2019.01.15 DAZED: A conversation with Perfume, Japan’s most futuristic pop band _記事日本語訳

掲載元:DAZED

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A conversation with Perfume, Japan’s most futuristic pop band  

対談:日本で最も未来的なポップバンド Prefume
MUSICQ+A

コーチェラでのパフォーマンスと北米ツアーを前に、我々はガールズグループシーンの先駆者に会いに、日本の田舎町へ向かった。
15January 2019
TextClaire Marie Healy

日本の静岡県にある掛川の周辺は、慎ましやかな場所だ。そこまで行くには、ロンドンからSheffieldまでと同じくらいの距離を雲に隠れがちな富士山を横目にしながら東京から新幹線で1時間半を要する。日本の太平洋側の海岸線にひっそりとある小さな町で、主要な観光地はその中心部に唐突に現れる15世紀に建造された城だ。
10月に訪れたのだが、ガソリンスタンドやコンビニの脇を歩いて、ビジネスホテル街のあたりで結婚披露宴の音楽が聞こえてくるなど、10代の青少年がその成長期に「このままではいけない」と思うには十分すぎるほど退屈な街だった。少なくとも、日本で約15年に及んで最もビッグな女性グループとしてテクノポップを象徴するPerfumeのファンや、夕方の同じ時間に、Perfumeのソールドアウトしたライブに行くために掛川駅に到着してしまった人々にとっても。

スタジアムの外の広場は、ちょうどフットボールの試合の熱狂と、ヴァチカンの厳かな崇拝を併せ持つような雰囲気だ。ボリュームは低くても、アリーナを取り巻くファンのコミュニティのうごめく熱気を肌で感じることができる。
Perfumeのオマージュパフォーマンスがまるでオードブルのようにメインコンコースのあちこちで披露されている。中年層からティーンエイジャーまでがまぜこぜになってテントの周りを埋め尽くし、CDやグッズを購入している。(Perfume側の代表で、通訳者でもあるAyaさんが後で説明してくれたのだが、ファン層は、彼女たちが10代のアイドル時代から応援している年上の男性や、Perfumeを力強い女性像の最前線として敬愛するジェネレーションZ(1990年代後半から2000年代初頭生まれの)というように多様なのだそうだ。
Tシャツの中には”PTA”メンバーしか購入できないものもあり、PTAというのは保護者と教員団体のことではなくてオフィシャルファンクラブ(”Perfume to anata”)の名称だが、よりカルトっぽい雰囲気を醸し出している。

入場すると、コンサートホールの一角が華やかなフラワーアレンジメントで彩られている。イギリスではお葬式でしか見かけない光景だが、日本ではライブの成功を願って、アーティストがいつもフラワースタンドをお互いに贈り合う風習があると後になって知った。アルコールは場内では販売されておらず、ひたすらに純粋にPerfumeのライブの目撃者となるのみであった。

Perfumeは持久力を兼ね備えた孤高の存在だ。彼女たちの未来的なサウンドにふさわしく2000年代への変わり目に結成されたが、ようやくメジャーの舞台でヒットを飛ばした時には、ミレニアム時代の「10代のアイドルの女の子」からは卒業していて、日本の新しい文化の開拓者と捉えられうるだけの意欲溢れるエレクトロ路線へと転換していた。

ショーが始まると、2000年代から現在までの*日付が点滅しハイスピードでPerfumeの歴史年表が表示され、目の眩むような速さで未来へと誘われた。(このオープニングは、”Future Pop”のミュージックビデオへと繋がっていくような感覚だった) (*リリース日やライブの日といった記念日の日付)ライブの後に彼女たちを訪ねたのだが、まだまだPerfumeの加速は止められないと感じた。

Perfumeはビルボード全米チャートアルバムウィクリートップ100で初登場4位*(これより上位にはK-POPの巨星BTSと映画”Crazy Richi Asians”のサントラがランクインしているだけだった)を獲得した7枚目のアルバム”Future Pop”をひっさげて7回目のツアー中である。(*ワールドツアーとしては4回目となっている)(*2018年8月25日付 ビルボードチャートWORLD ALBUMS)テクノロジーの未来的で審美的なモードとは別の、内省的なイメージも強く持ち合わせている。それは、あ〜ちゃん、のっち、かしゆかの3人がスタジオジブリの作品にそのまま登場しそうな空想のバスで旅をしながら子供時代の自分の分身と何やら考え深げに対面する、歌声がとても耳に残る ”Let Me Know “のミュージックビデオで示唆されている。

