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大人

精神的ネグレストの元で育った私。今は、誰にも彼にも幼子のような精神だと思われているようだ。
親は彼へ、彼は知らぬ誰かへ、私という人物は幼稚だと伝えて歩く。そしてそれを、恥ずかしながらに先程知った。


いつになったら、大人になれるんだろう。


昔から、気の利いた娘であり、手のかからない妹であり、よく出来た姉でなければいけなかった。
親の言うことは何でも「はい」というひとつ返事で聞かなければ叱られた。親の望む事をしても、褒めてくれる事はあまり無かった。
兄妹のことを気遣わなければいけなかった。兄と遊んでいると、「妹を輪に入れろ」と叱られた。妹と兄が遊んでいる時、私は1人だったのに。

思春期、少し芽生えた反抗心は、父の怒鳴り声にかき消された。
生まれてこの方、親に反抗などまともにしたことが無い。しようもんなら殺される、そう思ってたしそう言われて来たから。

成績はトップじゃないといけなかった。400点は当たり前、それを切ったら、一家団欒の食事時に大声を浴びせられた。
だからと言って、450点を取っても、100点を取っても、教科順位1位になっても、通知表に5が並んでも、決して褒めてはくれなかった。
1度だけ、ご褒美と言ってWALKMANを買ってもらった事があった。でも本当は、そんなのよりも褒め言葉が欲しかった。

こんな家、すぐにでも飛び出してしまいたかった。

転機は訪れる。
中3春、偏差値の高い国立高等学校を受験することを決めた。理由は、「寮に入れるから」。
結果的に寮の体制が自分に合わず、心身共に抉られてしまうのだが、過去のnoteにも書いているのでここでは割愛。
私にだけ、なんだかおかしい家から出ることが出来た。少しだけ、解放された。それが嬉しかった。


でも


学校生活に寮生活、部活動における時間外勤務と度を超えた労働、友人関係異性関係、祖父らの他界に両親の不仲……
降り掛かってくる物は後を絶えなかった。その中で私は病気になった。ずっとずっと溜めていたのに、溢れてしまった。



そうなってからやっと、周囲が私を見てくれるようになった。









のも束の間。


今度こそ私を見てくれる。そう期待したら、すぐに皆後ろを向いてしまった。
各々歩き出してしまった。
置いていかれてしまった。

皆、愛で私を支えようとしてくれたのでは無かったのかもしれない。暴走してしまう私が、衝動に身を任せる私が、精神が幼稚な私が、面倒だから構ってくれていたのかもしれない。だから皆、中途半端に助けて中途半端に傷つけるのかもしれない。


大人ってなんだろう。何が大人なんだろう。
いつになったら大人になれるんだろう。
私が子供なのだとしたら、周囲は大人なのか?
私はまた、「良い子」になればいいのか?




何も分からない。









夜が明ける。

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