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粗品やBADASAIKUSHは積立NISAをしない

NISAみたいなのはNISAだけでいいんだよ。

友人

水を買うことが増えた。とある事情で医者と話した際に、自分の体の不調の理由を尋ねたところ、水分が足りないのではと言われた。何を、僕は水分摂取量には自信があるぞと思ったが、振り返るとコーヒーお酒清涼飲料水が過多だと気づく。なんでも、水分摂取とは、水とお茶に限るらしい。ならばと思い、それらをがぶ飲みするぞと息巻いたところ、これがなかなか苦しい。お腹に溜まる。抜けていかない。大学生のころ、同じ授業に参加していた40代の男性が、歳をとると味のするものが飲めなくなる、ビールも飲みにくくなったので炭酸水を飲んでいると言っていたのを思い出す。こういった、知識として所有していた中年の傾向を、自ら実践することも増えてきた。美容院に行き、この空間の中で最高齢なのではと思うこと、ランニングでもなくウエイトトレーニングでもなく、ウォーキングにより身体がすっきりとすること、ほうれい線を気にし始めること。もう少しすれば、グルコサミンだとか老眼だとかシミ取りだとか言い始めるんだろう。

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主体的に思想を持つことのみが、排他性を伴ってアイデンティティを構築すると考えている。Aなのか? という問いに、自分としては
Aだと思う/not Aだと思うと言い切ること。それこそが自らの輪郭を形成し、他者が自分に関わる理由となり、自分が他者と関わりたい理由だと。
ただ最近、今の自分にそういった思想はあるのかと考える。働くということ、恋をすること、ご飯を食べること、服を着ること、本を読むこと、体を動かすこと、お酒を飲むこと、友達と話すこと。これらの事柄すべてに、少し前までは自分の思想があった。しかし、ふと足を止めて、今の自分を振り返るに、今、主体的に思想を持てている領域はなんなのだろうかと思うに至る。何にも興味がないということではないのだが、たいていの事柄に対して、自分としてすわりの良い暫定解を作りっぱなしにしてしまっている。例えば、着る服は、作品性作家性値段機能性の観点から最高スコアを出していると考えるイッセイミヤケを脳死で買っているし、働き方としても、資本最大化に向けて、労働で得た所得を金融商品に置換し続けている。最適解であり、変える必要もないことなのだが、長らく変わらない思想にカビ臭さを感じていたのも事実であった。また別の話として、人生の一部に、自らの資本を割かないという意思決定をしているのも、カビ臭さの原因ではないかと思い直した。例えば、ご飯や服に対しては、興味がなかったり、やりきったという思いがあったりして、もうここに時間やお金、認知のリソースを割かず、他のものに割り当てようという判断をしてきた。積極的に無関心とする領域。その領域が拡大しているのではないか。完成とみるか、退廃とみるか。時間をかけて、「こうするのが最適解。あとは脳死で実行するだけ」という、NISAのような領域を増やしてきたが、そのことが僕の人生の到達点の最大化にとって望ましいことなのか、考える必要がある。

粗品が凄すぎる。彼の面白さは周知の事実だが、今回言いたいのは彼の活動の総量だ。舞台に立ち、テレビやラジオに多く出演しているなか、コンビと、個人のYouTubeチャンネルを2本、計3本持っている。個人のYouTubeチャンネルは自ら編集にも口を出すといい、1つは毎日、もう1つも週3でアップロードをしている。そして、企画の幅もとにかく広い。自身のチャンネルをテレビ局のようにしたいと言い、自身の借金やギャンブルに関する漫談、ゲストとの対談、ゲーム実況、後輩とのギャンブル企画に作曲にロケと、数多くの種類の動画を公開している。並大抵の業務量じゃない。川谷絵音や星野源と同じ、活動の幅も量も他のタレントとは桁が違う。クリエイターとしてゾーンに入っている。そういえば、彼が遅刻したという話も聞かない。似た性別年代である者として、身が締まる。彼の動画に笑わせてもらうと同時に、お前は何かしてるのかとけつを叩かれている思いがする。少し前まで、イーロンマスクやジャックマーから受けていた刺激を、今や彼から受けている。

同じクリエイターという意味では、別の文脈で舐達麻が好きだ。洋の東西を問わず、ヒップホップに強い関心があるわけではないのだが、彼らのことはすごく好きだ。好きなリリックも複数あるが、最近だと、インタビューでのBADASAIKUSHのコメントが胸に残っている。長期的なビジョンはあるのかという問いに、彼はこう答える。

目標から逆算して、期日までにすべきことを洗い出して潰していくという動き方があるが、自分たちのすべきことは曲を作ることしかないので、未来の目標を立てる必要はなく、今ここで曲を作り続けることにのみフォーカスを当てている。と。

目的を立て、課題を導出し、打ち手を打つという、自分の思考のプロトコルを揺さぶる発言だ。アート鑑賞と同じ体験を舐達麻のインタビューから受け取った。

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