白石勇一

日本棋院囲碁棋士の白石勇一です。 永代塾囲碁サロン(https://igosalon.…

白石勇一

日本棋院囲碁棋士の白石勇一です。 永代塾囲碁サロン(https://igosalon.co.jp)共同経営者 旧ブログ→https://blog.goo.ne.jp/igoshiraishi 「やさしく語る」シリーズ既刊5冊

最近の記事

棋聖戦第7局封じ手予想

皆様こんばんは。 最近なかなかnoteを更新できていない状態です。 落ち着いたら本格的に始めたいと思いますが、もうしばらくお待ちください。 さて、本日は棋聖戦第7局の1日目が行われました。 一力、井山、一力、井山、一力、井山と星を取り合う、がっぷり四つのシリーズでしたが、ついに決着の時がきましたね。 序盤感銘を受けたのは白32の手でした。 普通はない形ですが、全局の配置を睨んだ工夫です。 しかし、なんと言ってもその後の展開が凄まじかったですね。 最終局は手堅くいきたくなるの

    • 棋聖戦第6局封じ手予想

      皆様こんばんは。 本日は棋聖戦第6局の1日目が行われました。 本局の封じ手は棋聖戦の歴代最長手数だったそうですね。 過去の記録はなんと第1期の藤沢秀行九段-橋本宇太郎九段戦まで遡るとか。 両者とも早見え早打ちとして知られていますね。 今回は48年ぶりの更新となりました。 さて、それでは簡単にですが封じ手予想をしたいと思います。 井山裕太挑戦者が白△と打ったところで打ち掛けとなりました。 次の黒の手が封じ手です。 右上黒が包囲されている状況ですが、黒×が右上白に対して利けばC

      • 本因坊の歴史④本因坊道策

        皆様こんばんは。 棋聖戦はまたしても予想を外してしまいましたね。 一力遼棋聖の気迫あふれる打ち回しが印象的でした。 さて、久しぶりになってしまいましたが本因坊シリーズ第4回です。 今回は史上最強との声もある本因坊道策(1645~1702)です。 道策は7歳で囲碁を覚え、14歳で本因坊算悦の門下になりました。 21歳で御城碁に初出仕して同じく初出仕の安井知哲(1644~1700)と対局、白番5目勝ちを収めています。 私はまずこの時点で、おかしいと思ってしまいます。 算悦門下

        • 棋聖戦第5局封じ手予想

          皆様こんばんは。 前回急いでいて書き忘れたので、いまさらながら第27期女流棋聖戦の感想を。 早碁にもかかわらず双方に大きなミスの少ない、素晴らしい対局だったと思います。 序盤に白の数少ないミスが右辺で出たように思いますが、結果的にはそのリードが縮まりませんでした。 上野梨紗新女流棋聖の打ち回しが見事でしたね。 仲邑菫三段としては悔しさが1つ残りましたが、いずれ世界戦で戦う日に備えて頑張って欲しいですね。 それにしても、昨年姉が取られたタイトルを妹が取り返すとは・・・。 漫画で

        棋聖戦第7局封じ手予想

          棋聖戦第4局封じ手予想

          皆様こんばんは。 更新が滞っていますが、ようやく次回のネタの準備ができました。 とりあえず本日は簡単にですが、棋聖戦第4局の封じ手予想をしたいと思います。 本局は派手さこそ無いものの、双方が工夫を凝らした見ごたえのある序盤戦でした。 さて、一力遼棋聖が黒△とつないだところで打ち掛けとなりました。 次の白の手が封じ手です。 白を取り囲んだ黒には薄みがあり、白としてはそこを突いて反撃したいところです。 気になる所はAとBの2つですが・・・。 封じ手予想は白△です。 黒〇と黒

          棋聖戦第4局封じ手予想

          本因坊の歴史③本因坊道悦

          皆様こんばんは。 先日の封じ手予想は大外れでしたね😅 形勢不利の意識もあったのでしょうが、一力棋聖らしい踏み込んだ打ち回しでした。 さて、本日は本因坊シリーズの第3回です。 前回書いた通り、安井算知と本因坊算悦の争碁は1952年に中断されました。 その6年後の1658年に算悦が死去、さらに10年後の1668年に算知は長年空位となっていた名人碁所に就きます。 既に51歳となっていた算知としては、ようやく時期がきたと思っていたのではないでしょうか。 ですが、それに異議を申し立

          本因坊の歴史③本因坊道悦

          棋聖戦第2局封じ手予想

          皆様こんばんは。 色々あってまた間が空いてしまいました。 本日から再開していきます。 遅い時間なので、簡単にですが棋聖戦第2局の封じ手予想をしたいと思います。 見ての通り黒×が塊で取られています。 1日目から凄い進行になりました。 そして左上の分かれは黒が悪くなかったというのですから、碁は面白いものですね。 さて、白△と打ったところで打ち掛けとなりました。 黒の一力遼棋聖が次の手を封じて、1日目終了です。 まず目に付くのは上辺右の白3子ですが、この石に対する効果的な攻め方

          棋聖戦第2局封じ手予想

          置碁シリーズ~3子局その1

          皆様こんばんは。 先日、後輩の学生に置碁の白番が苦手と言われまして。 実際に対局の様子を見てみると、確かに・・・😨となりました。 対策としては、 この本が良いですね。 などと久しぶりに著書の宣伝も挟みつつ、ここで実例を示していきたいと思います。 左上は定石のようなものですね(黒3は11の所)。 置碁としてはちょっと形を決めすぎかもしれません。 なるべく様々な可能性を残しておいた方がチャンスが生まれやすいです。 置き碁はスピードが大事なので、白2、4の手法は多用します。

