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集団接種会場の効率性について考える

先日ありがたいことに新型コロナウイルスワクチンを2回接種しました。100人ほどが集まった会場で2回とも接種したわけですが、その進行はとてもスムーズでした。集団接種は会場によって効率的だの非効率的だの聞いていたので、実際にどうだったか自分なりにまとめたnoteになります。

なおワクチンのロジスティックや医療の逼迫については詳しくないため、触れていません。また、接種する会場によって形式は違うでしょうし、私自身専門家でもなく、記憶に基づいた内容であるため、正確性に欠けていることはご留意ください。

ワクチン接種1回目の流れ

会場に着くと以下のように進みました。(図が小さくなってしまった。)

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会場の入口で受付を行います。
名前を言うと指定の番号の席に座るように案内されます。同じ会場で私とは違う団体の受付も同じテーブルの別担当者によって行われていたため、分かりづらかったです。

指定された番号の席に座ります。
机を右側にして通路を左側にして座るように椅子が配置してありました。同じ列の人は同じ方向を向いて座ります。下記の図のようなイメージです。利き腕とは逆の腕に接種することが多くため、デフォルトでは左腕が通路側に出るようになっています。

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時間になりワクチン接種の流れの説明を受けます。
接種者は移動せずその席のままで完結するとのことです。大声で流れを説明したりアルコールがダメな人には挙手を求めたりなど、ここはちょっと雑な印象でした。

予診票の記入内容をチェックします。
予め記入してきた予診票のフォーマットに不備があり修正しています。ここから医師や看護師の方が2ラインで同時進行していたと思います。

医師による問診を受けます。
病院で聞かれるようなものと変わらず、予診票に記載した内容を再確認される感じです。

ワクチンの注射してもらいます。
ほとんど痛くありません。注射をしてから状態観察のため15分待機することになります。

副反応が出た場合の薬をもらいます。
カロナールという薬が4錠でした。

接種した記録をしてもらいます。
予診票にワクチンのシールや日付を記載してもらいます。

予診票の写真を撮影します。
中には予診票をなくす人もいるでしょうから、その時の保険でしょうか。

15分の待機が終わった後に会場を出ました。会場には10分前くらいに到着して待機し終わるまでトータルで40分ほどでした。私の順番は中間あたりだったため、人によってはもう少し早く終わったり、遅く終わったりしたはずです。

ワクチン接種2回目の流れ

1回目と同じ会場の同じ時間で基本的な流れは同じです。

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会場の入口で受付を行います。
相変わらず私とは別の団体がマジョリティであったためかわかりづらいです。

受付した順につめて座ります。
ここは変更がありました。受付では特に何も言われず、1回目の時に同じ席に座ることになるという案内があったため、戸惑っている人も多かったです。

予診票の記入内容をチェックします。
全体の流れの説明は2回目はありません。来た人から順に流れが進行します。全体の音声ガイダンスは流れていたようですが、ほとんどの人はおそらく存在を認識できたいなかったのではないかと思います。

後の流れは1回目と同じです。私の場合はトータル30分ほどで会場を出ることができました。もちろん2回目は受付した順番に会場を出ることになります。全体的に「もう流れはわかってるよね」感がありました。

個別接種と集団接種の効率性の比較

ここで先ずは個別接種(ここでは普段病院で診察を受ける時の流れという意味)と、私が今回受けた集団接種との比較です。集団接種といえども普段医者にかかる時と同じように、受付をして問診票を書いて医師による予診を受けて診察してもらい診察結果をまとめてもらって処方箋を受け取るなど、各工程だけ見るとこれら二つはとほとんど変わらないように思います。

しかし、集団接種のほうが効率的であることは直感的にも明らかです。100人が一つの病院に行って、1時間足らずで全員がワクチン接種を終えられるとは思えません。では何が違うのかというと「各担当者が同じことを行う」「被接種者の位置が固定されている」という2点が大きそうです。

1点目の「各担当者が同じことを行う」ことによって、スイッチングコストが少なくなります。図で示した各工程には担当者がいました。一人が複数の作業をするよりも、同じ作業をするほうが早く済ませることができます。また、ワクチン接種の場合、全員が同じ処置を受けることになります。同じ処置を受けるということは一人にかかる時間もほぼ同じであるため、時間の変動も少なくなります。つまり単位時間あたりの接種数をほぼ一定にすることができ、滞ることなく計画的に全体の接種を進めることができます。

2点目の「被接種者の位置が固定されている」ということは、逆に言うと担当者側が動くことになります。被接種者が機敏に移動できないと、次の工程にスムーズに進めません。また、機敏に動ける人であっても流れを把握していない人は多数いるため、同様に次の工程にスムーズへ進めません。それによって案内担当も必要になるため更に人手がかかります。全体の流れを把握している担当者側が移動するほうがスームズに進行し、最悪被接種者が流れを把握していなくても、手続きさえ踏めれば接種自体は進行できます。

1回目と2回目の比較

続いて私が経験した1回目と2回目の比較です。私の場合は2回目の方が早く終えたわけですが、そこは人によるものであって、注目すべきはおそらく人員を削減できたことでしょう。その原因は「先に来た人から順に接種する」「一部の工程を同じ担当者に担ってもらう」の2点にあるかと思います。

1回目の時は2ラインで同時進行していると書きましたが、2回目の時は1ラインで進行していました。「流れの説明」という工程がなくなったことで、会場内に一度全員を留めておく必要がなくなり、初めの受付の工程を終えた人から順に流れを作ることができました。それによって担当者の待機時間も減り、遅刻者にも柔軟に対応できたと考えられます。

また、2回目の図では注射と薬の処方の工程を一つにまとめているのですが、実際に注射して薬を渡す人まで一人の担当者が行っていた記憶しています。(1回目の時は別々の人が担当。)ここはスイッチングコストが大して発生しないと判断し、人員を削減したのでしょう。もちろん経験を積んだことで慣れた結果なのだとも思います。

理想的には1時間単位であった予約を仮に20分刻みにすれば、被接種者の全体の待ち時間はさらに減るはずですが、時間通りに現れない人も多くリスクが高いはずなので、1時間単位が妥当そうです。

まとめ

偉そうなことを言うと、総じて良い会場設計になっていたのではないかと思いました。私が経験した限りでは大きなトラブルもなく進行しているようでした。細かなところで配慮できる余地はまだあったかもしれませんが、それよりもスムーズに進行しないことによるトラブルの可能性もあったかと思います。どのリスクを軽減してどのリスクを保有するかなどの意思決定が行われたのかはわかりませんが、効率性について考える上でとても勉強になりました。

宣伝しておくと、流れや効率性について詳しく知りたい方は「This is Lean」をご覧になってください。



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