置碁シリーズ~3子局その1

皆様こんばんは。
先日、後輩の学生に置碁の白番が苦手と言われまして。
実際に対局の様子を見てみると、確かに・・・😨となりました。
対策としては、

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この本が良いですね。
などと久しぶりに著書の宣伝も挟みつつ、ここで実例を示していきたいと思います。

1図(実戦)

左上は定石のようなものですね(黒3は11の所)。
置碁としてはちょっと形を決めすぎかもしれません。
なるべく様々な可能性を残しておいた方がチャンスが生まれやすいです。

2図(実戦)

置き碁はスピードが大事なので、白2、4の手法は多用します。
これは本の執筆当時と変わったことの1つですね。
また、白12のような手は大切にしています。
安心安全な形を作りながら、少なからぬ地も確保できますからね。
できる限り守りだけの手を打たないのは置碁の白の鉄則ですが、守りながら得をする手は逃さず打っていきたいところです。
逆に黒A、白B、黒Cなどと攻められ、ダメを走らされる展開は避けたいですね。

3図(実戦)

白2、4は黒石を凝らせる意図ですが、これは実益がはっきりしない打ち方なので真似しない方が良いですね。
勝ちを目指すべき置碁でも、楽しく打っているとつい色々試してみたくなります。
もっとも、本のテーマには沿っているとも言えるでしょうか。

4図(実戦)

黒1のハネに対して白2のハネ返し、これは常套手段ですね。
石を斜めに使えというのは、有名な捌きのセオリーです。
白石が増え、白A付近に打てば治まり形ですが、ここであえて白8と打ってみました。
白Bの狙いを見せて利かす狙いです。

5図(実戦)

黒1と根拠を奪われますが、白2~6と構えてある程度ゆとりのある姿です。
ただ治まるより、白Aの狙いが残った方が嬉しいということですね。
実戦は白Aに備えて黒7と守ったので、白8の大場に先行することができました。

6図(実戦)

黒1~5とがっちり隅を守りました。
こうなると続けて打つ手に魅力が無いので、一旦手を抜いて左下の三々に回りました。
狙いが無い所はさっさと切り上げる、これも大事な考え方ですね。

7図(実戦)

黒5まで先手で黒地をへこませることができました。
魅力的な所が無くなったので、今度は白6に戻ります。
優先順位が繰り上がったということですね。

8図(参考図)

可能性を残すことが大事と書きましたが、白1、3のように打ち込みの可能性を消してしまうことは極力避けたいですね。
利かした白石が具体的に働く見通しは無く、黒を安心させるだけです。
この利かしによって白Aで黒を取れる、という状況なら話は別ですが、そう簡単に石は取れるものではありません。

9図(実戦)

黒1に対する白2は、ツケコシ切るべからずですね。
白Aと打っても黒Bと換わって黒石を強くするだけです。
手筋の価値は互先も置碁も変わりません。

黒5と模様を広げる手はあえて打たせ、白6の方から制限しました。
ただ模様を消すだけではなく、同時に白模様を広げようという狙いですね。
できる限り一石二鳥以上の手を心がけることで、無理なく差を縮めていきたいところです。
もっとも、この手はCのハザマが空いていて隙があるようですが、プロがハザマを空けるときはかならず用意があります。


10図(実戦)

黒1、3と進出してくれば、白4と差し込もうというわけです。
黒Aには白Bと切って、白有利な戦いです。

11図(実戦)

黒1とつなぐしかないので、白4まで先手で黒4子を取ることができました。
その代わり黒×と出られて白模様が消えましたが、白×はしっかりした形なので攻められる心配はありません。
総合的には白が得をした分かれです。
地はどこで稼いでも良いので、上辺にこだわる必要はないということですね。
部分にこだわらないことは、置碁で特に重要です。

さて、白6、8の進出に黒7、9と受けられました。
ここを押し切られては不満なので抵抗するところですが、その前に左辺で得を図るチャンスです。
黒の傷が多いところに目を付けます。

12図(実戦)

白1の割り込みが手筋です。
黒4まで、数目ですが黒地をへこませることができました。
置碁はマラソンのような面があり、僅かな得の積み重ねが最終的には大きな差を生みます。

それから白5とハネ出していきました。
黒模様を小さくしながら中央黒を狙っています。
やはり「ながら」の意識ですね。
黒10の後、互先なら白Aと打つのが自然で、中央を補強しながら白Bと地を増やす手にもつながります。

13図(参考図)

なお、白1(2の左)の割り込みに対して黒2と取りにくれば、白3、5と出ていく手が成立します。
黒はAと切れません。

14図(実戦)

実戦は白1と1子を助けました。
これ自体に地の得はほとんど無く、ダメになる恐れがあります。
得の無い手で攻めることはできる限り避けましょう、というのは本で述べた重要なテーマですね。
ただ、その考え方をさらに進めれば、相手も損をしてくれれば釣り合うとも言えるのです。
実戦は白1と1手ダメを打つ代わりに、黒に何手かダメを逃げてもらう展開を目指しました。


15図(実戦)

黒1は勇み足で、白2と切る手が成立しました。
黒5はモタレの手筋ですが、どう対応しますか?

16図(実戦)

黒×が傷んでいるので、既に白は利益を上げています。
白×にはこだわらず、白1と曲げるのが正着です。
白×を助けたのは得をするためなので、用済みになれば捨てて良いのです。
そして、先手を取って白7に向かいました。
ここは白Aと打つのが普通の手で、もちろん悪くありませんが、実戦は普段より少しだけ踏み込んだ手を打つ意識の表れとご理解ください。

17図(参考図)

攻めにこだわって白×を助けるのは最悪です。
白石が内側にこもってしまいました。
繰り返しになりますが、こだわりはどんどん捨てていきましょう。

18図(実戦)

白2の切り違いから4、6と2回当たりを利かすのは有名な手筋ですが、さらに白8と出られるというのが読み筋です。
黒地をさらにへこませつつ、白12まで勢力を築くことができました。
中央での黒のミスがあったため、この時点で形勢も追い抜いています。

19図(参考図)

白1に対して黒2と切ってくれば、白3と伸びて隅の白は結構手数が長いです。
一方黒は白AやBで閉じ込める手を両睨みされており、対処に苦労します。
読みは明確にうわ手とした手の力量差が表れる分野なので、ここぞというときには全力を出して戦いましょう。


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