未来が不安だよ〜メソメソ〜って感じた時にどうすべきか、という話
僕の母は、結構な心配性。電話をすると、よく「仕事は大丈夫なのかい?」と聞いてくる。
別に僕の仕事を理解していないわけではなく、むしろめっちゃ応援してくれる。しかし、母は製造業を営む家庭で育ってきた。だからなのかはわからないけど、ライターのような形態の仕事はどこか馴染みがなさそう。
母の心配性は折り紙付きだ。とにかく眠りが浅い。僕の結婚式の前日、母はほぼ寝てなかった。飛行機なんかまともに乗ってられない。新婚旅行中も頭の中では「太平洋に浮かぶ炎を上げた飛行機」の映像がずっと流れていたらしい。
とはいえ、僕もある程度不安を感じることはある。内容は「将来の仕事ってどうなるんだろう」「数年後になっても家族を養えるだけしっかり稼げるだろうか」みたいな、未来に関するものが多い。
僕の心配はまだ日常生活に支障をきたすレベルではない。ただし母のように「眠れない」レベルの人は、きっとたくさんいるはず。
どう対処すればいいんだろう。論文を読みながら考えてみた。
不確実な未来って不安ですよね
不安と言ってもさまざまな種類があるけど、今回は「どうなるかわからない未来が不安になる」=不確実性による不安をメインに考えてみた。
「将来どうなっちゃうんだろう〜」みたいなやつ。ぐるぐる考えちゃって、ベッド入ったのに目がギンギンに覚めちゃった人も多いんじゃないでしょうか。
まずは「不確実性に対する耐性の低さ(Intolerance of Uncertainty)」に関するレビュー論文を読んでみよう。不確実性は、次の3つで決まるみたい。
上記の3つによって決まる不確実性に対し、どう反応するかも人によって異なる。めっちゃ不安に感じてしまう、僕の母のような人もいれば、あんまりそういうの考えないんだよね〜という人もいるはず。
論文2によると、同じような不確実性があったとしても「やばいぞ!!!」と過大評価してしまう人は不安が強い。なにかあったときのために備えておこう、というのは誰もが考えることだと思う。けどそれが行き過ぎちゃうと厄介。
でも、どうすればいいんでしょう。「考えないようにしなきゃ!!」って思っても、なかなか頭から消えてくれない人も多いだろう。
「不確実性をもっと具体化して解決策を出そう!」と頑張ってみても、なぜか前に進んでいる感じがしない〜みたいなケースもあるはず。
じゃあどうしよう!という話なのですが、「認知行動療法を使ってみたらいい感じだったぞ!」という論文を見つけた。
アプローチすべきは「固定化された思考」
論文3によると、認知行動療法っぽい介入で「不確実性による不安」に対し良い結果が出た、とのこと。エビデンスレベルはそんなに高くないものの、認知行動療法そのものはかなり有効な証拠が集まっている心理療法だ。ガッツリ進め方を書いてくれていたのが嬉しいポイントですねえ。
簡単に結論をお伝えすると、「不確実な未来=やばい!なんとかせな!!」という思考方法をより現実的なものに修正していく、という作業が有効そう。不安を消すのでもなく、もやもやした未来をはっきりさせようともしないのがキモ。
よく「不確実性をなんとかしないと!もっと未来をわかりやすく明確にするんや!」みたいなことを考えがち。具体的な対処法とかプランとか立てようとするけど、結局わからんものはわからん。未来を見に行く力は今のところ人類は持ち合わせていない。
一方で「不安な症状をなんとかしなきゃ!」とリラックスしたり気分転換したりすることも多い。それはそれでとても重要なことだけど、結局不安ってポツポツでてくるものだから、モグラたたき状態になりやすい。
だったら、その真ん中である「不確実性を不安に感じてしまう考え方」に手を付けるのがいいのでは?という考え方だ。
どんな風に進めていくか、論文の内容をメモしてみる。
ステップ1:問題の認識
まずは現状把握から始める。どんなことを不安に感じるか、どんなタイミングで心配性が暴発するかを記録しよう。
大前提として、症状や不確実性そのものよりも「不確実性を不安に感じる考え方」を変えるのがゴール。そのためこのワークでは「不安を消そう!」とか「ぼやけた未来をもっと具体的に!」とかは対象外だ。
ゴールについて理解できたら、アンケート (Intolerance of Uncertainty Scale: 不確実性不耐性尺度)や「心配日記」「不確実性日記」を通じて、自分の考え方を把握していく。
アンケートの詳細は以下の通り。引用はこちらから。
また「心配に感じたこと」や「不確実な未来について考えたこと」をできるだけ記録しておこう。考えたことや頭に浮かんだことをそのまま紙に書きなぐる感じで大丈夫だと思います。