          置碁シリーズ~3子局その1

          新年(名人引退碁)

          1月1日に能登半島で大地震が発生、2日には羽田空港航空機事故がありました。 亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。 これ以上被害が広がらないことを願うばかりです。 さて、noteに引っ越してから初の正月を迎えました。 昨年は旧ブログ、noteをご覧頂きありがとうございました。 本年は永代塾囲碁サロンはもちろん、noteも活動の中心に据えて頑張っていきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 永代塾囲碁サロンで行われるイベントのお知らせです。 ~ 斗真の挑戦①

          新年(名人引退碁)

          仲邑菫-芝野虎丸(テイケイグループ杯俊英戦)

          皆様こんばんは。 本日は12/22に行われた第3回テイケイグループ杯俊英戦から、仲邑菫三段と芝野虎丸名人の対局をご紹介します。 仲邑三段の黒番ですが、確認しなくても盤面を見るだけで分かりますね。 さらに黒△の飛びは、なかなか他のプロには打てない手だと思います。 白Aと受ければ、それから黒Bと打って大模様を築こうというわけですね。 黒△で単に黒Bと打つプロは少なくないと思いますが、白Cとツケられてスケールが小さいと判断したのでしょう。 14歳の仲邑三段の棋歴は、AI台頭以前

          仲邑菫-芝野虎丸(テイケイグループ杯俊英戦)

          藤沢里菜-崔精(呉清源杯決勝第2局)

          皆様こんばんは。 応援をお願いしておきながら大変遅くなってしまいましたが、12/3に行われた第6回呉清源杯決勝第2局、藤沢里菜六段と崔精九段の対局を振り返りたいと思います。 藤沢六段の黒番です。 黒Aではなく1と高く開いた不安定な形を放置し、白4を誘って戦いに持ち込みました。 第1局は手が伸びないまま押し切られた印象で、藤沢六段としても悔やんでいたのではないかと思います。 その反省もあって、本局では積極的に戦う道を選んだのではないかと解釈しました。 白1と打ち、Aの切りを

          藤沢里菜-崔精(呉清源杯決勝第2局)

          藤沢里菜ー周泓余(呉清源杯準決勝)

          皆様こんばんは。 先日突然キーボードが壊れ、急遽注文して届いたものも動作せず・・・😰 そんなわけでまた間が空いてしまいました。 本日は11/30に行われた第6回呉清源杯準決勝、藤沢里菜六段と周泓余七段の対局をご紹介したいと思います。 周七段は中国トップクラスの女流棋士ですね。 藤沢六段の黒番です。 白△と打たれたところで、次にどう打ちますか? 黒△! 決して派手な手ではありませんが、これには驚愕しました。 もしAの地点に白石があったなら、「3目の真ん中」の形なのでごく普通

          藤沢里菜ー周泓余(呉清源杯準決勝)

          小池芳弘-三浦太郎(広島アルミ杯)

          皆様こんばんは。 本日は虎丸カップが行われました。 無差別小学校低学年の部では、永代斗真くんが優勝! 永代塾囲碁サロンを一緒にやっている永代和盛の長男です。 実は昨日、首藤瞬八段と一緒に斗真くんと対局していました。 半年ほど見ない間にかなり上達したと思ったものですが、子供の成長は早いですね。 さて、プロの棋戦では土日に広島アルミ杯・若鯉戦が行われました。 私の入段後にできた棋戦なので、比較的新しい棋戦というイメージがありましたが、もう18回になったのですね。 詳細については

          小池芳弘-三浦太郎(広島アルミ杯)

          本因坊の歴史②本因坊算悦

          皆様こんばんは。 予定外に投稿間隔が空いてしまいました。 原因の1つとして、この本因坊シリーズの書き方について色々と悩んでいました。 お待たせしてしまって申し訳ありませんが、ようやく再開です。 今回の主役は二世本因坊である本因坊算悦です。 算悦について語る前に、まず押さえておかなければならないことがあります。 それは、家元制度や幕府との関係は、最初からきっちり決まっていたわけではないということです。 四家がヨーイドンでスタートしたわけではなく、成立時期はバラバラです。 まず

          本因坊の歴史②本因坊算悦

          名人戦第6局封じ手予想

          皆様こんばんは。 久しぶりの投稿になってしまいました。 明後日から頑張ります・・・。 週末はSGW杯本戦が開催されましたね。 数々の熱戦が繰り広げられました。 Youtubeの日本棋院囲碁チャンネルで中継されましたので、ぜひご覧ください。 さて、本日は本日は名人戦第6局の1日目が行われました。 追い詰められた井山裕太挑戦者が2勝を返しており、ますます面白くなってきましたね。 なお、対局の模様については、Youtubeの囲碁将棋TV-朝日新聞社-や日本棋院ネット対局幽玄の間

          名人戦第6局封じ手予想

          名人戦第5局封じ手予想

          皆様こんばんは。 本日は名人戦第5局の1日目が行われました。 芝野虎丸名人が開幕3連勝しましたが、井山裕太挑戦者も1勝を返しています。 まだまだ勝負はこれからです。 なお、対局の模様については、Youtubeの囲碁将棋TV-朝日新聞社-や日本棋院ネット対局幽玄の間をご覧ください。 例によって小話から入りましょう。 もしもこんな形があったとします。 黒が2手多いことを考慮して、どちらの方が効率が良いでしょうか? 前図の形に黒1、白2が加わったとします。 この交換はどちらが得

          名人戦第5局封じ手予想