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【木曜日のしかけ#2】朝令暮改のこころを語る

木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。

今回は、社長の朝令暮改についての「7秒しかけ」を紹介していきます。


0 7秒しかけとは(1度読んだ方は読み飛ばしてください)

7秒しかけ」とはしかけ研究家白潟敏朗と白潟総研のコンサルティング経験・ノウハウをベースに、次に示す習慣化の4つの技術を活用し開発したしかけです。

① 小さな行動から始める
~ 小さすぎてばかばかしいと思う行動が習慣になる(小さな習慣) ~

小さい行動はすぐに生活に取り入れることができ、やがて自然と大きく成長していきます。小さいことから始めれば、時間的な負担を気にせず大きな変化への第1歩を踏み出すことができます。

『習慣超大全/BJ・フォッグ (ダイヤモンド社)』

② If thenプランニング(もしXだったらYをする)
~ 「◯◯した時に□□する」で実行率アップ ~ 

簡単にいうと「もし○○だったら△△する」と決めておくだけです。
人間の脳は『XならY』という文章を記憶しやすく、無意識にそれに従って行動できるようになるようです。発動タイミングを決めてしまう、これが習慣化のポイントです。

『やり抜く人の9つの習慣/H・ハルバーソン著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』

【If-Thenプランニングの例】

・ 帰りに電車にのったら、明日見る動画の1行ゴールを書く
・ 行きの電車にのったら、ロジカルシンキング動画を1本見る
・ お風呂に入る前に、腕立て5回する
・ 先輩・上司に声をかけられたら、メモ帳を出す

できたら、自分を褒めましょう「よくできた!」

③ 20秒ルール
~ 始めるまでにかかる時間を20秒短くする ~

何かを始めるまでの手間を20秒短縮すると、20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という達成感につながります。

20秒以内にすぐにやれるように準備することが大事!

④ マジックナンバー4
~ 週4回以上の実践で習慣化しやすい ~

習慣化の4つの技術に加え、最近流行りの行動経済学も活用しています。

特にナッジ理論「行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略」を活かすことで、より簡単に実行できる工夫をしたしかけです。

具体的には1秒から7秒で実行でき小さな成功により少しだけ自信がつき、気がつけば習慣になっている、そのような効果のあるしかけです。7秒以内で実行できるので「7秒しかけ」と呼んでいます。

1 朝令暮改のこころを語るとは

『うちの社長は決めたことをコロコロ変える!』
『うちの社長の朝令暮改っぷりまじハンパない!大変だからやめてくれ!』

よく聞く社員の社長批判です。
私はこれを社長へのほめ言葉だと思っています。

『えーー!白潟さん、ほめ言葉ってヤバくないですか?』
そう感じた社員の方もいるでしょう。

もちろん、社長が何も考えずに朝令暮改しているのであれば、マジでヤバい社長です。

ただ、多くの社長は社員とお客様のことを誰よりも深く考え続け
様々な分析をし悩みぬいた上で経営の意思決定をしています。

だから、社長は朝令暮改でいいのです。

朝令暮改とは、
朝に命令を下して夕方それを改めかえること。命令や方針がたえず改められあてにならないこと。【広辞苑】

どうして社長は朝令暮改をするのでしょうか?
私も朝令暮改をしてしまいますが、その理由を私なりに考えてみます。

① 社長の決断がいつも上手くいくとは限らないから
経営の意思決定が上手くいくかいかないかは、やってみなければわからないことが多いです。特にVUCAといわれる今の時代はその傾向がより鮮明になってきています。

VUCAは「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字を並べたもの。もとは冷戦後より戦略が複雑化した状態を示す軍事用語であったが、2010年ごろより、「VUCAワールド」「VUCA時代」のようにビジネスでも用いられるようになった。【HRpro 】

② 社長が間違えた決断を変えなければ、会社が傾くから
経営の意思決定を実行した結果が間違っていた場合、
しばらくその状態にしておくと会社は悪い方向にいきます
決断したことを変えなければ最悪、会社は倒産してしまいます

いかがでしょうか?
社長が朝令暮改をする背景がイメージできましたでしょうか?

