見出し画像

時効になっても諦めない/油断しない

初めて記事を投稿します。

多くの人に関係のある「時効」について、
書きたいと思います。

時効期間が経過しても、権利は消えない。


 「お金を払ってもらいたいが、
 時効にかかっていないでしょうか?」 

頻繁に受ける相談の一つです。

お金を支払ってもらう権利があっても、                
何年も放っておくと、時効の期間が経過して、
請求できなくなることがあります。

民法には、以下のような規定があります。

一定期間、債権の行使をしなければ、
その債権は、時効によって消滅する。

他方で、
民法には、以下のような規定もあります。

時効は、当事者(略)が援用しなければ、
裁判所がこれによって裁判をすることが
できない。

この「時効の援用」という規定の解釈には
諸説ありますが、
とりあえず
 「時効の期間が経過しても、まだ権利は消滅しない。」
 「本人が時効の援用(主張)をして、はじめて権利が消滅する。」

と考えて頂いて、間違いはありません。

時効期間が経過していても
諦めない/油断しない

時効については、
判例上、重要なルールが定着しています。

それは、以下のようなルールです。

「(時効の期間が経過した後、)
たとえ時効が完成していることを知らなかったときでも、
債務の承認(※)をした後は、その完成した消滅時効の
援用をすることは信義則に照らして許されない。」

※ 債務の承認(権利の承認)
  一部を返済したり、返済の猶予を求めたりして、
  相手の権利を認めること。

要するに、
「時効の完成に気がつかずに、
一部を支払ったり、返済の猶予を求めたりすれば、
その後に気がついても、
時効による消滅を主張できない」

ということです。

そのため、
たとえ時効の期間が経過したとしても、
「権利者」側は、まだ諦めるのは早く、
一部でも支払ってもらったり、
相手から「返済を待ってください」
という言質をとったりすれば、
相手の時効の主張を、阻止できます。

逆に、
時効の期間が経過したからといって、
「義務者」側は、油断してはならず、
時効の主張をするのであれば、
相手から請求を受けたときに、
「時効を援用します」と相手に通知する
必要があります。

(以上です)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?