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安青錦 関西大学相撲部での練習風景、インタビュー(2022年8月30日)文字起こし

Аонішікі ("Даня", Данило Явгусішин, 30 серпня 2022 року), Тренування в клубі сумо Університету Кансай, інтерв'ю


令和6年春場所がはじまった。

東三段目18枚目に昇進した安青錦は、2日目に千鵬と対戦する。

およそ1年半前の動画になるが、安青錦の関西大学相撲部での練習風景とインタビューの動画を文字起こししたので、掲載したい。

この動画は、安青錦がウクライナから日本に避難した2022年4月から、ちょうど4か月が経過した2022年8月に撮影された。

このほか、来日から初土俵までの期間のマスコミ報道について、リンクを紹介する。




1.関西大学相撲部の動画(2022年8月30日)


【関大相撲】ウクライナから角界入りを目指すダーニャ選手が関大相撲部で練習!山中主将との“相撲”が縁で来日「自分自身の相撲スタイルを作っていきたい」
関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル(2022年8月30日)

(概要欄より)

今年の西日本学生相撲選手権団体戦で2部優勝を果たし、44年ぶりとなる1部復帰を果たした関西大学相撲部でウクライナの強豪力士が相撲場で汗を流しています。ダニーロ・ヤブグシシン選手(18)。ダーニャと呼ばれる彼は15歳の時に出場した世界選手権(U18)で3位に入るなど欧州屈指の実力を持つ選手です。

その世界選手権で関西大学相撲部の山中新大主将(社会学部4年)と知り合い、以降はSNSでメッセージなどのやり取りをする仲となったダーニャ選手は、今年2月に勃発したウクライナ戦争を機に山中主将を頼って来日。現在は、山中主将とともに関西大学相撲部で一緒に汗を流しながら、将来の夢である日本の大相撲入りを目指しています。

本動画は、ダーニャ選手の関西大学相撲部での練習の様子と、山中主将とのインタビューを収録しています。

<出演者(インタビュー)>
ダニーロ・ヤブグシシン“ダーニャ”
山中新大 主将(関西大学相撲部・社会学部4年)

<取材・インタビュー>
永冨慎也(関西大学スポーツアドミニストレーター)

【関大相撲】ウクライナから角界入りを目指すダーニャ選手が関大相撲部で練習!
山中主将との“相撲”が縁で来日「自分自身の相撲スタイルを作っていきたい」
(関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル、2022年8月30日)


(文字起こし)

※  英語部分の表記について
全体を通してかなりブロークンな英語のやり取りだが、そのまま記載する。元々ウクライナ語には冠詞が無く、語順も比較的自由である。
これらの文法的特徴が、安青錦=ダーニャの英語にも反映されている。

当初、ブロークンな英語をカタカナ表記で起こしてみたが、非常に読みづらいので、そのままの英語で表記してある。
テロップの日本語訳も併記したので、あるていどの意味は読み取り可能だと思う。疑問点については、実際に上記の動画を視聴して確認されたい。

まだ、今のように流暢な日本語を話せるようになる前の安青錦が、英語と覚えたての日本語を駆使して、懸命に自分の気持ちを伝えようとする姿は、何か感動的ですらある。大変お勧め。

(動画:関西大学相撲部道場の入口)
(テロップ:西日本学生相撲選手権2部優勝で44年ぶり1部復帰の関大相撲部 / ウクライナから角界入りを目指すダニーロ・ヤブグシシンさん)

(動画:思い思いにウォームアップする関大相撲部員の皆さん)

(動画:土俵を囲んで蹲踞。練習開始)
(テロップ:関大相撲部での練習風景)

(動画:四股踏み)
(テロップ:ダニーロ・“ダーニャ”ヤブグシシン(18))

(字幕:ダーニャ選手はウクライナでの戦争で母国を離れ、相撲が縁で友人の関西大学相撲部・山中主将を頼って来日。関西大学相撲部での練習に参加し、山中主将はじめ部員とともに汗を流しています)

(動画:摺り足をする山中主将)
(テロップ:山中新大主将(社会学部4年))

(動画:摺り足をするダーニャ=安青錦。他の部員も順番に摺り足。)

(動画:ぶつかり。ダーニャに胸を出す山中主将)

(動画:他の部員との申し合い。ダーニャのテッポウ)

(動画:再びぶつかり。山中主将とジェスチャーで意思疎通するダーニャ)

(動画:ダーニャの摺り足を見守る山中主将)

(動画:全身鏡の前で四股を確認するダーニャ。ジェスチャーと英語を交えながら、他の部員と技術的な確認をするダーニャ)

―― 取材者・インタビュアー(関西大学スポーツアドミニストレーター永冨慎也さん):今どんな話を?

