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しらいともひ
2023年11月14日 21:09
そう男は全てを諦めた。何せ3ヶ月ぶりの再会である。覚えているはずがない幼子が。泣かせてしまうかもしれない。それはもう覚悟していたはずだった。それでもいいから逢いたかった。しかしいざ目の前にしてみると、再会の感動よりも、怖かった。とにかくもう、それは怖かったのだ。忘れられているという恐怖に呑まれた。どんなに自分を納得させようとしても、とにかくもう、そら恐ろしかったのだ。