明日の乗車券
目を閉じたらさよならで、起きたらはじめまして、新しい明日が来るって、つまりそういうことだろ。新しい朝、新しい光、新しい空、全部くるってる。一人残らず全員が、生まれたての赤ちゃんちゃんみたいに愛されないといけないのに、あなたがわたしを覚えてるのは暴力で、いつまでも自己紹介が始まらないから、わたしはいつも昨日の続きを生きている感覚が喉の奥に引っかかって抜けない。おはようも、こんにちはも、こんばんはも全部、きらい、の言葉で挨拶すれば、好きな人だけが残るって信じてた。
中古の体を病院に運んで修理しながら生きている、時間が経つと部品の生産が終了していくからいつかは壊れる、きみも、ぼくも、光のように自殺できないからゴミ箱はなくならない。絶滅した生き物たちを忘れて、使い捨ての歯ブラシを捨てて、コンビニでお菓子を買えば暮らしていける、生きてきた時間が全部、石鹸の匂いで残していけたら、いつでもきみのことを思い出せるのに。
きみのために風は吹いている そう思えるのはきみのかけがえのない生活が、日々が、 言葉となって浮かんでくるからだと思う きみが今生きていること、それを不器用でも表現していることが わたしの言葉になる 大丈夫、きみはきみのままで素敵だよ 読んでいただきありがとうございます。 夜野