(テロップ:坂本明優(社会学部2年))
(字幕:ダーニャ選手と相撲技術について確認していた)

出典:関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル

坂本明優さん(以下「坂本」と表記)
「僕がまわし取ったら、パワーでそんまま押そうとして、止まる。相手の力で止められて、止まるんで。じゃなくて、もっと動いて相撲を取った方が、相手にまわしも取られにくいし。で、且つ、相手の力を使って、今の身体を使って。そういうのをやった方がいいよって」

―― あ、今そういうアドバイスを?

坂本
「毎日(笑顔)」

―― あ、そうなんですね。

(字幕:ダーニャ選手と相撲を取っての印象)
(テロップ:森田力輝亜(人間健康学部1年))

出典:関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル

森田力輝亜さん(以下「森田」と表記)
「まず、一番印象に残ってるのが、やっぱり体幹の強さとかだったり。パワーの強さとかが一番印象的で。やっぱり、自分より凄いトレーニングもいっぱいやってるのを見てますし。その強さが、パワーとか体幹があっても、技術とかが凄い日本の相撲とはまた違った、レスリングをやってたみたいなんですけど、レスリングの応用みたいな技とかが凄い印象的ですね」

(字幕:ダーニャ選手とのコミュニケーション)

森田
「(自分が)1年生って言うので、気楽に喋ったりするんですけど。やっぱり、自分も英語はあまり得意じゃないんですけど。ダーニャ君も、そこまでペラペラの英語じゃないんですけど、片言の英語で、二人でコミュニケーション取ってるって感じですね。こんなに片言の英語でコミュニケーション取ってます」

(字幕:相撲以外での交流)

森田
「何回か食事に行ったりしても、やっぱり凄い日本の文化が好きみたいで。ラーメンとか寿司とか好きとか、聞いたりします」

―― やっぱりたくさん食べる?

森田
「はい。たくさん食べてます」

―― ああ、なるほど。

(字幕:ダーニャ選手から学んだことは?)

森田
「やっぱり技術面で。自分はやっぱり押しとか、相撲の基本の動作ばっかりで相撲を取ってるんで。技術とか、そういう面ではダーニャ君からいっぱい学んでます」

(動画:ダーニャ選手と山中主将のインタビュー)

―― こんにちは。

ダーニャ選手と山中新大主将(以下「ダーニャ」「山中」と表記)
「こんにちは」

(テロップ:山中新大主将(社会学部4年))

出典:関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル

―― 今日は相撲部の山中主将と、ダーニャ選手に来ていただきましたけれども。まず、ダーニャ選手。ちょっと一言ご挨拶をお願いします。

(動画:発言内容を通訳する山中主将)

(テロップ:ダニーロ・ヤブグシシン)

ダーニャ
「私の名前はダーニャです。よろしくお願いします」

―― よろしくお願いします。いやあ、すごいですね。Very good Japanese.  素晴らしいです。

―― ウクライナからということで、いま、関西大学相撲部で一緒にやってますけども。どうですか、まず、関西大学で相撲を今やってますけども。感じているところと言うか。一緒に練習して。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「関西大学、道場。Very good で、I very like.(両手を広げて)大きい」

(字幕:関西大学の相撲場は素晴らしい場所で、とても広くて私は大好きです)

―― どうでしょう。実際に大学生とやって。いま、ダーニャ選手は高校生?

山中
「いま、大学1年生の歳ですね」

―― 大学1年生の歳か。

山中
「今年19の歳なんで」

―― 19歳。Nineteen years old? Ok.

ダーニャ
「Eighteen. 18歳」

―― Eighteen?

