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【徹底解剖】焼酎の「うまみの正体」とは!?

蔵人です。
今日はろ過についてお話しします。

焼酎は蒸発したものを集める(蒸留)ので、蒸発しない成分は出ないはずなんですが、
本格焼酎に代表される単式蒸留焼酎の原酒には、アルコールの他に
水と焼酎の香りや味になる微量成分が含まれています。

単式蒸留機は単純な造りなんで加熱・蒸発する勢いでちょっと入っちゃったという感じで、これが入ることで本格焼酎の「らしさ」がでるんですよね。

といってもアルコール度数25%の製品中に微量成分は0.2%程度しかないそうで、さらに「米・麦・芋」などの主原料の特徴的な成分はその中のほんのわずかでしかないんです。

そんな微量成分の配合をいろいろどうにかして蔵の違い、商品の個性を出そうと日々焼酎を造っているわけなんですよ。


焼酎のうま味に直結する成分は脂質(脂肪酸)からなるもので、
口に含んだ時に「まろやか~」とか「うまいなぁ」とか、いい面もあるんですが、
貯蔵中に酸化がすすむと「アブラ臭」とよばれる良くない臭いになることもあります。


こんな人、いるいる(笑) 

アルコール濃度が高いとか、貯蔵温度が高いうちはしっかり溶けこんで
いるのであまり目立たないんですが、25%にうすめたり(割水)、
冬場になって貯蔵している原酒が冷えたりすると、アルコールに溶けきらなくなり分離してうっすらと白く濁ります。

通常の製造工程では、蒸留が終わって原酒を貯蔵容器に移す前に一旦ろ過します。
芋焼酎の場合、脂分はそれほど出てこないんでろ過は軽めです。

米や麦などの穀類原料のものはかなり脂分がでます。
しっかり取るためにあえて冷やして分離させてとることもあります。

年中売っているレギュラー銘柄とかは、このろ過工程があることで年間通して同じような味に調整しやすくなるので大切な工程なんです。

ろ過は「ろ過機」という専用の装置をつかいますが、「ろ紙」と呼ばれる紙を挟んでその中を通します。
ろ過が終わってから紙を見ると結構脂分が取れているのがわかるんですよね。これでも全部取り切れるわけでないんで、ろ紙の目を粗くしたり細かくしたり、珪藻土という油分を吸着する助剤をつかったり、用途によってやり方をかえています。

だいそれた機械でろ過するんですねぇ。

原酒をつくる担当(製造チーム)は

できるだけ味を乗せたい!
うま味のもとをとってしまうなんて考えられない!
ろ過なんか最低限荒めにしといてくれ~!

と思ったりしている一方、

原酒の管理担当(酒精チーム)にしてみれば、
一度アブラっぽいにおいがつくと後でどうやっても取れない!
酒質にはバランスってもんがあるでしょ!
不安材料はとっとくべし!

…とまぁそんな感じでせめぎあいがあるとかないとか。

そんな二つのチームですが、この度一つの組織に合併いたしまして、
これからさらにより良い酒質を探求するために研鑽を重ねるであろうことは言うまでもありません。…すみません。話がそれました。


そんな中、まったくろ過をしない商品もありまして
白金酒造では「にごり焼酎」と呼んでいます。

これは瓶詰めの時に異物を取り除くフィルターのほかには
一切ろ過せず、蒸留から瓶詰めまで、浮いてきた油分を網で丁寧にすくいとります。

そんな焼酎なのでうま味成分がたっぷり入っています。

新聞紙(のような包装紙)に巻いているのは、レトロエモさを表現しているだけでなく、紫外線に当たると酸化して酒質が変わってしまうのでその対策なんです。

お客様から「なんだこの白いのは!?」と言われることもありますが、
これは旨み成分の一部です。と説明します。

にごり焼酎は出来たそのままの酒質で瓶詰めするんで
うま味成分が酸化しないうちに、開栓したら早めに
飲んでいただきたいんですが、
フタを開けずに戸棚のような暗くてすずしいところにとっておいて、
ひと夏越すと、これまた何とも言えないまったり味になるんですよ。

ちょっと上級者向けの楽しみ方ですが、
出来立てをすぐに楽しむための一本と
夏過ぎまで取っておいて味の変化を楽しむための一本
是非二本買ってください!


編集担当より
しろーく濁ってる焼酎をみて、最初は「できたてって濁るもんでしょ」
くらいにしか思ってなかった編集担当者。
アノ正体は「アブラ」だったんだ!!
と最初はめちゃくちゃ驚いたのを覚えています…。
10月ころからにごった新酒が発売される予定ですので
気になる方はぜひ~!!


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