿も全部できてありがたいです。

※CLIP STUDIO PAINTも、元は漫画原稿用の「ComicStudio」とペイント用の「IllustStudio」で別々のソフトでした。
私はComicStudioをCLIP STUDIO PAINTにアップデートして使っています。

3.イベント参加とPR

イベント初参加は、6月のコミックシティだったと思います。
今でこそカプオンリーの祭典で大規模になっていますが、当時は夏コミのほうがメインイベントだったので、その手前の6月シティは小規模でまったりでした。
初の新刊は、2色刷りの本でした。
勢いはありましたがセンスはなく、絵も下手でした。ちょっとしか売れませんでした。
PRとしては、自分でHTMLを組んでホームページを作成し、そこにイベント参加情報を載せていました。(いにしえのオタクは自分でホームページが作れますし、掲示板や日記のCGIも自分で設定できます)
そして、サーファーズパラダイスやTINAMIといったオタク向けサーチエンジンに自分のサイトを登録していました。有志が作成したジャンル専用サーチもありました。
オタ友との交流手段は、各自のサイトに置いてあるチャットや掲示板でした。(キャラになりきって会話する「なりチャ」もやってました…)
個人的に話したいときは、ICQやYahoo!メッセンジャーを使用します。
絵のやり取りにはFAXも使っていました。

4.自分の本を出す以外の活動

自分の本以外にも、以下のことをやりました。
・小説本の表紙、挿絵
・ゲスト原稿
・オンリーイベントの共催
・オンリーイベントのパンフ表紙、フライヤー絵、アンソロ表紙
・webリング主催(同じ趣向のサイトをつなげるシステム)
昔のオンリーイベントは自分たちで会場を借りて開くほうが主流だったので、絵の要員+当日スタッフとして何度か関わりました。

5.同人活動を辞めたきっかけ

(1)描きたかった話を全部描けた

シリーズとして描いていた漫画を、最後まで描き切ることができました。
そこで満足してしまったので、無理に本を出し続けなくてもいいかなという気持ちになりました。

(2)サークル同士の人間関係が大変だった

これはもう時効だと思いますし、付き合いが続いている人もいないので書いてしまいます。
・メンヘラな人に絡まれる
・他サークルにマウントを取られる
・オンリーイベントの主催者が他ジャンルに心移りして業務を放棄してしまい、共催として色々肩代わりせざるを得なくなる
・同カプ内で話がたまたま被ってパクリ論争になる(私は外野でした)
・売り子の手伝い先で、イベ終了後に頒布冊数とお金が合わないといちゃもんを付けられて7千円払わされる(まったりイベントでそんな差額出るはずないのに)
などなど、本当に大変でした。一時期鬱になりかけました。

同人関係って、性格に一癖ある人が多い気がします。
個人的には、コミュ強で周りを巻き込みたがる人が要注意だと思っています。
すぐに冷めてあっという間にジャンルから去っていくこともあるので…。(周りを巻き込んでいるのに中止・撤退が一番困るパターンです)

また、サークルの売り子はお互い本名を知っているくらい信頼できる間柄になってからやるほうがいいです。
7千円払わされたサークル主とは、友達の友達(私とは友達ではない)という微妙な関係でした。
要求に従わなかったら友達の顔に泥を塗ってしまうのでは……という懸念もあり、強く言い返せなかったことが今でも悔しいです。

(3)コミケに落ちまくった

今はプチオンリーやカプオンリーのほうが盛り上がるジャンルも多いですが、当時はコミックマーケットが一番晴れの舞台で、一番頒布数も多いイベントでした。
が、3回連続落選しました。
私は流行ジャンル内のそこそこマイナーカプで活動していたのですが、そのカプの枠は毎回3サークル分しかなく競争率が高かったのです。
少ない枠を奪い合う辛さと連続落選でやる気が削げたので、4回目に救済措置で受かった時に「ここで最後に本を出して、もうサークル参加はやめよう」と思ったのでした。

こういった複合的な要因でサークル参加をやめて、その後は同人誌を出さないWeb活動のみになりました。

6.同人活動をやって良かったこと

(1)画力が上がった

イラストだけを描いていた時期は、正直ずっと下手でした。
同人誌で漫画本を出すにあたり、必然的に色々な角度から、かつたくさん絵を描くことになったので画力が飛躍的に上がりました。

(2)読者さんから感想をいただけた

私の場合、サークル側の人間関係は大変でしたが、読者さん側では幸いにも嫌な思いをしたことがありませんでした。
イベントでは毎回真っ先に買いに来てくださる方がいらっしゃったり、感想のお手紙をいただけたりして嬉しかったです。
自分のサイトに感想フォームやWeb拍手も置いていましたが、誹謗中傷は来なかったです。

(3)デザインの勉強になった

本の表紙とか紙の種類とか装丁のデザインを考えるのって、勉強になるし楽しいですよね。
これはもっと色々チャレンジしてみたかったです。

7.最後に

昔と現在を比較すると、現在はipadやクリスタがあり、サブスクもあり、印刷所にデータ入稿もできるので、敷居が低くなっていて羨ましいです。
反面、SNSの反応数やフォロワー数で比べられたり、焼きマロが来たりするところは大変なのかなとも思います。
でも、同人活動って色々充実感が得られるはずなので…これから始めようかなって思われてる方は、ぜひやってみてください。

<続き>
その後久々に同人活動を再開しました。


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