山中
「今年の3月で。次の3月で19歳」

―― あ、なるほど。ということは、大学1年生と同じ。オッケー。

―― どうですか。日本の相撲レスラーと実際に練習して、どういう印象がありますか。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「Japanese 相撲 style another. Europe 相撲 style 立ち合い遅い。More wrestling style」

(字幕:日本の相撲スタイルとは違って、欧州の相撲スタイルは立ち合いがゆっくりでレスリングのようです)

ダーニャ
「Japanese 相撲 style、速い立ち合い。押し、押し、押し」

(字幕:日本の相撲スタイルは、立ち合いが速くて押し相撲の印象です)

―― ほーう。違うと。

山中
「はい。日本の相撲は押すことが基本なんですけど、海外はレスリング・スタイルだったり、投げ技中心なんで。相撲スタイルとは全く違うんですね、はい」

―― で、どう感じましたか。押しの相撲。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「押し苦手(笑)」

(字幕:押しの相撲は、私は苦手です)

――(笑い声)押しは苦手だと。

山中
「そうですね。ヨーロッパの選手は、押しはまだ苦手なんで、はい」

ダーニャ
「いま、押し、勉強、毎日している。押し、練習、毎日している」

―― 山中君から、教えてもらってる?

山中
「はい。毎日ぶつかり稽古して、押しの練習してますね」

―― 山中主将に聞きますけども。どうですか、実際、ダーニャ選手。ま、来て、というとこなんですけども。まず、なんで関大相撲部に?っていう繋がりというか。確か、山中主将が前から知っててというとこだったんですけど。ちょっとその辺、ちょっとお話いただけますか。

(字幕:山中主将とダーニャ選手との出会いについて)

山中
「そうですね。僕が2019年の(大阪府)堺(市)で行われた世界大会に観戦に訪れてて。そこでダーニャが、ウクライナ代表として世界大会に出てて。そこで世界3位に輝いてて。この子強いなって思って、僕から話しかけたのがきっかけで友達になって。それが、初めて会ったきっかけですね」

―― じゃあ、会った時。ダーニャ選手、強いな。思いました?

山中
「はい」

(字幕:世界選手権で出会った時のダーニャ選手の印象)

山中
「そん時、(ダーニャは)15歳で。18歳以下の大会で3位になってたんで。世界にこんなに強い15歳がいるんだなってびっくりして。それで声かけました」

―― 山中主将から声かけられた時っていうのは、まずどういう感じを受けたんでしょうね。日本の相撲レスラーから(声を)かけられて。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「(思い出しながら)First meeting feel…  I Bronze match win.  めっちゃ嬉しい。I walk(頭を指して)nothing.(山中主将と自分を指して)少し遠く。遠く、first.  I no very thinking about talk.  First talk」

(字幕:花道を通って帰っていると、少し遠くから話をしたのもあって、興奮していて何を話したかは覚えていないですね)

ダーニャ
「After photo comeback 新大(あらた)。インスタグラム follow. インスタグラム、少ししてから speak」

(字幕:世界選手権が終わった後に、山中主将が私のインスタグラムをフォローして、交流が始まりました)

―― おお。インスタグラム?

山中
「インスタグラム交換して、そこでちゃんとじっくり話しました。初めて会った時は、彼が銅メダル取って喜んでる最中だったんで」

―― じゃもう、あんまり。うわーっ、嬉しい。

山中
「何歳?みたいな話で。軽く話しただけで」

―― じゃあ、その時は、インスタグラムで。ウクライナ語? 英語?

山中
「英語ですね」(横で頷くダーニャ)

山中
「日本語から英語に翻訳して。ウクライナ語から英語に翻訳してって形で」

―― 翻訳し合って?

山中
「英語で話してました」(横で頷くダーニャ)

―― なるほど。それでずっと。それがずっと続いていったんですか。

(字幕:インスタグラム上での交流がその後も続いた)

山中
「そうですね。彼も、日本の大相撲に興味があったんで。ここ3年間で、定期的にやりとりはしてて。彼から日本のことについて、質問があったりとか。で、話してたっていう形ですね」

―― なるほど。

(字幕:―― いつ相撲を始めた? 7歳から相撲を始めました)

ダーニャ
「(首を傾げながら)Nineteen. Twenty...  あっスタート? 7歳」

―― 7歳? Seven years old?

ダーニャ
「はい」

―― 相撲? or wrestling?

ダーニャ
「相撲」

(字幕:――レスリングもやっていた? 始めは柔道をやっていました。そして相撲も一緒にやりました。そして柔道を1、2年で辞めてから、代わりにレスリングを始めました)

ダーニャ
「First I play 柔道」

―― おお、柔道?

