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【本町人物名鑑】 DXの時代 後世に残る印刷物を作りたい 堀川印刷所 代表取締役 堀川哲雄さん

白河市本町商店街で堀川印刷所を経営する、堀川哲雄さん。
家庭用プリンターやOA機器、コンビニでの印刷が主流になり、さらにはオンライン上での文書のやり取りが活発になっている今。それでもまちの印刷所は動いています。
今回は子供時代の街の様子や紙の持つ良さも含めて、堀川さんにお話を伺いました。

堀川哲雄(ほりかわてつお)
1944年福島県白河市生まれ。白河第一小学校・白河中央中学校・白河高校を卒業し、大学を出たのち、白河に戻り印刷所を営む。食べることが趣味で、コロナ前の休日はテレビ等で美味しそうなものが映ると、東京だろうとどこまでもと食べに行っていた。
白河に対しての思い:「小峰城とか南湖公園に来てくれる観光客は多いので、まちなかの商店街にも来てもらえる努力をしないと…と思っています」

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子供時代は戦後復興で街がにぎやかだった

私が生まれたときは戦争の後で、多分日本が一番落ち込んでいるときでした。物資が乏しい時代。でも戦後復興の時代とも言えて、商店街はとても賑わっていたし、すごく楽しかったですよ。考えられないと思うけど、その時代はこの商店街に400軒くらいは商店があって、毎日お祭り状態。スーパーが出来る前だったから、個人商店がたくさんあったんだよね。肉屋さんに魚屋さん、八百屋さんとか。それに病院も総合病院じゃなくて、内科、外科、歯科、眼科とかみんな別々だったからねえ。本当ににぎやかでしたよ!

小学校のときはとにかく遊んでいました。今みたいにゲームがあるわけでも施設があるわけでもないから、自分たちで考えて色々遊んでいましたね。チャンバラごっことか。杉鉄砲っていって、竹の筒のなかに松ぼっくりの杉版みたいな実を詰めて、撃って、そんな遊びをしていました。今は花粉とかあるだろうし絶対やらないだろうね(笑)南湖には氷が厚く貼っていたから、そこでスケートもできましたよ。下駄に戸板の鉄レールを挿して、スケート靴も手作り(笑)

放送・無線にハマった中高時代

中学校では放送局っていって今の放送委員会みたいな組織に属していました。校内にお知らせとかしていたかな。もうそこがすごく楽しくって。それ以外の記憶は特にないかな。アマチュア無線っていって無線の知識とか法律とかの国家試験があるんですけど、それを取るために勉強していました。高校のときもやっていましたね。もう無我夢中で学校から帰ってくるやいなやご飯も食べずに無線で友達と通信して。うちのすぐとなりに映画館があったんだけど、ある時、私の声が、無線を通して流れてしまったらしくて、そのときはすごく怒られましたよ(笑)

高校卒業後は大学に通いました。私達の時代は学生運動とか盛んな時代。よく語られる東大の闘争とかもこの時代かな。でも私自身は正直大学ではろくに勉強もせず都会の生活で友達同士で思う存分遊んでいました。

印刷業界に入る

大学を卒業した後は、1年ほど凸版印刷の会社に勤めました。その時は、何もかもが初めてで面白かったですね、バタバタしていたけれど。そうしてこの実家の堀川印刷所にもどり勤めました。

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堀川さんの使命と紙の持つ良さ

この仕事は生まれたときから出、活字からパソコンに進化し、大きく変化しました。お客さんが喜んでくれるのは嬉しいですよ。「安かろう、悪かろう」にはしたくない。「安かろう、良かろう」に。お客さんの信頼が何よりも大切だから。「きれいだね」とか「他と違うね」って言ってくれるから、この丁寧さは絶対失いたくないです。今は大体なんでも自宅とかコンビニで印刷できちゃう時代でしょう。そんな中だからこそうちに頼んでくれるお客さんのことは大切にします。

コミュニティ・カフェ EMANONを起点に、福島県出身の若者と福島県県南地域の高校生が中心になって、取材・編集を行っている裏庭編集部。その季刊雑誌「裏庭」も堀川印刷所で印刷していただいています。

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しかも今はオンライン上でなんでも完結しがちですよね。ただ、紙には紙の良さがあると思います。例えば、昔はデータを保存するときにフィルムを使っていたのが、フロッピーになって、CDとかDVDになって、USBになって…。今の子達はフィルムとかフロッピーとか見たことないでしょう。CDとかDVDもパソコンに外付けで機械を付けないと読み込めないことが多いし。そういうのって5年10年であっという間にかわってしまうんですよ。そうしたら後世に残すのって難しくないですか。今だってフィルムのデータなんてそう簡単には確認できないし。一方で、紙は半永久的に残ります。江戸時代の文書を見れたりするのも紙だから。自分が使った教科書を50年後に振り返れることも大事だと思うんですよね。
私が好きだった無線とか電信電話の業界だって、黒電話とかポケベルとかガラケーとか変化激しいでしょ。そのなかでやっぱり紙はいつまでも残るからいいと思うんです。

若者・高校生への思い


若い空気は本当に街にとっても私達にとってもいいですよね。街が活気づく感じ。私達は体は動かす手伝いはできないけど、応援したいと思っているし、物資とかそういう支援はできるから、なんでもやってみてほしいです。単純に若い人となにかやるのは楽しいしね!

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編集後記(インターン生 みさと)
堀川さんはご夫妻本当に仲が良くて優しい雰囲気があるんですよね。
私の名刺は堀川印刷所で印刷していただいたものなのですが、こころなしかそんな優しさを感じます。紙ってやっぱりなんかあったかいですよね。最近は専らオンライン上で済ませてしまうものが多いから、紙の良さを聞いてしみじみしてしまいました。
みなさんもぜひ印刷物があれば、堀川印刷所へ!

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