白石勇一

日本棋院囲碁棋士の白石勇一です。 永代塾囲碁サロン(https://igosalon.…

白石勇一

日本棋院囲碁棋士の白石勇一です。 永代塾囲碁サロン(https://igosalon.co.jp)共同経営者 旧ブログ→https://blog.goo.ne.jp/igoshiraishi 「やさしく語る」シリーズ既刊5冊

最近の記事

SGW杯予選2枠

皆様こんばんは。 名人戦第3局は芝野虎丸名人が勝ちましたね。 厳しく隙の無い打ち回しだったと思います。 さて、本日は9/16(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選2枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、安斎伸彰八段(黒)と藤沢一就八段の対局です。 ここまでは白が有利に打ち進めています。 白1、3のハネツギに対して、黒A、白Bと進めば普通ですが・・・。 黒1と下がったのが安斎八段らしい粘りで

    • 名人戦第3局封じ手予想

      皆様こんばんは。 本日は名人戦第3局の1日目が行われました。 対局の模様はYoutubeの囲碁将棋TV-朝日新聞社や日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています まずは小話を。 黒1、3に対して白4、6という受け方をしてしまう方は多いですね。 ですが、白Aの断点を2手かけて守るのは効率が悪いです。 白1とつなぐのが形の基本ですね。 白3まで、無駄な石が無くすっきりしています。 まず基本を覚えた後、白1~5という選択肢も増やせるとなお良いですね。 黒に対する響きを重視した

      • 広島アルミ杯予選

        皆様こんばんは。 本日は9/9(月)に行われた第19回広島アルミ杯・若鯉戦予選の4局をご紹介したいと思います。 広島アルミ杯は私が入段した頃にできた棋戦ですが、もう19回になったのですね。 出場資格は30歳以下かつ七段以下となっています。 東京の女流1枠決勝、上野梨紗三段(黒)と横田日菜乃二段の対局です。 黒1~5と、黒Aの出切りを脅かしました。 白が打ちやすい形勢なので、手堅く受けることも考えたくなりますが・・・。 白1と急所に伸びて頑張りました。 黒2、4で切断されて

        • SGW杯予選12枠

          皆様こんばんは。 本日は第7回SGW杯中庸戦予選12枠の対局をご紹介します。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、金賢貞四段(黒)と鈴木伸二八段の対局です。 黒△と切り違えられた場面です。 全ての石を助けるわけにはいかないので、どこを重視するか選ばなければいけません。 実戦は白1から当てていきました。 白×を捨て、黒×を取る振り替わりですね。 白の弱い石が無くなったことが大きく、白優勢となりました。 黒△と急所に迫った場面で

        SGW杯予選2枠

          一力遼、応氏杯優勝!

          皆様こんばんは。 名人戦は封じ手予想をし損ねてしまいました。 ハイレベルな戦いの結果、一力挑戦者の連勝となりましたね。 さて、その一力九段がついにやりました! 3連勝で応氏杯優勝です! 私が入段して以来日本勢の優勝がなかったので、実感としては初優勝ぐらいのものですね。 この日を長く待ち望んでいました。 対局の模様はYoutubeの日本棋院囲碁チャンネルや日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されましたので、そちらもぜひご覧ください。 一力九段の黒番です。 色々な打ち方が考えられ

          一力遼、応氏杯優勝!

          SGW杯予選3、7枠

          皆様こんばんは。 本日は9/1(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選3枠と7枠の対局をご紹介したいと思います。 ちなみに私も3枠で出場していたのですが、ひどい内容で1回戦敗退となりました。 負けたことよりも内容の悪さが堪えますね。 楽しみにしていただけに残念です。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 既に中継棋譜から消えてしまっているのですが、ソフトや幽玄の間公式サイトからご覧頂けます。 3枠1回戦、三村芳織三段(黒)と大垣雄作九段の

          SGW杯予選3、7枠

          SGW杯予選13枠

          本日2本目の投稿です。 noteでの投稿は速報性を大事にしていきたいという思いがあり、このような形にしてみました。 本当は昨日2本上げたかったのですが、時間が足りませんでした・・・。 さて、今回は8/26(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選13枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、望月研一八段(黒)と大橋拓文七段の対局です。 黒1、3と切っていきました。 左右の白はどちらも生きていないとい

          SGW杯予選13枠

          名人戦第1局封じ手予想

          皆様こんばんは。 本日は記事を2本投稿予定で、本記事は1本目となります。 さて、本日名人戦挑戦手合七番勝負が開幕しました。 芝野虎丸名人に挑むのは、世界一を目前にした一力遼棋聖・天元・本因坊です。 激しい戦いになることだけは間違いなさそうな組み合わせですね。 毎局楽しそうです。 封じ手予想に入る前に1つ小話を。 締まりに大して黒1とツケる手は何百年も前から打たれています。 この後白Aと下がるのは、お互いの根拠の要点なので決まりのようなものでした。 下がり以外が選ばれるのは