ダーニャ
「Next 相撲、柔道、一緒に。One, two years 柔道 finish. 相撲、レスリング、一緒に」

―― やってた?

ダーニャ
(頷く)

(字幕:――なぜ、柔道を辞めたのですか? 柔道はあまり好きではなかったのです。柔道は足を取ることができません)

ダーニャ
「(首を傾げながら)柔道 no very like. 柔道、足、take no. I  足 take 好き」

(字幕:私は足を取るのが好きなので、柔道着を着て試合をするのがあまり好きではなかった)

―― Tackle? Like a tackle?

ダーニャ
(首を横に振る)

ダーニャ
「This 着物 match. I no」 

ダーニャ
「Belt only まわし。Only ok」

(字幕:まわしを巻いて取る相撲は好きなのです)

ダーニャ
「まわし ok. 着物 match 柔道(否定的に首を振る)」

―― ああ、そういうこと。やっぱこう、相撲のまわしはいいけど、柔道着がちょっと嫌だったと?

山中
「まわしのほうが、良かったみたいですね。はい」

―― なるほどね。いやあ、すごいなあ。で、相撲が、何が一番面白いですか。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「My... 初めて相撲、見た。めっちゃ速い match. 今 technique 好き。今 technique. 面白い technique」

(字幕:初めて相撲を見たときに相撲のスピーディーさが好きでした。そして今は相撲の技が好きですね)

―― テクニック。

山中
「最初見た時は、スピードが面白かったみたいで。今はテクニックが好きみたいですね」

―― どういう technique? Techniqueって言ってもね、色々・・・ Throwing? Pushing? What would you like?

ダーニャ
「投げ、好き」

―― 投げ? 上手投げ? 下手投げ? 小手投げ? Several 投げ。

ダーニャ
「All 投げ」

(字幕:相撲の投げが好きですね。特に小手投げが好きです)

―― 小手投げ?

山中
「No.1 好きは?」

―― 上手投げ?

ダーニャ
「(首を傾げながら)上手投げ・・・。小手投げ」

―― 小手投げ。ああ、投げなんだ。それはやっぱり、レスリングからのものなんですか。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「(首を傾げながら)Wrestling 投げ…。(首を否定的に何度も横に振りながら)使わない。柔道 throw ok. Wrestling no belt. Wrestling technique No.1 好き leg. Leg grab. Leg grab wrestling. Throw 少し。Very strong opponent... throw difficult」

(字幕:レスリングで投げを学んだというわけではありません。相撲のようにベルトがないので、腕の技術が特に重要です)

―― ああ、なるほどね。そういうことか。わかりました。で、ちょっと山中主将に、じゃあ次。

―― で、そうやって世界選手権で知り合って。それからインスタグラムでお互い連絡取り合いながら、というところで。で、今度、関西大学の相撲部に来ることになった、その辺のちょっといきさつというか。

(字幕:SNSでの交流から、今度は関西大学相撲部にダーニャ選手が来ることになったいきさつは?)

山中
「そうですね。彼はウクライナから、お母さんと一緒にドイツに避難をしてて。ドイツで生活をしていたんですけど。やっぱりこう、いつ戦争が終わるかわからない状況で、相撲の練習ができない状況だったんで。彼は、日本に行けるかなって考えた時に、僕が思い浮かんだみたいで。で、僕に『日本へ避難できますか』というメッセージが来て。そこから、日本に来るきっかけがはじまりましたね」

―― なるほど。そしたら、山中主将に連絡があって。で、それから今、ダーニャ選手は山中選手の?

山中
「一緒に住んでます」

―― それで一緒に通って? 一緒に住んで?

山中
「はい。ずっと一緒に登校してます」

―― なるほど。日本での生活はどうですか。

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「好き」

(字幕:日本での生活は好きですね。日本食も日本の文化も好きです)

―― 好き? What kind of ?

ダーニャ
「Food 好き。Japan culture 好き。」

―― Food も文化も?

―― Food は何が好き? What kind of food do you like?

ダーニャ
「ラーメン」

―― ラーメン? 味噌? 醤油? Soy Sauce?

山中
「味噌ラーメンが一番ハマってますね」

ダーニャ
「とんこつ」

―― とんこつ? 博多? わからないか。

(字幕:日本食ではラーメンが好きです。特にとんこつラーメンが好きです)

―― とんこつ? 一緒に食べに行くんだ?