Perfumeの3人自身は、ガードされてはいたもののバックステージに一人づつ美味しそうに用意された選りすぐりのデザートの前ではご多分に漏れず可愛らしい様子だった。2時間にも渡ってハイヒールであれだけ踊っていたのに、さっぱりした様子で甘そうなドリンクをストローで飲んでいた。

あ〜ちゃんは一番おしゃべりで紛れもなくスポークスマンだ。のっちはお母さんが履いていそうなバギージーンズに、自分たちのグッズTシャツを着ているクールな子。かしゆかは成熟した雰囲気で、最も慎重なタイプだ。彼女たちは安らいでいるように見え、インタビューが終わった後でちょっと変わった色々な話題についておしゃべりしてくれた。私のアイライナーがどこのものかとか(Rimmelの。)、(*日本ではライセンス契約先が変わって販売されない時期があったので)本国イギリスではローラアシュレイはどんな様子かとか。

K-POP と同じく、J-POPの作られ方として外部の製作者(Future Popの楽曲もPerfumeと長きに渡るコラボレーターであり偉大なプロデューサーである中田ヤスタカの作品)によって楽曲が制作されるのだが、アンドロイドのようなビジュアルに隠されていた、今年それぞれが30歳を迎えるPerfumeという女性像が少しづつ、つまびらかになろうとしている。欧米のリスナーが彼女たちの人となりを知るのも、もうすぐだ。

2019年。Perfumeのような才能溢れるテクノポップサウンドのアーティストは、グローバルにファンを獲得するだろう。英国やアメリカでは、デジタルにお腹いっぱいの視聴者はコンサートで提供されうる、今まさに、すぐ目の前の触れることができそうな距離で繰り広げられる大胆なフューチャリズムを切望しているのだ。

1月にこの記事を書いているのだが、Perfumeはコーチェラの日曜日のアーティストにラインアップされた。同じ日にはアリアナグランデ、カリード、バッドバニーが名を連ねる。アリアナに「要チェックよ!」って言いたい。Perfumeが来たからには退屈で眠たくなっちゃう街掛川だろうが、カリフォルニアの砂漠の中のポロクラブだろうが、彼女たちのショーはまるで2039年のスーパーボールサンデーのようなのだからと。

(*コーチェラの会場はカリフォルニア インディオのEmpire Polo Club)

(*ここからインタビュー)

ショーのテクノロジーは、今まで見たことがないようなもので、心から感動しました。今回のツアーにおいてのテクノロジーの進化で、一番すごい!と感じたのはどの部分ですか?

あ〜ちゃん:”FUSION”という曲の、スクリーンいっぱいのシルエットです。何というテクノロジーを使ってるかはちょっとわからないんですけど(笑)、基本となる大きな影がスクリーンに投影されていて、そこに私たちのダンスの動きがマッチングされていきます。私たちが動いたように、影も動きます。

テクノロジーには、AIにまつわる不安やデータ保護の問題、それからマシーンラーニングなど、何かと不安がつきものですが…”Future Pop”の中には、こういったテクノロジーを今一度再び楽しんでみようという考えがあるのでしょうか。

あ〜ちゃん:そうとも言えますね!お客様がPerfumeを通してテクノロジーを楽しもうとしてくれているんです。最新の5G通信を使って、世界同時配信をした時には、世界中で同時に同じ出来事を体験できました。こういうのが未来の世界なんだろうなって。これは”Future Pop”のミュージックビデオのテーマでもあります。皆さんはPerfumeを「ポップの未来だ」って捉えてくださっていますが、でも同時に、ショーでもご覧いただきましたが、「天空」のような曲もあるんですね。「自分はまだまだだけど、いつか大きな羽を手に入れて、空高く飛びたいな」って。なので、テクノロジーを打ち出した部分がありながらも、人の手の温かさが感じられる部分もあるんです。

皆さんは長い間、Perfumeとしてパフォーマンスを続けて来られました。今日までにどれだけたくさんのショーを経験されたか想像も出来ません。ステージに向かう前に、ナーバスになりすぎないように何かされていることはありますか?

