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【木曜日のしかけ#6】最後に意見

木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。

今回は、会議での社長発言についての「7秒しかけ」を紹介していきます。

社長、「最後に意見」というネーミングでしかけのイメージわきますか?
『白潟さん、社長は最後に意見を言うってことでしょう?』

はい、まさにその通りです。
ありがとうございます。

社長、実践できていますか?

『はい、私は経営会議でも一番最後に意見を言ってるよ』
さすがですね!社長7秒しかけ「最後に意見」実践済みですね。

ここまで読んでもらいありがとうございます。

ここからは「最後に意見」を完璧に実践できていない社長向けに紹介していきます。


0 7秒しかけとは(1度読んだ方は読み飛ばしてください)

7秒しかけ」とはしかけ研究家白潟敏朗と白潟総研のコンサルティング経験・ノウハウをベースに、次に示す習慣化の4つの技術を活用し開発したしかけです。

① 小さな行動から始める
~ 小さすぎてばかばかしいと思う行動が習慣になる(小さな習慣) ~

小さい行動はすぐに生活に取り入れることができ、やがて自然と大きく成長していきます。小さいことから始めれば、時間的な負担を気にせず大きな変化への第1歩を踏み出すことができます。

『習慣超大全/BJ・フォッグ (ダイヤモンド社)』

② If thenプランニング(もしXだったらYをする)
~ 「◯◯した時に□□する」で実行率アップ ~ 

簡単にいうと「もし○○だったら△△する」と決めておくだけです。
人間の脳は『XならY』という文章を記憶しやすく、無意識にそれに従って行動できるようになるようです。発動タイミングを決めてしまう、これが習慣化のポイントです。

『やり抜く人の9つの習慣/H・ハルバーソン著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』

【If-Thenプランニングの例】

・ 帰りに電車にのったら、明日見る動画の1行ゴールを書く
・ 行きの電車にのったら、ロジカルシンキング動画を1本見る
・ お風呂に入る前に、腕立て5回する
・ 先輩・上司に声をかけられたら、メモ帳を出す

できたら、自分を褒めましょう「よくできた!」

③ 20秒ルール
~ 始めるまでにかかる時間を20秒短くする ~

何かを始めるまでの手間を20秒短縮すると、20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という達成感につながります。

20秒以内にすぐにやれるように準備することが大事!

④ マジックナンバー4
~ 週4回以上の実践で習慣化しやすい ~

習慣化の4つの技術に加え、最近流行りの行動経済学も活用しています。

特にナッジ理論「行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略」を活かすことで、より簡単に実行できる工夫をしたしかけです。

具体的には1秒から7秒で実行でき小さな成功により少しだけ自信がつき、気がつけば習慣になっている、そのような効果のあるしかけです。7秒以内で実行できるので「7秒しかけ」と呼んでいます。

1 「最後に意見」とは

ある会社の経営会議のシーンです。

参加者:社長、副社長、鈴木営業部長、佐藤マーケティング部長、山田開発部長、田中人事部長、小西経理部長(7人)

議題:売上目標の達成

社長:売上目標達成率は2カ月連続70%で未達です。どうすれば達成できるのか真剣に議論していきたい。みんなの意見をきかせてください

鈴木営業部長:社長、やはり営業力を強化するしかないと思います。具体的には営業マンの増員です。人事部にもう少し採用を頑張ってもらうしかないです

田中人事部長:我々も日々努力してるんですが、人手不足の時代なので採用はなかなか上手くいきません

社長:鈴木さん、ピントがずれてるね。売上が上がらない原因は営業力もあるけど、本質的にはうちのサービスがおよびじゃなくなってるからだよ

鈴木営業部長:社長、およびじゃないというのはどういうことですか?
社長:それはね・・・(しばらく社長が原因について説明する)・・・


この会社の経営会議どう思いますか?
『本質をつく社長はすごいと思いますが、もう少し鈴木さんと田中さんに意見交換させた方がいいのでは?と感じました』

そうですよね。議論の途中でした。
もう少し2人で意見効果した方がいいですし、まわりの幹部の意見も聴いた方がいいかと思います。

ドラッカーもマネジメントで「意見の相違を重視する」。自分とちがう他の人の意見を聴き、なぜちがうのかを明らかにし考えることが重要だと言っています。

ある案だけが正しく、その他の案はすべて間違っていると考えてはならない。自分は正しく、他の人は間違っていると考えてもならな い。

なぜ他の者は意見が違うのかを明らかにすることからスタートしなければならない

明らかに間違った結論に達している者がいても、 それは、何か自分と違う現実を見、自分と違う問題に関心を持っているからに違いないと考えなければならない

『マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則/P.F.ドラッカー(ダイヤモンド社)』


松下幸之助も衆知を集めた全員経営を心がけることが肝要だと言ってます。

衆知を集めた全員経営――これは私が経営者として終始一貫心がけ、実行してきたことである。全員の知恵が経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展するといえる。