山中
「一緒に食べに行きます。『何食べたい?』って聞いたら、ずっともう『ラーメン』って言ってます」

―― ラーメン好き?

ダーニャ
「はい」

―― あと、文化。マンガ? What kind of culture?

ダーニャ
「アニメ、好き」

―― アニメーション。What kind of anime?

ダーニャ
「No.1… No.1 好きアニメ難しい。『黒子のバスケ』好き」

(字幕:一番好きなアニメを答えるのは難しいけど『黒子のバスケ』ですかね)

山中
「『黒子のバスケ』っていう・・・」

―― ほう。(山中主将に向かって)知ってる?

山中
「僕は読んだことないですけど、聞いたことはあります」

―― バスケ?

山中
「バスケットボール」

―― Basketball? そうね。やっぱ日本の・・・

ダーニャ
「No.1… 『ベルセルク』好き」

(字幕:『ベルセルク』も好きですね)

山中
「『ベルセルク』っていう漫画も好きみたいです」

―― (山中主将に向かって)知ってる?

山中
「僕は知らないですね」

―― なかなか(笑)。(他の部員に)ああ、知ってる?

他の相撲部員
「知ってます。『ベルセルク』でしょ? 『鋼の錬金術師』もですよね」

山中
「『鋼の錬金術師』って知ってる?」

ダーニャ
(首を傾げる)

他の相撲部員
「ハガレン…。多分映像で…」

山中
「向こうで翻訳されてる?」

ダーニャ
(首を傾げる)

―― ということでね、色々文化が好きということで。で、どうなんですか。日本で、いま関西大学相撲部で一緒にやってますけども。山中主将にちょっと聞きたいんですけど。ダーニャ選手が来てから、周りの選手だったり、(相撲)部が変化みたいな。やっぱヨーロッパでチャンピオンですよね。強い選手が来て一緒にやることで、色んなことを学んてだり、感じてると思うんですけど。どうですか、山中主将。ここはちょっと日本語で大丈夫です。

(字幕:ウクライナからダーニャ選手が関大相撲部に来て、彼と一緒に過ごして学んだことは?)

山中
「彼は、日本人には無いスタイルの相撲を取るので。結構、ここでこんな技を出して来るんやっていう。毎日が驚きなんで。本当に、僕らも毎日勉強させてもらってるんで。やっぱりこう、僕らより強いんで。強い相手と稽古できるってのは、相撲の練習で本当に凄い良いことなんで。本当に毎日、僕らも勉強させてもらってます」

―― で、時を同じくして、西日本の学生で1部に昇格と。

山中
「はい」

―― ダーニャ選手もいて。何かこう、不思議な巡りあわせだなと思うんですけど。どうですか。

山中
「彼が来たことで、僕らも刺激を受けたんで。彼が練習頑張ってる姿を見て、僕らも頑張ろうっていう風になったんで。それが1部昇格にも繋がったかなと思ってます」

(字幕:相撲部は西日本学生で1部昇格を果たした)

―― ダーニャ選手。Do you like hard training in Sumo?

ダーニャ
「はい、好きです」

―― What kind of training do you like?

ダーニャ
「No.1、相撲 match 好き」

(字幕:――きつい練習が好きなんですか? 好きですね。相撲の取り組み(試合)が中でも好きです)

―― 相撲 match? ぶつかり稽古? 相撲?

ダーニャ
「(首を傾げながら)ぶつかり・・・」

山中
「しんどい?」

ダーニャ
「ぶつかり少し嫌い。相撲 match 好き」

―― 自分の一番の相撲スタイルは何でしょう?

(動画:山中主将の通訳)

―― Your Sumo style?

ダーニャ
「Now は相撲 style、no choice. Now very like 若隆景 style.」

(字幕:―― ダーニャ選手の相撲スタイルは? 私は相撲スタイルを選びません。でも、若隆景の相撲スタイルが好きですね)

出典:関西大学KAISERSオフィシャルチャンネル

―― 若…(発音困難)Why ? Why 若…(発音困難)?

(動画:山中主将の通訳)

ダーニャ
「若隆景 no very big. Good body. 力強い。Very good おっつけ。まわし ok、おっつけ ok. Very スピード速い。Technique very good」

(字幕:――なぜ、若隆景の相撲スタイルが好きなのか? 若隆景は身体がそんなに大きくありませんが、とても強い「おっつけ」を持っていてスピーディーです)

―― Do you want to play like him?