アンケートや記録を毎日残していけば、自分の考え方におけるクセや、不安になりやすい状況について情報が貯まっていくはず。そのような情報をもとに、次のステップへ進む〜〜
ステップ2:行動計画を立てる
「行動計画……?ナニソレ……?」という感じだけど、毎日の予定をゴリゴリに決めることではありません。
未来に対する不安が「どれぐらい正しいか」&「どれぐらい役に立つか」を検証する。そのための方法をリストアップしていこう、というのが行動計画の意味だ。
でも「行動計画っていっても、どんな行動を計画すればいいの……?」ってなる人も多いはず。そういうときは「あえて不安になることをやってみる」というのもおすすめ(もちろんそれが全て正しいとは限らないけど)。
お金が稼げなくなるのが不安なら「一定期間、使えるお金をめちゃくちゃ制限してみる」とか「ちょろっとだけ転職活動してみる」とかが良いかも。あとは「自力で仕事をひとつだけ獲得してみる」とかも良さそう。
とはいえ、無理に大掛かりなアクションを計画しなくても大丈夫。不安が強くて動けないのであれば、「不安を感じる状況と、その時の思考、感情、行動を記録する」みたいな行動でもOKらしい。
計画を立てるうえで意識するのは次の3つ。
検証したい考え方を具体的に決めたうえで「あくまで実験である」というマインドを持つことが大切、とのこと。
大前提として「不安に思う自分」が悪いのではなく、固定化された考え方そのものが問題だ。考え方は学習とか環境とかいろ〜〜んなものが複雑に絡み合って出来上がる。なのでひとまず、あなたのせいではないでしょう。
それよりも「自分の考え方が現実的か」「心配ごとが役に立ってくれているか」を検証するのが大切。もしあまりにも非現実的であったり「むしろ足を引っ張っているな?」と感じるのであれば、どれぐらい修正できるかを見直してみる。
眠れなくなるまで頭の中で考えを巡らせるほど不安になってしまう僕の母はどうだろう。そのような心配性はたしかに「事前に手を打つ」必要性を教えてはくれるけど、眠れなくなるほど強いのはやっぱり逆効果なはず。
ステップ3:行動計画を実行する
行動計画を立てたら、あとは実行するのみ。実際にやってみて何を感じたのかを記録しておく。
もし「未来はどうなるかわからなくてやばい!!」という考え方がずれていたと感じたのなら、どのように修正できるかを考えてみよう。
記録すべき内容は次の通り。
5W1Hを残しながら、自身の変化を具体的に残しておこう、と著者は述べている。積み重ねていけば、自分の考え方のクセや、より現実的かつ効果的な考え方が見えてくるはず。
ここまでガッツリと記録したことはないけど、僕の経験的にも「状況」によって割と決まった考え方がわき起こってくるケースも多い。
たとえば妻さんと喧嘩したときは、相手の嫌な部分や直してほしい部分が見えているにも関わらず「でも僕が我慢すれば……!」と考えてしまうことが多い。
でも実際に我慢せずフラットに伝えれば状況が変わることも多かったので、あまり現実的な考えではなかったな〜と思う。
ステップ4:振り返り&日常生活で活かす
行動実験をしてみて気づいたことをチェックしてみる。自分の考え方と現実がどうズレているか、どんなときにどう対処できそうかなど振り返ってみよう。
行動実験は、1回やって終わりにする必要はない。気が済むまで続けても良いけど、時々振り返るのが大切そう。
また行動実験を繰り返していけば、未来に対する不安が強くなりやすいタイミングや状況が見えてくるはず。早めに対処できれば、不安もだんだん小さくなっていきそう。
……と、こんな感じで詳しく書いてみた。でもやっぱり「専門家と一緒にやる」のがイチバン。
この記事の内容もセルフヘルプ程度にお役立てくださいませ。あくまでちょっと学問をかじったヤツが楽しく書いた記事であるため、効果を保証するわけではありません。
とはいえ認知行動療法は、結構幅広く効果が立証されている心理療法でもある。気になる方はぜひ専門家の皆さんが作ってくださった本を御覧くださいませ。
あとは認知行動療法から生まれた心理療法「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」とかも良さそうだし、仏教的なスタンスも合いそう。また別のnoteにしようかな〜〜
今回の記事はこんな感じ!疲れた!ありがとうございました!
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