 私が、衆知を集めるということを考えたのは、一つには、自分自身があまり学問、知識というものをもっていなかったから、いきおい何をするにも皆に相談し、皆の知恵を集めてやっていくことになった面もある。

いわば必要に迫られてやったことだといえなくもない。

 しかし私は、いかに学問、知識があり、すぐれた手腕をもった人であっても、この“衆知を集める”ということはきわめて大切だと考えている

(中略)というのは、いかにすぐれた人といえども、(中略)その知恵にはおのずと限りがある。(中略)「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もあるように、多くの人の知恵を集めてやるに如くはないのである。

『実践経営哲学/松下幸之助(PHP研究所)』

さて、ここで社長に問いかけです


社長が全幹部の意見を聴くべきか、聴かずに自分の考えを述べるべきか?


どちらがいいのでしょうか?

絶対的正解はないテーマですが、私はつぎのように考えます。

幹部を育成したい、その場のひとつが経営会議である

社長がこう考えるのであれば、経営会議では「最後に意見」の実践をおススメします。社長は、全幹部が意見をいい終わるまで発言してはいけません。

最後に社長の意見を述べましょう

そうしないと、幹部の経営力が高まらないし本質的課題を把握する力もつきません。

一方、最優先で解決したいテーマがある場合は、ゆっくり議論する時間がありません

このような厳しい経営環境であれば、早急に本質的な課題を把握、解決策を実行し売上をあげなくてはなりません。

社長が途中または初めに意見を言うのは仕方のないことでしょう。

もちろん、経営環境が変わり時間的余裕ができた時には「最後に意見」を
社長に実践してもらいたいです。


加えて、考えるのは私だけ実行するのが幹部という考え方の社長であれば、すみません「最後に意見」は余計なお世話です。忘れてください。

繰返しになりますが、社長が経営会議を幹部育成の場にしたいのであれば
社長は一番最後に意見を述べてください(「最後に意見」の実践)。

2 アンカー(「最後に意見」を思い出させるきっかけ)

最後に意見」は今すぐ準備をし実践しましょう。

今すぐ準備で実践できそうもない社長は、「会議」をきっかけにしましょう。例えば、経営会議をきっかけにした場合は

経営会議が始まった ⇒ 最後に意見を実践する

社長が言いやすい会議を選び、その会議をきっかけにしてください。

・ 経営会議
・ 商品開発会議
・ 取締役会
・ 1on1

3 今すぐ準備しましょう

どうしても途中で意見を言いたくなる社長には、次の準備が必要かもです。

① 意見を言いたくなった時に、言えなくなるスイッチの準備
幹部が間違った意見を言った時に、社長が意見を言えないのは社長にとって辛いことかもしれません。かなりの忍耐力が必要です。

そこで、社長に合ったスイッチを考え準備してください。
次にスイッチの例を示します。

【物理的に声を出しにくくするスイッチ例】
・ 深呼吸をする
・ 上の前歯の歯の裏側に舌をもっていく
・ 舌をかむ
・ 水を飲む

【社長の意識を変えてくれるスイッチ例】
・ 両手を握る
・ ペンを持つ
・ 腕時計を机に置く
・ 背筋を伸ばす
・ 幹部の意見のメモをとる

社長の好みに合い実践できそうなスイッチを準備してください。

② ①のスイッチをふせんに書き、手帳に貼るまたはパソコンに貼る

4 いつから実践しますか?

最後に意見」いつから実践しますか?
実践したいと思った方は今ここで実践時期を決めましょう!

・ 次回の経営会議から
・ 次々回の経営会議から
・ 来期の経営会議から

決めた実践時期を手帳やカレンダーに書き込みましょう。
最後に意見」実践と記入した付箋を手帳やパソコンに
貼ってもいいです。 

最後に意見」の紹介は以上でおひらきです。
社長の会社の幹部の経営力アップを心から願っております。

実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また明日!明日はフツーの会社のすごいしかけです。

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