ダーニャ
「I wanna play like ダーニャ」

(字幕:―― 若隆景のような相撲を取りたい? いいえ、「ダーニャ選手」の相撲を取りたいです(笑)。 自分自身のスタイルを作っていきたいと考えています)

―― ダーニャ style?

ダーニャ
「No like 若隆景。My style. I wanna make my style.」

―― ダーニャ選手にちょっと質問しますけど。Ukraine in war right now. So, how do you feel about your country?

ダーニャ
「Every day I think about my country, about my family, about my friends」

(字幕:―― 母国・ウクライナについて今感じていることは? 毎日のようにウクライナのことを考えています。私の家族や友人についてです)

ダーニャ
「ウクライナは今めっちゃ危ない。Very big problems」

(字幕:ウクライナは今非常に危険な状態です。非常に大きな問題です)

―― So, what is the dream now?

ダーニャ
「Dream…  今、Dream、関取」

―― 関取? 大相撲?

ダーニャ
(頷く)

―― When... in the future?

ダーニャ
(頷く)

(字幕:―― ダーニャ選手の夢は何ですか? 日本の大相撲の関取になることです。将来的にそうなれるといいです)

ダーニャ
「I no wanna be like 若隆景。I wanna be myself」

―― Oh, your style.

(字幕:―― 将来、どんな関取になりたいですか? 若隆景ではなく、やはり「ダーニャスタイル」を作っていきたいです)

ダーニャ
「Many 力士 match 毎日見た。But I wanna make my style」

(字幕:毎日のようにいろんな力士の相撲を見ましたが、やっぱり自分の相撲スタイルを作っていきたいですね)

―― なるほどね。どうですか、主将。こうやって、ダーニャ選手が来て。大相撲で、将来ちょっとやってみたいという希望を持ってますけども。どうですか、山中主将から見て、何かやってくれそうな雰囲気ありますけど、どうです。

(字幕:ダーニャ選手が将来角界入りを目指すことについて)

山中
「ほんとにこう、これから練習を真面目に頑張って行けば、関取になれる可能性は充分にあると思うので。僕らもサポートしていきたいと思ってます」

―― なるほど。わかりました。

(字幕:―― 関西大学KAISERSのファンへ)

ダーニャ
「頑張って(笑)。I wanna... thank you Kansai Daigaku for support, give me chance 練習。Gym use ok, this 練習 ok, all ok. Very thank you for support」

(字幕:関西大学相撲部にサポートしていただき、そして練習するチャンスを頂けたことに感謝しています)

―― ありがとうございます。Thank you very much. Спасибі(スパシービ==ウクライナ語で「ありがとう」)。


2.ウクライナから避難後、関西大学相撲部時代(2022年4月~12月)


神戸新聞(2022年8月12日)
ウクライナから目指せ角界! 来日男性の夢、神戸の学生が支援 国際大会通じ交流…ビザ取得など協力、受け入れも

出典:神戸新聞(2022年8月12日)
出典:神戸新聞(2022年8月12日)


(※後半は有料記事)
毎日新聞(2022年8月26日)
「日本に行けませんか?」ウクライナ人力士救った絆 関大相撲部


デイリー(2022年9月6日)
18歳ダーニャ 祖国ウクライナに活躍届ける 関大相撲部主将にSOSで“友情ビザ”

出典:デイリー(2022年9月6日)


デイリー(2022年9月6日)
角界入りの夢追うダーニャ 8200キロ離れても不屈の魂は祖国とともに

出典:デイリー(2022年9月6日)


(※会員限定記事、無料会員登録後に閲覧可能)
日刊スポーツ(2022年9月26日)
ウクライナ出身アマ力士・ダーニャの夢「大相撲の雰囲気に魅力を感じ、あの土俵に立ちたい」

出典:日刊スポーツ(2022年9月26日)


シーズラーニングセンター公式インスタグラム
(2022年12月16日、動画)、ダーニャからお礼(日本語)

ダーニャ
「みなさん、お世話になりました。僕は東京で頑張ります。応援してください。また会いましょう」

出典:シーズラーニングセンター公式インスタグラム(2022年12月16日)


関西大学相撲部公式インスタグラム
(2022年12月20日)ダーニャ送別会(写真6枚)

出典:関西大学相撲部公式インスタグラム(2022年12月20日)


3.安治川部屋入門(2022年12月)