もちろん、経営が上手い社長は朝令暮改の頻度は極めて少ないかもしれません。

経営経験が少ない社長や、多い社長でも事業開発の場合は朝令暮改が多くなるでしょう。ただ、多くの経験を積むことで朝令暮改の頻度は減ってきます。

『白潟さん、社長の経営は大変だから社長の朝令暮改に文句も言わず付き合えっていうんですか?

いえいえ、そのようなことは言うつもりはありません。
社員の方の気持ちも十分わかります。

そこで、次の7秒しかけを社長に提案します。

朝令暮改のこころを語る

繰り返しになりますが、
社長の経営において朝令暮改は必須ですし社長の特権でもあります

ただし、振り回される社員も大変です。
今まで努力してきたことが無意味になり、その都度モチベーションも下がります。

そこで、社長がどうして決めたことを変えたのか?

そのこころを社長が社員に語ったうえで、
変えた決断を全員で実行していくのです。

そうすることで、社員の納得感も高まり社長が変えた決断を実行していこうという気持ちになってくれます。

『白潟さん、社員に説明している余裕なんかないよ!
早く実行しないとリカバリー失敗するよ!』

社長からは、このようなお叱りを頂くかもしれません。

社長、本当に申し訳ございません。

今から提案する語り方であれば、最短7秒でおわります
ですから、7秒だけ「朝令暮改のこころを語る」を実践してください。

朝令暮改のこころの語り方を次に示します。

① 謝罪スタート
まずは、社員に一言お詫びをします。
皆さん、朝令暮改で本当にごめんなさい

社長が社員に謝ることで、社員は朝令暮改をした社長を責めることは少なくなりますし、スピード感をもって新たな決断を実行してくれるでしょう。
ですから、ここは一言お詫びをお願いいたします

② 一言メッセージ
社長が朝令暮改をしたこころを一言で語ります。
今回、変えたこころはxxxxxです。詳しくは上司にきいてください

以上が、朝令暮改のこころの語り方です。
ゆっくり話されても7秒以内で語れると思います。

幹部の方には経営会議等で社長の朝令暮改のこころをじっくり説明してください。

もちろん、朝令暮改のこころをじっくり語りたい社長は、
上司からではなく社長の口から直接、社員に説明してください。
社員の納得感は更に高まるでしょう。

社長が謝罪からスタートしこころをじっくり語ったとしても、言うことをきかず実行しない社員がいるかもしれません。

そのような社員には別途対策を講じる必要があります。
近いうちに、別の7秒しかけを紹介します

2 アンカー(朝令暮改のこころを語るを思い出させるきっかけ)

社長、「朝令暮改のこころを語る」を実践するきっかけを考えましょう。
きっかけは当然、「社長の朝令暮改」です。

朝令暮改の発言をする前か直後に、「朝令暮改のこころを語る」を実践してください。

3 今すぐ準備しましょう

朝令暮改のこころを語る」を実践するには次の準備が必要です。
今すぐ準備しましょう!

① 前述したこころの語り方を覚えます。
  もちろん、語り方を変えても構いません。

② こころを語るメモを作成します。
  メモがなくても語れる社長はメモ作成は不要です。

③ 必要であれば、メモを見て説明の練習をします。

4 いつから実践しますか?

朝令暮改のこころを語る」いつから実践しますか?
実践したいと思った社長は今ここで実践時期を決めましょう!

・ 次の経営会議から(幹部に今までの朝令暮改のこころを語る)
・ 次の全体会議から(全員に今までの朝令暮改のこころを語る)
・ これから朝令暮改をするタイミングがきたら
・ 来期から

決めた実践時期を手帳やカレンダーに書き込んでください。
朝令暮改のこころを語る」実践と記入した付箋を手帳やパソコンに
貼ってもいいです。 

朝令暮改のこころを語る」の紹介は以上でおひらきです。
社長の朝令暮改への幹部と社員の納得感が高まり、全員でのスピーディーな実行を心から願っております。

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また明日!明日はフツーの会社のすごいしかけです

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