          名人戦第1局封じ手予想

          SGW杯予選1枠

          皆様こんばんは。 本日は8/22(木)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選1枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、首藤瞬八段(黒)と堀本満成五段の対局です。 少し前に黒△と白の急所に迫りましたが、代償に黒×を取られました。 この後黒Aと取れば安全ですが、白Bとなった形は後に白Cと打って1眼を作る手が残ります。 黒×を捨てた割には迫り方が甘いと判断したのでしょう。 そこで、実戦は黒1と打って眼を奪

          SGW杯予選1枠

          SGW杯予選6枠

          皆様こんばんは。 本日は8/22(木)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選6枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、林子淵八段(黒)と井口豊秀八段の対局です。 白△の肩ツキに対して、黒A、白B、黒C、白D、黒Eと対応するのは部分の形としては普通ですが、黒×がある所なので石がダブってしまう嫌いがあります。 そこで、実戦はいきなり黒1と挟んでいきました。 黒有利な場所なので目一杯に戦おうというわけです

          SGW杯予選6枠

          SGW杯予選8枠

          皆様こんばんは。 最近、宇宙棋院で予約制の指導碁や個人レッスンを始めました。 また、日曜日に教室を開講する計画を立てています。 詳細についてはgotanda@igoshiraishi.comまでお気軽にお問い合わせください。 さて、本日は8/22(木)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選8枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、寺山怜六段(黒)と中根直行九段の対局です。 黒1と一本プレッシャーをか

          SGW杯予選8枠

          SGW杯予選10枠

          皆様こんばんは。 今回は本日行われた第7回SGW杯中庸戦予選10枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、万波奈穂四段(黒)と秋山次郎九段の対局です。 白△と打った場面ですが、ここで黒Aと飛ぶのが普通の打ち方です。 白Bの渡りを許しても、黒Cと中央を止めて黒も立派な姿です。 黒1と渡りを止めたのは万波四段らしい厳しい発想でした。 白2と被せられても、脱出には困らないというわけですね。 善悪で言えば

          SGW杯予選10枠

          SGW杯予選4枠

          皆様こんばんは。 3週間ほど前に全国高等学校囲碁選手権大会の全国大会が行われました。 9/15(日)にNHK Eテレの囲碁フォーカス(12時~12時30分)にて特集が放送されるそうです。 短い時間ですが、私の解説も放送されます。 ぜひご覧ください。 さて、本日は8/12(月)に行われた第7回SGW杯中庸戦予選4枠の対局をご紹介したいと思います。 なお、SGW杯の棋譜は全局日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されています。 1回戦、川田晃平六段(黒)と富士田明彦七段の対局です。

          SGW杯予選4枠

          応氏杯決勝第2局 謝科-一力遼

          皆様こんばんは。 一力九段、またやりましたね! いよいよ世界戦初優勝が見えてきました。 それでは早速振り返っていきましょう。 なお、対局の模様はYoutubeの日本棋院囲碁チャンネルや日本棋院ネット対局幽玄の間にて解説付きで中継されました。 謝九段の黒番です。 どこに打っても一局というところですが、それでも黒△は独特の感性だと思いました。 黒×がきているので上辺の価値は下がっている、というのが基本的な考え方ですからね。 研究もあるのでしょうが、乱を求める棋風を優先したもので

          応氏杯決勝第2局 謝科-一力遼

          応氏杯決勝第1局 一力遼-謝科

          皆様こんばんは。 本日は応氏杯決勝五番勝負第1局が行われました。 久々の日本代表の優勝チャンスということで、非常に楽しみでしたね。 対局の模様はYoutubeの日本棋院囲碁チャンネルや日本棋院ネット対局幽玄の間にて解説付きで中継されました。 ここでは私の印象に残った場面をご紹介したいと思います。 一力九段の黒番です。 黒1の攻めに対して、白2から先手で生きて白6に回りました。 よくある進行とは言え、変わり身の早い中国選手らしいと感じました。 黒1と動き出せば、この碁では白

          応氏杯決勝第1局 一力遼-謝科

          SGW9枠

          皆様こんばんは。 株価がジェットコースター状態ですね。 たかだか数十年の人生でも、歴史の教科書に載るような事例をそれなりに経験するものですね。 さて、本日は昨日行われたSGW杯9枠についてご紹介します。 1回戦、光永淳造六段(黒)と山田拓自八段の対局です。 黒1に対しては単に白3と伸びるか、あるいは白5と切ってから白3と伸びるのが基本の形です。 しかし、実戦は白2と二段バネしました。 あえて黒3の切りを許し、白6と捌く調子を求めたのですね。 ただ逃げるのは嫌という意識を強く