産経新聞(2023年1月9日)
ウクライナ出身者が入門 元安美錦の安治川部屋へ


(※後半は有料記事)
朝日新聞(2023年2月1日)
戦禍逃れ…ウクライナの青年が角界へ 後押しした日本の「兄」

写真10枚

出典:朝日新聞(2023年2月1日)
出典:朝日新聞(2023年2月1日)
出典:朝日新聞(2023年2月1日)
出典:朝日新聞(2023年2月1日)
出典:朝日新聞(2023年2月1日)
出典:朝日新聞(2023年2月1日)


朝日新聞デジタル(動画)
【ウクライナ】ウクライナの青年が角界へ

(動画文字起こし)

(動画:関西大学相撲部での練習)

安青錦=ダーニャ(以下、ダーニャ)
「大相撲行きたいです。関取なりたい」

(テロップ:関西大学 相撲部道場 大阪府吹田市)

(字幕:ウクライナから避難した「ダーニャ」ことダニーロ・ヤブグシシンさん(18)。ダーニャさんは22年4月、ウクライナから日本に避難してきた。ウクライナで取り組んでいた相撲。大相撲入りを目指し、稽古を続けている)

ダーニャ
「日本の相撲練習とウクライナの相撲練習(は)ちょっと違う。最初はちょっと難し(かった)。今は大丈夫です」

(テロップ:山中新大さん提供(22年4月 関大での練習初日))

―― 記者の質問:日本に来てから強くなりました?

ダーニャ
「はい。なりました。はい」

―― どこらへんが?

ダーニャ
「押し相撲と、立ち合いと、ストレッチ(笑顔)。足(の)パワーと」

(字幕:SNSで交流を続けてきた日本の友人が受け入れてくれた)

(動画:山中主将の出身高校・報徳学園の薄グリーンのTシャツを見せながら、ダーニャ、山中主将、他の部員で談笑)

(テロップ:関大相撲部主将 山中新大さん(23))

山中新大主将(以下、山中主将)
「2019年に大阪の堺で行われた相撲の世界大会に、彼がウクライナ代表として試合に出場していて。僕は観客として見に行っていて。そこで彼の相撲が目について。『強いな』と印象に残っていて、そこで僕が声をかけて。そこで知り合ったのがきっかけです」

(動画:ダーニャの稽古まわし着用を手伝う山中主将)

山中主将
「相撲が無かったら二人は出会ってないので、相撲のおかげで出会ったと思ってます」

(動画:整骨院で治療を受けるダーニャ)

(字幕:稽古中のけがを治療するために整骨院に通う)

ダーニャ
「宇良、176」

柔道整復師
「やけど(=だけど)、宇良、体重増えたやろ?」

(動画:日本語教室に通うダーニャ)

(テロップ:ふたば国際プラザ 神戸市長田区)

(字幕:ウクライナ避難民向けに日本語の授業が開かれた)

(動画:日本語の授業風景)

日本語講師
「〇〇です」(ダーニャに回答を促す)

ダーニャ
「今日は10月6日(ダーニャは「ろくにち」と読む)、木曜日です」

日本語講師
「6日(むいか)、木曜日です」

(動画:ウクライナ語、ローマ字、ひらがなでメモを取るダーニャ)

ダーニャ
「硬い。軟らかい」

(動画:関大相撲部での稽古風景)

(字幕:2022年12月、安治川部屋に入門した。新弟子検査に向けた研修を受け、角界入りの夢を追いかけている)

ダーニャ
「私の夢、大相撲行きたい。関取なりたい」

出典:朝日新聞デジタル(動画、2023年2月1日)
出典:朝日新聞デジタル(動画、2023年2月1日)
出典:朝日新聞デジタル(動画、2023年2月1日)
出典:朝日新聞デジタル(動画、2023年2月1日)


4.安治川部屋の土俵開き(2023年6月)


安治川部屋の土俵開き SUMO(2023年6月19日)
日本相撲協会公式チャンネル

(概要欄より)
令和5年6月16日
元関脇安美錦の安治川親方が独立して、土俵開きを行いました。

出典:日本相撲協会公式チャンネル(2023年6月19日)
出典:日本相撲協会公式チャンネル(2023年6月19日)
出典:日本相撲協会公式チャンネル(2023年6月19日)


