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ビリヤニ小話

昨日、東京流通センターで開催していた「文学フリーマーケット」に手伝いにいった。そんなに手伝いはいらないかもしれないなあと思いつつも裏方好きは、あらゆるチャンスを伺ってカウンターの向こう側に入りたがるものなのだ。前回手伝いに来た時に、会場のすぐ外にパキスタン料理店があることは認識していた。ただ、コロナ全盛期からそう経ってないようなときだったので多分営業していなかった。それが、今回オープン。休憩時に行かねば‥‥。行かねばといって、こういうイベントの出店者側にいるときにゆったり時間をとって食の好奇心を満たしに行ってしまうというのが、この社会が求めている社会性が100%で備わってはいないとうっすらと思うが、もういい歳になってしまったのでどうにもならない。スマヌとパーティーのリーダーに心で詫びをいれ、いそいそと店に向かう。

とにかく、パキスタン的なあたり、インドの西側の料理に出くわしたら、ビリヤニよ。カレーメインだとはおもうけど、ビリヤニ探せ。インド料理屋のビリヤニよりうまいはず。ビリヤニとはな、色付きご飯だが、炒めたものではない。炊き込みご飯なのだが、ピラフでもない。米を半茹でにしてそこに味付きの具を入れて炊くという、誠に半端な感じのする調理方法である。ウィキを読んでいたら「調理法にはパッキを使う方法、カッチを使う方法、生米を使う方法の3つの調理方法がある」とあり「パッキには半パッキと全パッキがあり、カッチは単体でもカッチだが、つなげる場合もカッチである」というような文章が続き、筒井康隆のようでもあり、謎解きの問題文のようでもあり。さて、カッチとパッキ、洋服なのはどっち? じゃないのよ。ああ、生米使う方法もあるのか。なるほど。ちなみにパッキは「ダム調理の前にグレービーが加熱調理される」ものだ。混迷深まる。パッキは生肉を炊く時に入れるやつっぽい。

大概のビリヤニは結構派手なビジュアルをしている。結構色は濃かったり、混ざってるものもファンシーなことがある。しかしながら、見た目と味のバランスはまったくあっていない。本格派であればあるほどこの傾向がある。つまり薄味なのだ。日本人が作るビリヤニは見た目と味があっていて、その濃さちょうどチャーハン程度だが、本場のは茶飯程度の味の薄さで、驚く。驚くまでがセットでビリヤニだ。日本人の場合。ところで、何に似てるかといえば、ドラゴンフルーツ(赤)である。あんな派手な果実なのに、食べると薄味で食感ももっさりしてて毎度、おう、おまえはそういうやつだったな、と思う。そうなんだよ、期待されても困るぜ。

そして、ここのビリヤニも由緒正しい薄味ビリヤニだった。これこれこれ。掘り出した肉の周りのカレー分をできるだけ広範囲の米になすりつけ、ヨーグルトと塩とスパイスでできたソースをぶっかけてください。インド周辺の料理は出てきた付け合わせやソースは、程よい量を混ぜて味変しながら食べるのがおすすめです。単品の時に「なんだこれ?」と思うけど4種類くらい混ざった時に力を発揮する謎の漬物とかがあるので、まじめに取り組んで吉。

覚えておいて損はなし、東京流通センターのとこのパキスタン料理はおいしいってことを。