かしゆか:もし、緊張してるねってお互いに口にしてしまったら、本当に緊張してしまうので!だから、大丈夫になるまでは、少しでも緊張しているということを忘れるためにふざけたりしています。

Perfumeをまだ未体験の人がまず最初に聴くとしたら何がいいですか?Perfumeの世界に飛び込むために、何かいい方法がありますか?

のっち:え、難しい質問!(笑) “Future Pop”の収録曲ではないのですが、”Spending All My Time “という曲があります。そのミュージックビデオで、退屈な部屋に閉じ込められて支配されて、表情もないままにダンスを踊っています。こういうものが一番最初に私たちに対して抱くイメージだと思うので、スタート地点としていいかもしれないです。

それは個人の感情を表に出さずに、自分を見せないようにしていたその時から比べると別の形に発展しているということですか?
今ではもっと自分のことを出していきたいと思っていますか?

あ〜ちゃん:アンドロイドっぽさは実際、今でも私たちの大切な部分です。でもショーではもう少し人間味を感じていただけたと思います。何年もの間、いろんな角度からPerfumeを見ようとしてくださったことで、お客様自身が私たちへの期待値をどんどん高めてくださってきたと感じています。そのおかげで、私たちも成長できたのだと思います。

あなたが一番尊敬する人は誰ですか?

全員:MIKIKO先生です!
のっち:MIKIKO先生は、私たちの最初のダンスの先生で、18年間一緒にいます。初めてあった日から、尊敬の気持ちは変わりません。先生の夢は私たちの夢です。本当に、とても堅実で、とてもとてもチャーミングな方です。

一万円札の顔、誰だったらいいと思いますか?

かしゆか:ベネディクト・カンバーバッチ?(笑)

違います、日本人で!

かしゆか:神木隆之介くんです。とてもかっこいい若手の俳優さんです。同じマネージメント会社に所属しています。彼を子供の頃から知っていて、でも今、20代になっても尚、天使のようなんです。

今までファンからもらったプレゼントで一番びっくりしたものは何ですか?

あ〜ちゃん:婚約指輪です!15歳の時でした。お手紙も一緒にいただいて「あ〜ちゃん、あなたを好きになってしまいました。だからこの指輪を差し上げます。そして2度と、ライブには来ません」と書いてあって。アーティストではなく、女性として好きになってしまったから、私を独り占めしたくなって、もうステージでは見ることができませんと。。。(笑)

ちょっとびっくりですね。
**好きな映画を教えてください。 **

あ〜ちゃん:「千と千尋の神隠し」です。
のっち:「ハウルの動く城」です。

実際にこの場所はスタジオジブリの世界を思い起こさせてくれますね。
では、あなた自身について、もしみんなが聞いたらびっくりするようなことがありますか?ちょっと変わった習慣とか。

のっち:そんなに知っている人はいないと思うんですけど、私の髪はおさまりが良くなるように常にヘアスプレーをしています!これがほんとにほんとに、硬めなんですよ。そうしないと、内側の髪の毛がまつげにかかってしまって、だから、がっちり固めています。今日ライブをしながら初めて、「あ、自分、髪、硬くしてあるなー」って思ったんですけど(笑)

ほんとに、ステージでも動かないから、クレイジーだなって思っていましたよ。
ツアーのお休みがもらえたら、何をしたいですか?寝る、以外で。

あ〜ちゃん:私たち、いつも集まって、ボードゲームをしたりしています。「脱出ゲーム」に行くのも好きです。日本でも、英語で遊べる脱出ゲームがありますよ。どうして好きかというと、お互いに深く分かり合えてるからで、とても感動するんです。謎を解こうといろんなことをしている時に、ミラクルみたいなことが起きるんです。意思疎通のために喋る必要もないんです。

ただ単に、得意だから好きなんじゃないですか?

全員:(笑)それぞれの得意分野でそれぞれのやり方があるから…そうですね、やっぱり、チームの努力っていうことだと思います。

-Perfumeは3月から4月かけて、北米で”Future Pop ワールドツアー”を行う。

※ ✴︎は訳者が補足した部分です。
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Future Pop(2018)

Let Me Know(2018)

Spending all my time(2012)

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