Smart FLASH(2023年6月29日)
安治川親方の部屋開きに密着! 浮世絵が描かれた豪華4階建て“こだわり”は「稽古場チェックモニター」

写真14枚

出典:Smart FLASH(2023年6月29日)
出典:Smart FLASH(2023年6月29日)
出典:Smart FLASH(2023年6月29日)


5.新弟子検査(2023年7月)


スポニチアネックス(2023年6月30日)
ウクライナ出身のダニーロ・ヤブグシシンが新弟子検査受検へ 世界ジュニア選手権中量級3位の実力者


東海テレビ NEWS ONE(2023年7月3日)
22年4月に戦火を逃れ来日…大相撲名古屋場所の新弟子検査にウクライナ出身の19歳 新十両・獅司に続くか


CBCニュース(2023年7月5日)
「家族のために頑張りたい」 ウクライナから2人目の力士誕生へ ダニーロ・ヤブグシシンさん(19)が新弟子検査 世界ジュニア相撲選手権で3位の逸材


NHK関西 NEWS WEB(2023年7月3日、動画あり)
大相撲 新弟子検査 ウクライナ出身の19歳が受検

出典:NHK関西 NEWS WEB(2023年7月3日)
出典:NHK関西 NEWS WEB(2023年7月3日)


中日スポーツ(2023年7月3日)
ウクライナ出身のダニーロ・ヤブグシシンがただ一人の新弟子検査受検 「戦争、大変です」強くなり独に避難中の父母を日本に呼ぶ夢語る【大相撲】

写真5枚


スポニチアネックス(2023年7月3日)
【新弟子検査】ウクライナ出身のダニーロ「家族のために頑張りたい。助けたい」戦禍の母国へ活躍届ける


日刊スポーツ(2023年7月3日)
名古屋場所で唯一の新弟子検査受検者はウクライナ出身 世界ジュニア3位の実績、かなえたい夢も


サンスポ(2023年7月3日)
師匠の安治川親方がヤブグシシンに大きな期待「好きな部分をどんどん伸ばして」


デイリー(2023年7月4日)
ウクライナ出身・ヤブグシシン 基準パス 昨年関大で稽古に励む「家族のために頑張る」


スポーツ報知(2023年7月4日)
ウクライナ出身・ヤブグシシンが相撲新弟子検査の体格基準パス「家族のために」・・・安治川部屋の19歳


日本経済新聞(2023年7月9日)
ヤブグシシンが新弟子検査合格 ウクライナ出身2人目


日刊スポーツ(2023年7月9日)
ウクライナ出身ダニーロ・ヤブグシシンが新弟子検査合格 興行ビザ取得後、9月秋場所にも前相撲


6.初土俵(2023年9月)


6-1.前相撲


日刊スポーツ(2023年9月12日)

「22歳までに」ウクライナ出身2人目の関取目指す!安治川部屋の安青錦が前相撲デビュー戦快勝

写真9枚


産経新聞(2023年9月12日)
ウクライナ出身の安青錦が白星「本当にうれしい」秋場所の前相撲で初土俵


スポニチアネックス(2023年9月12日)
【前相撲】ウクライナ出身・ダニーロが初土俵「安青錦 新大」しこ名に込められた母国への思い


北國新聞(2023年9月12日)
ウクライナ出身の新弟子が白星 秋場所の前相撲で初土俵


スポニチアネックス(2023年9月13日)
【前相撲】ウクライナ出身・安青錦「親方を見ると安心します」師匠・安治川親方の目の前で快勝


(※後半は有料記事)
毎日新聞(2023年9月16日)
力士4人でもあふれる活気 大相撲・安治川部屋から青い新風


6-2.新序出世披露


時事通信(2023年9月17日)

出世力士6人を発表=大相撲秋場所


日刊スポーツ(2023年9月17日)
ウクライナ出身の安青錦が師匠安治川親方の化粧まわし着けて新序出世披露 堂々と晴れ姿見せる

出典:日刊スポーツ(2023年9月17日)


スポニチアネックス(2023年9月17日)
ウクライナ出身・安青錦が憧れの師匠・安美錦の化粧まわしで新序出世披露「楽しい時間」

出典:スポニチアネックス(2023年9月17日)


7.初土俵以降


2023年九州場所 安青錦の取組(序ノ口優勝)


2024年初場所 安青錦の取組(序二段優勝)



※ ヘッダー写真の出典は、朝日新聞(2023年2月1日付)。


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