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暗黒日記Z #15 「2021年の総括Part.2」

土曜日なんて来る訳ない。ということで。

土曜更新とか無理無理。冷静に考えて日曜更新のほうがじっくり色々考えられるから今後は日曜更新にしていこうと思う。とか言いながらその日曜も終わりかけてるこんな時間(現在時刻22:07)に書いている時点で全てが崩壊している。やいやい。

しかしなんとかひとまず書くだけ書いてみるので気が向いたら読むだけ読んでみて呉れ給えよ同志。

今年は本をそんなに読んでいない。でもここ数年の中では読んだほうだった気もする。主に近所の図書館で借りてきていたのでいつかこの恩義は何かしらの形で返さなければいけない。税金払っとんのやからええやろ、という気持ちもあるが、それはそれとして、なんだ、出版業界とかに貢献したほうが良いような気がしている。方法は知らない。ベストセラーでも出せばええですか。出したいね。

窪 美澄「トリニティ」

装画が宇野亞喜良だから手に取ったんですか。そうですね。そういう側面もありますね。でもそもそも窪 美澄のファンなんですね私は。

話せば長くなるファン歴。だからって短くまとめられない訳じゃない。高校んとき「晴天の迷いクジラ」読んで理想の小説じゃん、ってなって以来ずっと憧れてるだけ。けど全作読んでたりもしない。ちょこちょこ抜けている。

今作は学生運動が盛んだったような時代を生きた三人の女達(ゆえのトリニティ)の話であり、殊に雑誌のライターとして活躍しながら儚くも凋落してしまう一人の女へ焦点が当てられている。形式としては、先の三人のうち一人の娘……あれ、孫だっけ……が就活を失敗して引きこもりになるが……あれ、別に引きこもってはいなかったんだっけ……とにかくそのかつてカリスマライターとして一世を風靡した老女の家へひょんなことから(こういう便利な言葉を使ってしまうのにはいつも一抹の恐怖を覚える)足を運んだ際、惨状と言うほかない住処の主たる老女に興味を惹かれ、それから定期的に訪れては昔話を聞くこととなるのだが、そうした昔話がページ幅のほとんどを占めている。つまり我々は小説を読んでいるあいだ基本的には現在──平成末期──から動かないものの、異様にも思える熱気を帯びた昭和にかなりの時間心を囚われることになるのである。より噛み砕いて言うならばほぼ全編が回想だということ。途中からそうしようと思ったのかという気がするようなつくりになっていたが、どこまで作為的だったのだろう。読書が習慣化している日常を取り戻すことが出来たのは、久しぶりに読むものとして今作を選んだからだったのは間違いない。

筒井康隆「モナドの領域」

説明不要。我らが筒井御大の比較的新しい小説。「究極のテーマである神について書いたのでもうこれ以上書くことはない」として、御大はこれを自らの「最後の長編小説」だと公言しているらしい。でもなんかこれのあとも色々出してなかったっけ。ちゃんと追ってないのでわからん。広く浅くコンテンツウォッチャーやってるだけのスノッブでごめんちゃい。

物語はバラバラ殺人に始まり最後には時空を超越した愛……愛かあれは? な話になる。最後の最後に一瞬見せてくれる光景が若かりし日の御大の作を思わせてそこに少しばかり泣きかけるという思わぬ感動があったりする。私は「脱走と追跡のサンバ」が一番好きですよ、ちなみに。最高のアドベンチャー小説だと思ってる。

シド・フィールド「最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと」

そういや脚本術やら作劇術やらそういう類の指南書読んだことなかったな、と思って読んでみた。超参考になった。三幕構成くらいは知ってたけどそれをさらに細かく分解してプロットポイントとかいう言わばターニングポイント的なものを物語上に二つ用意しろだとかそれぞれの幕の役割だとかは全然知らなかったので面白くて貪るように読んだしめちゃくちゃ活用させてもらってる。この本から学んだことを完璧に身に付けたうえで破壊することを目標にして最近は小説を書いている。

漫画

漫画も色々読んだような気もすればそうでもないような気もする。読んだ先から細かい部分すっぽり抜け落ちて印象だけが残るタイプの人間なので具体的にどんなのを読んだのか実はあんまり覚えてない。そんな中でも今現在しっかり強く記憶に残ってるやつ三つ挙げてみる。

石田スイ「東京喰種」

い、い、い、今更!? そう今更。

今更ちゃんと読んだ。無論「:re」の最終巻まで。どんどんスイ先生が自由になっていく感じが見てて面白いね。そうか作家っていうのはこうやって作家になるものなのか、と思うなどした。私もこれくらい自由になりたいものだと。

推しは結局真戸暁になるんだよなやっぱり。ああいうキャラの魅力に抗えた試しがない。

雨隠ギド「甘々と稲妻」

え、今更!? そう今更なんだなこれも。

むっかーしブコフで読んだけど全然刺さらなかったのに今年改めてなんとなく読んでみたらあまりにも良くてなんじゃこりゃって感じ。優しさを味わいたいならこれ以上のものはない。こたつに入りながらいただくホワイトシチューみてえなもん。ホワイトシチューが果たして優しい料理なのかは分からん。イメージ。

杉谷庄吾【人間プラモ】「映画大好きポンポさん」

映画好きが映画について語る漫画と聞いて飛び付くと大体マーベルかさもなくばマッドマックスやらワイルドスピードやらの話してて泣く泣く逃げ帰った夜は数知れず。だがこれは違う。不意に見かけたコマで『アラビアのロレンス』という名前が上がっているのを見てそう確信し、じっくり読んでみたらもう……これこれ! こういうのが読みたかったんだよ! となったのであった。映画好きどころか映画だけが生きるよすがの人間が映画について語るよりむしろ映画を撮る漫画。面白いに決まっておろうが。

つづく

つーわけで今週はここで店仕舞い。来週はアニメやらVtuberやらについてでも語ろうかね。

取り急ぎ全人類Luxiemをチェックすべき……。

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